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JRA武豊「幻のガッツポーズ」も赤っ恥!? グラスワンダーVSスペシャルウィークが激戦を繰り広げた有馬記念(G1)、それでも今年の二強決着は半信半疑?

JRA武豊「幻のガッツポーズ」も赤っ恥!? グラスワンダーVSスペシャルウィークが激戦を繰り広げた有馬記念(G1)、それでも今年の二強決着は半信半疑?の画像1
クロノジェネシス

 中山競馬場で26日開催される暮れのグランプリ・有馬記念(G1)。1年の総決算ともいわれる年末の風物詩だが、28日にはホープフルS(G1)、29日には大井の東京大賞典(G1)も控えているのでご安心を。

 数あるJRA・G1でも断然の売上げを誇る今年のドリームレースの主役候補は2頭。1頭は宝塚記念(G1)を含むグランプリ4連覇を目論むクロノジェネシス(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)。もう1頭は今年の皐月賞(G1)を制し、天皇賞・秋(G1)で昨年の無敗三冠馬コントレイルを破ったエフフォーリア(牡3、美浦・鹿戸雄一厩舎)だ。

 他馬に比べて実績的にも一歩も二歩もリードしているだけに、「二強対決」と見ているファンも多いだろう。23日現在、『netkeiba.com』による有馬記念の単勝予想オッズでも、8.4倍で3番人気タイトルホルダーに大差をつけて、2.0倍の1番人気にクロノジェネシス、2.1倍の2番人気のエフフォーリアと僅差。最終的にどちらが1番人気となるかは、レース当日までわからなさそうである。

 こうした予想オッズからも二強中心の馬券を購入すれば、予想は容易に思えてくるものの、そう簡単には的中させてくれないのも有馬記念の特徴だ。

 3番人気の馬が離された二強対決は、過去30年で1999年(グラスワンダーVSスペシャルウィーク)、2009年(ブエナビスタVSドリームジャーニー)、11年(オルフェーヴルVSブエナビスタ)、12年(ゴールドシップVSルーラーシップ)、16年(サトノダイヤモンドVSキタサンブラック)、そして20年(クロノジェネシスVSフィエールマン)の6回があった。

 うち二強で決まったのは3回のみ。それ以外は1頭が3着に敗れるか、馬券圏外に敗れている。確率にして2回に1回はハズレている計算だから、過度の期待を持つのは禁物といえる。

 勿論、競馬ファンの多くが望む最強馬2頭の激突は、大きな感動を呼ぶのも確か。今なお伝説として語られているのは、99年だろう。

 この年の凱旋門賞(仏G1)でモンジューの2着に入ったエルコンドルパサーが不在ということもあって、覇を争ったのが未だに最強世代と呼び声高いグランワンダーとスペシャルウィークによる二強対決だった。

 当時まだクラシック出走の叶わなかった外国産馬と、前年のダービー馬が初めて顔を合わせたのはこの年の宝塚記念。年始から3連勝中のスペシャルウィークが迎え撃つ格好となったが、直線で先に抜け出したライバルをグラスワンダーがあっさり交わし、あろうことか3馬身という決定的な差をつけて圧勝するという衝撃的な幕切れに終わった。

 そんな両者の第2ラウンドとして火花を散らしたのが暮れの大一番。春の雪辱を狙うスペシャルウィークは、天皇賞・秋、ジャパンC(G1)を連勝し、鞍上の武豊騎手もリベンジの準備は万端だったに違いない。

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武豊騎手

 そして天敵打倒に向けて武豊騎手も「秘策」を用意していた。目標にされた前回とは逆に、今回はグラスワンダーを徹底的にマークする競馬で逆転を目論む。14頭立てで行われた芝2500mのレースは、ゴーイングスズカが逃げ、11番手のグラスワンダーに対し、スペシャルウィークはなんと最後方。さらには1000m通過65秒2という、G1ではそうそう見られない超スローペースでもあった。

 ともすれば2頭とも末脚不発の共倒れにもなりかねない展開に、固唾を飲んで見守ったファンは少なくなかったはず。

 レースが動いたのは、やはりグラスワンダーが3~4コーナーに掛けて上がったタイミング。これに呼応して武豊騎手も「待ってました」と言わんばかりに追撃を開始する。最後の直線で先に仕掛けたライバル目掛けてパートナーを叱咤激励。大外から豪脚を炸裂させ、横一線に並んで追い詰めたところがゴール。どちらが先着したかわからない結末に、中山競馬場に掛けつけた多くの観客はざわつき、そして写真判定の結果を待つ静寂が訪れた。

 沈黙を破ったのは、武豊騎手がガッツポーズをした瞬間だ。ゴール前の脚色は確かに上回っていただけに、勝利を確信したのかもしれない。

 しかし、大歓声を前にウイニングランが始まろうとした矢先、皮肉にも掲示板の1着に表示されたのは、グラスワンダーの馬番。クビの上げ下げによるわずか4センチ差という際どい決着でまたしても敗れた結果、これがラストランだったスペシャルウィークは、ほろ苦い記憶を残してターフを去っていった。

 過去の二強対決の歴史的には、このような血沸き肉躍るような好レースも繰り広げられた有馬記念だが、はたして今年のクロノジェネシスとエフフォーリアは、これに引けを取らない好レースを我々に見せてくれるだろうか。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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