JRA異国の地で「覚醒」したC.ルメールの背後に引退する恩師の影、サウジカップデー舞台裏で届けた戦友への「最後の贈り物」

先週の開催をもって定年を迎えた名伯楽・藤沢和雄調教師。最終日の27日、現役最後のレースとなった中山記念(G2)に3頭出しで臨むも、結果は3頭とも善戦することなく終わった。それでも川田将雅騎手とのコンビで当日2勝を挙げる存在感を残し、ターフに別れを告げた。
日本時間で26日の夜から27日の朝方にかけては、藤沢和師とのコンビでG1を10勝したC.ルメール騎手が、異国の地サウジアラビアで「師へのはなむけ」と言わんばかりの大活躍をみせ、日本に嬉しい報告を届けた。今年に入り、国内の重賞ではいまだ勝ち星がない同騎手が、まるで別人のような大活躍だった。
初陣となったネオムターフC(G3)でオーソリティと逃げ切り勝ちを収め、流れを引き寄せたかと思えば、2戦目の1351ターフスプリント(G3)では、久々のコンビ結成となったソングラインで大激戦を制した。続くレッドシーターフH(G3)は、ステイフーリッシュで見事な逃げ切り勝ちを決め、同馬にとって2018年の京都新聞杯(G2)以来となる復活Vに導いた。
その後、コンシリエーレに騎乗したサウジダービー(G3)は3着に敗れ、日本馬の同レース3連覇とはならなかったが、続くリヤドダートスプリント(G3)では初コンビとなったダンシングプリンスで2着に5馬身差以上をつける圧勝を決めた。
国際レースで全て日本馬に騎乗し、1日で重賞4勝を挙げたルメール騎手は「今夜は(久々の海外での騎乗で)新鮮でした。私が乗った馬たちにとってもすごくいい日になったし、何と言っていいか分からないくらいです」(『東京スポーツ』より引用)と喜びを爆発させた。
しかし、そんな大活躍の裏には、実は藤沢和師の強力な後押しが隠されていた。
■勝った日本馬と藤沢和雄調教師に驚きの関係が……
「ルメール騎手の海外での大活躍に、引退する藤沢和師もきっと喜んでいるだろうなと、ふと勝ち馬の情報を眺めていると、驚きの事実を発見したんです。
オーソリティとソングラインの母父はともに、史上初の有馬記念(G1)連覇を達成したシンボリクリスエスで、ダンシングプリンスの母父は96年の天皇賞・秋(G1)を制したバブルガムフェローでした。つまりルメール騎手が勝利に導いた4頭の内3頭は、藤沢和師が育てた馬の血が流れていました。こんな偶然あり得ますかね。
ルメール騎手の海外での勝利が帰国後の起爆剤になるように、藤沢和師が遠くから最後の後押しをしてくれたのかもしれません。本当に最後の最後まで最高のコンビでしたね」(競馬誌ライター)
昨年、引退レースとなったマイルCS(G1)をルメール騎手とのコンビで制し、藤沢和師に最後のG1勝利を届けた名牝グランアレグリアは今年、繫殖牝馬としてシンボリクリスエスの子エピファネイアとの交配を予定している。同師の功績は、今後も後世に引き継がれ、様々な形でターフを賑わせてくれるに違いない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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