元JRA藤田伸二氏「勝ちにいってない」のに武豊の代打・池添謙一に賛辞を送った理由。メイケイエール“アドバイス通り”のレースぶりにご満悦?
3日、中山競馬場で行われたスプリンターズS(G1)は、3番人気ピクシーナイトが優勝。07年のアストンマーチャン以来、14年ぶりに3歳馬が秋のスプリント王に輝いた。
2馬身差の2着にはレシステンシア、さらにアタマ差の3着に伏兵シヴァージが入った。そして、やや離れた4着に追い込んだのが7番人気のメイケイエール(牝3歳、栗東・武英智厩舎)だった。
「これまで少なくない“被害馬”を生んできただけに、メイケイエールのレースぶりに注目していたファンは多かったと思います。今回はまずまずのスタートを切りましたが、すぐに首を横に振って鞍上に抗う素振りを見せると、外にいたタイセイビジョンに猛然とタックル。さらに外のエイティーンガールも、そのあおりを受け弾き飛ばされるという不利を与えてしまいました」(競馬記者)
実際、武豊騎手から“代打”を託される形になった池添謙一騎手だが、レース後にはこのタックル(斜行)に対して、JRAから戒告処分が下されている。
池添騎手といえば、これまでオルフェーヴルやスイープトウショウなど数々の癖馬を扱ってきた名手だ。しかし、この斜行には、「スタートして、タイセイビジョンとエイティーンガールに迷惑をかけてしまいました」と平身低頭。池添騎手をもってしても、メイケイエールを制御するのは難しかったようだ。
一方で『スポーツ報知』によると、「いかに、リラックスできるかだと思っていたが、馬自身が行く競馬を覚えている。それでも、我慢させたし、コントロールできている方だと思う。一度、我慢を経験させたので、それが次に生きると思う」ともコメント。レース途中からは今後につながる内容の競馬ができたと前を向いた。
そんな池添騎手とメイケイエールに注目の眼差しを送っていたのは一般のファンだけではない。元JRA騎手の藤田伸二氏もこのコンビに熱い視線を注いでいた。
レース前日には、「個人的に着順ともかく3枠に入ったメイケイエールの謙一の乗り方に注目だ」とツイート。
先月24日のYouTube配信では「(メイケイエールが)行きたがっても無理してでも抑えて、上がりの3ハロンでどれくらいの脚を使えるのか。後ろから残り600mまで我慢して、そこから大外ブン回してどれくらいの脚を使えるか。そうしたら次のレースにつながると思う」と、前半に我慢させれば次につながるという趣旨の“アドバイス”を池添騎手に送っていた。
「実際に、レース前半は持っていかれる場面がありましたが、外に出してからは何とかなだめて、我慢が利いていたように見えました。イン有利な馬場、さらに前残りの展開で4角7番手から大外を回し、4着に追い上げた競馬は今後に向けて大きな収穫になったと思いますよ」とは記者の言葉だ。
藤田氏はこの日も15時から自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を行っていたが、メイケイエールの走りを見届け、「いい意味で勝ちにいっていない。馬に勉強できるレースができたんじゃないかな」と自身のアドバイス通りメイケイエールに我慢の競馬を実践した後輩に賛辞を贈った。
他馬に迷惑をかけた上、暴走気味にハナを奪って最下位に敗れた2走前の桜花賞(G1)。同じような競馬で1番人気を裏切った前走のキーンランドC(G3)。この2戦に比べると、今回の騎乗が次につながるのは間違いない。
レース後に戒告を受けてしまったこともあり、池添騎手にとって今回の代打騎乗は満点とはいかなかった。だが、少なくともメイケイエールの未来に繋がる競馬をすることには成功したのではないだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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