JRA藤沢和雄師、最後の大勝負へ! 引退を控えた7人の調教師が送り出す出走馬一覧と“買うべき”馬
早いもので2月が終わるが、それはJRAにおいてひとつの区切りとなる。
70歳で定年を迎える競馬関係者の引退だ。今年は7人の調教師が引退となるが、藤沢和雄調教師や浅見秀一調教師など偉大な名伯楽ばかり。最後のレースだけに、どの馬からも目が離せないといえよう。なぜなら最後の勝利に向けて、どの馬も厩舎一丸となって仕上げ、そして騎手も渾身の騎乗で勝利を目指すからだ。
実際に先週はダイヤモンドS(G3)にて、藤沢和厩舎のランフォザローゼスが11番人気で2着に好走し、3連単31万馬券が飛び出した。しかもそれだけではなく、なんと先週の藤沢和厩舎は3勝2着3回3着2回と怒涛の勢いで馬券に絡んでいるのだ。
当然のことながら最終週となる今週は、その7人の引退を飾るべく激走が期待できる馬が何頭か存在する。今回はその7人の調教師と出走馬についてまとめてみた。特に買うべき馬をピックアップしたので、ぜひ参考にしていただければと思う。
■2022年 JRA引退調教師
・浅見秀一【栗東】
JRA通算:665勝
JRA重賞:27勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
レインボーライン(天皇賞・春)
メジロブライト(天皇賞・春)
ヤマニンシュクル(阪神JF)
ソングオブウインド(菊花賞)
レジネッタ(桜花賞)
今年引退する唯一の関西所属調教師。ヤマニンパラダイスなどを管理した浅見国一調教師は実父。調教助手を経て厩舎を開業し、父が管理したメジロブライトを引き継いで天皇賞・春を制した。最後の週に自ら追い切りに騎乗するなど意欲は衰えない。所属している鮫島克駿騎手の騎乗馬にも注目だ。
・古賀史生【美浦】
JRA通算:532勝
JRA重賞:10勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
トキオパーフェクト(クリスタルC)
シンコウスプレンダ(京成杯AH)
サーガノヴェル(フェアリーS)
アドマイヤホクト(ファルコンS)
ショウナンアポロン(マーチS)
成蹊大学法学部法律学科→麻布獣医科大学獣医学部という華麗な経歴。獣医師免許を取得し、育成牧場での研修を経て1980年に斎藤籌敬厩舎で調教助手となる。調教助手になった8年後には調教師に合格という頭脳の持ち主。G1レースの勝利はないものの重賞10勝を含むJRA通算532勝をあげた。
・高橋祥泰【美浦】
JRA通算:624勝
JRA重賞:12勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
タイキフォーチュン(NHKマイルC)
サウスヴィグラス(根岸S)
カラテ(東京新聞杯)
スマイルカナ(ターコイズS)
コクトジュリアン(クリスタルC)
日本大学獣医学部を卒業して獣医師免許を取得し、日本中央競馬会の獣医師助手、父である高橋英夫厩舎の調教助手を経て調教師へ。厩舎開業2年目で重賞制覇。タイキフォーチュンで第1回NHKマイルCを制した。
・田中清隆【美浦】
JRA通算:493勝
JRA重賞:22勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)
レディパステル(オークス)
グルメフロンティア(フェブラリーS)
シンコウウインディ(フェブラリーS)
ホッカイルソー(日経賞)
元銀行員という異例の経歴を持つ。スピードシンボリなどを管理した名門・野平省三厩舎に騎手候補生として所属し、兄弟子は「ミスター競馬」と呼ばれた野平祐二氏。騎手時代は通算140勝のみであったが、調教師として493勝をあげるなど大成した。
・柄崎孝【美浦】
JRA通算:277勝
JRA重賞:10勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
ドクタースパート(皐月賞)
インターライナー(日経賞)
ゴールデンアイ(東京新聞杯)
ホマレオーカン(愛知杯)
トーワトリプル(日経新春杯)
1976年にJRAの調教師であった父柄崎義信師のもとで調教助手になり、1987年から調教師として厩舎を開業。89年にはドクタースパートで皐月賞を制するなど、好スタートを切る。2010年に引退した元JRA騎手の柄崎将寿氏は実子。
・藤沢和雄【美浦】
JRA通算:1568勝
JRA重賞:126勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
グランアレグリア(マイルCS)
シンボリクリスエス(有馬記念)
バブルガムフェロー(天皇賞・秋)
ゼンノロブロイ(ジャパンC)
タイキブリザード(安田記念)
タイキシャトル(ジャック・ル・マロワ賞)
ダンスインザムード(桜花賞)
レイデオロ(日本ダービー)
言わずと知れたJRAを代表する名調教師。イギリスで厩務員を経験し、野平祐二厩舎の調教助手を経て1988年に開業。外国産馬の積極的な登用など国際派でも知られる。日本ダービーには縁がないと言われていたが、開業30年目の2017年にレイデオロで待望の初制覇。数多くの名馬を管理し、JRA通算1568勝で調教師リーディングを12回獲得。さらに重賞126勝、G1は驚異の34勝とその実績は歴史に残るもの。
・堀井雅広【美浦】
JRA通算:434勝
JRA重賞:17勝
【主な重賞勝ち馬と主な勝ち鞍】
カネツクロス(アメリカJCC)
マイネルレコルト(朝日杯FS)
アポロマーベリック(中山大障害)
マルターズアポジー(小倉大賞典)
ボンネビルレコード(帝王賞)
1973年に騎手としてデビュー。その年に七夕賞をサンヨウコウで勝つなど、いきなり重賞初勝利。重賞2勝を含む通算181勝をあげ1994年に引退し1995年から厩舎を開業。その年にカネツクロスで鳴尾記念を勝利し、調教師としても開業年に重賞初制覇を達成。芝、ダート、障害それぞれで活躍する名馬を育てた。
■各厩舎の最終週出走馬(★印は推奨馬)
・浅見秀一【栗東】
2/26
阪神 5R スマートプレジール 福永 祐一(栗東)
阪神 6R メイショウワダマ 田中 健(栗東)
小倉 1R ニシノメイタンテイ 松若 風馬(栗東)
小倉 2R ヤマニンサルバム 鮫島 克駿(栗東)★
小倉 3R シャスティーナ 鮫島 克駿(栗東)
小倉 3R メイショウデージー 角田 大和(栗東)
小倉 4R ミコブラック 難波 剛健(栗東)
小倉10Rレディステディゴー 鮫島 克駿(栗東)
2/27
中山10Rアウトウッズ 津村 明秀(美浦)★
中山10Rジゲン 田辺 裕信(美浦)★
阪神 3R ハルキファイト 岩田 康誠(栗東)
阪神10Rプレヴォール 田中 健(栗東)
小倉 3R メイショウモヒート 小沢 大仁(栗東)
小倉 7R ラグラスドシエル 永島 まなみ(栗東)
ヤマニンサルバムはここまで2戦してともに2着と能力上位。最終追い切りは、なんと浅見調教師が自ら騎乗して仕上げた。鮫島駿騎手にとって「絶対に負けられない戦いがここにある」といえよう。唯一の中山遠征はアウトウッズとジゲンの2頭出し。クラス実績、コース実績のあるジゲンが上位も、昇級戦のアウトウッズもコース実績があり、手頃なハンデで侮れない。
・古賀史生【美浦】
2/26
中山 2R セキテイリュウビ 武士沢 友治(美浦)
中山 4R アイパラドックス 武士沢 友治(美浦)
中山 4R シルバーキングダム 吉田 豊(美浦)
中山12Rノーベルプライズ 丸山 元気(美浦)
2/27
中山 3R キソー 武士沢 友治(美浦)★
中山 4R ナツイチバン 吉田 豊(美浦)
中山10Rノアヴィグラス 吉田 豊(美浦)
キソーはデビュー戦の前走は7着も上がり2位タイの脚で追い込んだ。一瞬の脚が魅力で流れが速くなれば大駆けも。他の出走馬は力不足か。
・高橋祥泰【美浦】
2/26
中山 2R オールイズトゥルー 菅原 明良(美浦)★
中山 4R ルナブリエ 山田 敬士(美浦)
中山 8R グルナピーク 柴田 大知(美浦)
中山 9R ウインマイルート 石川 裕紀人(美浦)
2/27
中山 4R コスモガラクシア 柴田 大知(美浦)
中山11Rカラテ 菅原 明良(美浦)★
中山12Rコスモオリ 津村 明秀(美浦)
小倉 8R ファイアダンサー 丹内 祐次(美浦)★
小倉10Rマイネルジャッカル 丹内 祐次(美浦)
オールイズトゥルーは芝1200mの条件で2着好走実績。ダート替わりは未知数だが先行力を活かせれば金星も。ファイアダンサーは前走が1番人気で3着。連闘で勝負をかける。中山記念のカラテは1600m向きではあるが初勝利はコーナー4つの2000m。最終追い切りも好内容なだけに要注意。
・田中清隆【美浦】
2/26
中山 2R ナナコロビヤオキ 岩部 純二(美浦)
中山 3R セッタレダスト 柴田 大知(美浦)
中山12Rレイテントロアー 菅原 明良(美浦)
阪神 9R ブライトンロック 松田 大作(栗東)
2/27
中山 2R シュバルツヴァイス 小林 脩斗(美浦)
中山 6R ラストアプローズ 菅原 明良(美浦)
中山 8R ラブリークイーン 横山 琉人(美浦)
小倉12Rフォレスタ 角田 大和(栗東)★
8頭出しだが、狙い目は最後の出走馬でもあるフォレスタ。2走前にこのコースで勝利し、昇級戦も0.1秒差の4着。今回は牝馬限定戦で相手弱化、減量騎手も後押し。
・柄崎 孝【美浦】
2/26
中山 3R ジャンポール 丸田 恭介(美浦)
中山 7R スズカコテキタイ 内田 博幸(美浦)
中山 8R スズカブランコ 石川 裕紀人(美浦)
中山 8R タイガ 丸山 元気(美浦)
小倉11Rクールファイブ 勝浦 正樹(美浦)★
2/27
中山 6R スズカビーチ 木幡 育也(美浦)
小倉 7R アドマイヤリーブラ 丸田 恭介(美浦)
小倉12Rキヨラ 勝浦 正樹(美浦)
全体的に厳しい布陣だが穴狙いを込めてクールファイブを推奨。ダートで2勝して芝は実績なしだが、今の荒れた小倉の馬場であれば激走があっても不思議ではない。低レベルなメンバー構成もプラス。
・藤沢和雄【美浦】
2/26
中山 7R ポイズンアロウ 北村 宏司(美浦)
中山 9R ワールドコネクター 北村 宏司(美浦)
中山10Rカランドゥーラ 田中 勝春(美浦)★
中山11Rレッドクレオス 杉原 誠人(美浦)
阪神 8R サトノフォース 川田 将雅(栗東)
小倉 8R ゼノヴァース 大江原 圭(美浦)
小倉 8R ルヴォルグ 草野 太郎(美浦)
2/27
中山 4R ビートエモーション 川田 将雅(栗東)★
中山 7R レッドモンレーヴ 川田 将雅(栗東)★
中山11Rコントラチェック 丸山 元気(美浦)★
中山11Rゴーフォザサミット 北村 宏司(美浦)
中山11Rレッドサイオン 木幡 育也(美浦)
カランドゥーラの兄はダイヤモンドSで激走したランフォザローゼス。鞍上の田中勝春騎手はこの兄弟と相性が抜群で、昇級戦とはいえここも軽視できない。ビートエモーションとレッドモンレーヴは珍しく川田将雅騎手が騎乗。C.ルメール騎手の代打と考えると、本人も気合が入るだろう。JRA最後のレースとなる中山記念は3頭出しだが、コントラチェックは54kgが有利。重賞3勝の中山コースなら買いだ。
・堀井雅広【美浦】
2/26
中山 8R コスモコラッジョ 小林 脩斗(美浦)
中山10Rチアチアクラシカ 武 豊(栗東)★
2/27
中山12Rフーズサイド 菊沢 一樹(美浦)
鞍上に武豊騎手を確保したチアチアクラシカが狙い。昇級後も大崩れはなく、名手の手綱捌きひとつで勝機も。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。
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