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JRA クロノジェネシス、ディープボンド「絶望的」雨予報も好走が約束!?凱旋門賞(G1)は“道悪”だからこそ勝算あり

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 10月3日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)。日本からはクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)とディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)の2頭が出走を予定している。

 昨年春秋グランプリを制覇したクロノジェネシスは、今年も宝塚記念(G1)を連覇したように日本の現役最強馬といってもいい実力馬。同馬が直行を選んだのに対し、ディープボンドは前哨戦のフォワ賞(G2)を勝利し、順調な過程を経ている。現地のブックメーカーを見るかぎり、2頭とも比較的高い評価を得ており、「今年こそ」悲願達成をと期待するファンも多いのではないか。

 そこで、気になるのが当日の天気だ。過去2年、凱旋門賞は一昨年が重、昨年が不良馬場での開催。当日の馬場状態で、重の巧拙を問われる可能性も高いため、開催が近づくにつれ、関係者やファンも週末の天気が気になり始める頃である。

 馬場も軽く、高速決着も多いことで知られる芝コースを走り慣れた日本馬にとっては、出来ることなら良馬場での開催を祈りたかったところだが、残念ながらそうとはならなそうだ。

 パリの週間天気予報は1日(金曜)からレース当日の日曜まで雨。29日のレーシングポスト電子版は「予報では金曜の午後から日曜午後までに30ミリの降雨の可能性がある」と伝えた。このまま予報の通りだと、3年連続の道悪競馬になる可能性が高い。

 クロノジェネシス、ディープボンド共に、日本の馬場では「重の鬼」といえる2頭だが、ただでさえタフといわれるロンシャンで馬場が悪化することは、歓迎とはいかないだろう。

 ここで、思い出されるのが近2年凱旋門賞へ出走した日本馬の成績だ。

 一昨年はフィエールマン、キセキ、ブラストワンピースの3頭が出走したが、いずれも見せ場すらない惨敗。いずれも日本国内ではG1を中心に活躍を続けていた馬だけに、どれか1頭でも好走してくれればと期待を集めたものの、各陣営が口を揃えた敗因は「馬場」だった。

 キセキに騎乗したC.スミヨン騎手は「パリロンシャンの馬場は特殊で、この粘りの強い馬場はキセキには適していませんでした」、ブラストワンピースの川田騎手は「今日の馬場は厳しかったです」、フィエールマンのC.ルメール騎手も「馬場が重すぎて走りにくかった」と、日本とは異なる特殊な馬場に力を発揮することが出来なかったと振り返っていた。

 また、不良馬場の昨年は、すでに欧州でもG1を勝利するなど適性を感じさせていたディアドラが唯一の日本馬として出走したものの、結果は11頭立ての8着と完敗。鞍上のJ.スペンサー騎手がコメントした敗因もやはり、「とにかく馬場が重かった」というものだった。

 そんな過去の経緯があるだけに、今年も道悪での開催が濃厚となれば「日本馬の出る幕はないのか…」と、落胆するファンもいるかもしれないが、これだけで絶望的だと判断するにはまだ早い。それは、日本馬が2着に入った年はいずれも道悪で好走しているからだ。

 パリロンシャン競馬場が改修前だったとはいえ、日本馬が初めて凱旋門賞勝利を予感したエルコンドルパサーが勝ち負けを演じた1999年。そしてワークフォースにわずか頭差だったナカヤマフェスタの2010年、勝利まで目前のゴール前でソレミアの強襲にオルフェーヴルが不覚を取った12年、同馬がリベンジを懸けてトレヴに敗れた翌13年。これら4回すべてが重または不良での開催だったのである。

 これらの好走パターンは、ステイゴールド産駒であること、宝塚記念(G1)を制していること、または父が欧州で実績を残した種牡馬のいずれかに該当していることだ。

 今年の出走馬では04年の凱旋門賞馬バゴ産駒で、宝塚記念を連覇しているクロノジェネシスが該当する。

 同馬の好走を後押しするのは、前走の宝塚記念で騎乗したルメール騎手のコメント。レースの勝算について、フランスメディアのインタビューに答えた際、「(クロノジェネシスは)凱旋門賞勝ち馬バゴの仔です。緩い馬場が得意です」と、日本だけでなく欧州の馬場への適性にも太鼓判を押している。他の騎手なら鵜呑みにすることはできないが、フランス出身のルメール騎手なら信じてよさそうだ。

 これに対し、もう1頭のディープボンドは、全くダメなのかというとそうでもない。こちらも前走で騎乗したC.デムーロ騎手が「(ディープボンドは)雨が降っても困らないと思う。少しソフトな馬場が一番よさそうだね」と、日刊スポーツ主催の兄M.デムーロ騎手とのリモート対談で回顧。いずれも欧州の競馬を経験している騎手なら、これ以上ない援護射撃だ。

 一昨年、昨年と雨に泣かされ続けた日本馬だが、過去の好走例を考えると、もしかしたら今年は一転して「恵みの雨」となる可能性すら出てきた。はたして、第100回目の記念すべき凱旋門賞は、日本競馬の「夢」がいよいよ「現実」となるのだろうか。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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