JRA 新人・松本大輝「油断騎乗」で騎乗停止。デビュー3カ月115戦2勝で新人王争いからほぼ脱落……早くも砕け散った「一鞍一鞍大切に」の目標
29日、中京競馬場で行われた5R・3歳未勝利は、8番人気のオータムヒロイン(牝3歳、栗東・鮫島一歩厩舎)が勝利。奥手のスクリーンヒーロー産駒が前走から距離を伸ばして、しっかりと長所を発揮した。
「枠が良かったですし、コース替わりで道中はなるべくインを意識しました。ロスなく上手く運べました」
レース後、鞍上の鮫島克駿騎手がそう振り返った通り、2枠2番からスタートしたオータムヒロインは、後方でしっかり脚を溜めると、最後の直線で馬場の真ん中に持ち出されると真一文字に突き抜けた。重馬場だった前走は16着に大敗したが「良馬場で力を発揮してくれた」との言葉通り、良馬場になって本来の力を発揮した格好だ。
一方、後味の悪い競馬になってしまったのが、2番人気で3着に敗れたテーオーソロスと松本大輝騎手だ。
スタートを決めたテーオーソロスは、ハナを主張したマコトオテギネを行かせる形での2番手からの競馬。逃げ馬を交して早め先頭に躍り出た最後の直線では、最後まで粘りに粘ったが3着に敗れてしまった。
ただ結果こそ2番人気3着とまずまずだったが、問題となったのはゴール寸前の松本騎手の姿勢だ。
「早めに抜け出したテーオーソロスはよく粘っていたんですが、ゴール前で勝ったオータムヒロインに差されてしまった際、落胆したのか、鞍上の松本騎手が追うのを止めてしまいました。ですが、その直後にハーツオブシャカにもかわされての3着。JRAは『明確に着順に影響があったとは認められない』と発表していますが、連単系の馬券を買っていたファンは納得できないでしょうね。
JRAの見解が優先されることは確かですが、2着馬とはクビ差だっただけに、松本騎手が最後まで追っていれば結果が変わった可能性を完全には否定できません」(競馬記者)
JRAの公式HPに掲載された「裁決レポート」によると「この騎乗ぶりは、明確に着順に影響があったとは認められないものの、騎手としての注意義務を怠ったもの」として、松本騎手に開催2日間の騎乗停止処分が下されるという、何とも微妙な判定……。
記者が話す通り、テーオーソロスを応援していたファンの多くは納得できないだろうし、さらに松本騎手が今年3月にデビューしたばかりの新人騎手ということも、バツの悪さに拍車を掛けているようだ。
「ここまですでに10勝を挙げている永野猛蔵騎手・小沢大仁騎手を筆頭に、デビュー当初から話題を集めた古川奈穂・永島まなみの女性騎手コンビなど、今年の新人騎手は粒ぞろいと評判ですが、176cmという長身の松本騎手はこれまで115戦2勝と、同期にやや後れを取っている印象があります。
最後に勝ったのが先月の25日で、この日まで約1カ月間勝利なし。40連敗以上を重ねている中での惜しい競馬に、思わず気持ちが切れてしまったのかもしれません。ただ、通算2勝のうちの1勝は単勝187.6倍で挙げたもの。穴党からは、早くも熱い視線を送られている新人だけに、この失敗を糧に頑張ってほしいですね」(別の記者)
「手足の長さを生かし、一鞍一鞍大切に騎乗して良いパフォーマンスができる騎手になりたい」
JRAの公式HPで、そう抱負を語っている松本騎手。騎乗停止となった今回を猛省し、自身が掲げる「一鞍一鞍大切に騎乗するジョッキー」を目指してもらいたい。(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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