GJ > 競馬ニュース > 「変幻自在」の逃げ馬を手掛けた個性派調教師
NEW

武豊とシーキングザパールを幻惑し、サイレンススズカの心を折った稀代の逃げ馬。1000m通過62.7秒と56.5秒「変幻自在」の逃げ馬を手掛けた個性派調教師【特別寄稿】

【この記事のキーワード】, ,

武豊とシーキングザパールを幻惑し、サイレンススズカの心を折った稀代の逃げ馬。1000m通過62.7秒と56.5秒「変幻自在」の逃げ馬を手掛けた個性派調教師【特別寄稿】の画像1

 17日、報道各社を通じて残念なニュースが届いた。騎手、調教師として活躍した野村彰彦さんが病気のため、13日に死去したことを日本調教師会が発表したのだ。

 野村調教師といえば、やはり1997年の桜花賞馬キョウエイマーチが真っ先に思い出される。旧阪神コースの大外18番という圧倒的な不利を跳ね返し、女王メジロドーベルとの一騎打ちを制した本馬は、今なお最強の桜花賞馬の1頭に挙げられるほどだ。

 しかし、筆者個人的な思い入れで恐縮だが、キョウエイマーチの強さを最も実感したのは、桜花賞(G1)を勝った3歳春ではなく、むしろ3歳秋だった。

「シーキング敗れたりー!」

 ゴール前で馬場鉄志アナの悲鳴にも似た実況が印象深いのは、1997年のローズS(G2)だ。

 オークス(G1)を勝ったメジロドーベルが不在にもかかわらず、桜花賞馬のキョウエイマーチが単勝3.9倍の2番人気に甘んじたのは、当時NHKマイルC(G1)を含め重賞4連勝中だったシーキングザパールが1番人気に推されていたからだ。

 幼さを見せて敗れた阪神3歳牝馬S(現・阪神ジュベナイルフィリーズ、G1)以降、シンザン記念(G3)、フラワーC(G3)、ニュージーランドT4歳S(現・ニュージーランドT、G2)、そしてNHKマイルCと全く危なげなく4連勝。主戦の武豊騎手が惚れ込む大器が、後にフランスのモーリス・ド・ゲスト賞を制し、日本調教馬初の欧州G1制覇の偉業を成し遂げることはあまりに有名だ。

 しかし、このローズSでキョウエイマーチはシーキングザパールを“幻惑”。果敢にハナを奪うと、鞍上の松永幹夫騎手(現調教師)は単勝1.4倍という大本命馬にマークが集まっていることを尻目に1000m通過が62.7秒という超スローに落とし込む。

 これにはシーキングザパールの武豊騎手も早めにキョウエイマーチを捕えに行くが、2頭の最後の600mをまったく同じ35.3秒でまとめられては、物理的に届かない。伏兵メイプルシロップに先着を許したシーキングザパールは、このレースで3着に敗れている。

 これだけを見れば、キョウエイマーチの逃げが「上手くハマっただけ」という話になるだろう。この馬の真の恐ろしさは、2走後のマイルCS(G1)で見せたパフォーマンスで一気に跳ね上がる。

武豊とシーキングザパールを幻惑し、サイレンススズカの心を折った稀代の逃げ馬。1000m通過62.7秒と56.5秒「変幻自在」の逃げ馬を手掛けた個性派調教師【特別寄稿】のページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

17:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. ジャパンCはノーザンファームに逆らうな?武豊×ドウデュース、ルメール×チェルヴィニア、さらに社台グループの意外な隠し玉が出走?
  2. クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
  3. 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
  4. ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
  5. C.スミヨン騎手「サンデーが拒否」原因はC.ルメール騎手? ドバイターフ(G1)リアルスティール「鞍上ドタバタ劇」の裏事情
  6. 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
  7. 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
  8. 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
  9. エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
  10. 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!