JRA弥生賞敗戦ドウデュースに忍び寄る「マイラー疑惑」の影、武豊「許容範囲内」「距離延長問題なかった」も……致命的な「ビハインド」が浮き彫り
6日、中山競馬場で開催された弥生賞ディープインパクト記念(G2)を制したのは、出走メンバーで唯一のディープインパクト産駒だったアスクビクターモア(牡3、美浦・田村康仁厩舎)だった。
デビューから無敗の3連勝で昨年の朝日杯FS(G1)を優勝したドウデュース(牡3、栗東・友道康夫厩舎)は、1番人気に支持されたものの、先に抜け出していた勝ち馬を捉えることが出来ずにクビ差の2着に敗れ、初めて土がついた。
連勝がストップしてしまったことは残念だが、道中でスムーズさを欠いたことも敗因の一つと考えられるため、休み明けのトライアルとしては悪くない結果にも思える。
「勝って本番へ向かいたかった。残念です」
敗戦を振り返った武豊騎手は、「道中は少し行きたがったが、これは許容範囲内でしょう。距離延長も問題なかった」と前向きなコメントを残した。
とはいえ、不覚を取った相手は2頭が直接対決した昨年のアイビーS(L)で負かしていたアスクビクターモア。前走で1勝クラスを勝ち上がったばかりの馬に大金星を献上してしまったことに胸中は複雑だろう。
この経験が本番となる皐月賞(G1)に繋がればいいのだが、格下相手に意外とあっさり負けたようにも感じられるのは単なる気のせいだろうか。なぜなら直行組や他ステップを選択した馬との力関係が見劣る可能性が出て来たからだ。
■トライアル組VSその他の力関係
個人的には競馬界の第一人者である武豊騎手と、その熱烈なファンとして知られるキーファーズのコンビが送り出したドウデュースが、直行ではなくトライアルを挟んだことは歓迎したい気持ちもある。
ただ、近年のノーザンファーム系クラブ馬による使い分けや、長距離戦を軽視するかのような使われ方を少なからず好意的に見ていない当方の立場も否定しきれない。それだけに、最近のトレンドから外れても、弥生賞から本番に向かうローテーションを選択したドウデュースへの期待も大きかった。
しかし、許容範囲の敗戦といえども、同馬への危惧が現実となったことも事実。その伏線として注目したいのは、昨秋の東京競馬場で行われた2歳戦の明暗である。以下は主だったレースの一覧。
■昨秋の東京競馬場で行われた主だったレース
赤松賞(1勝クラス・芝1600m) ナミュール、1分33秒8(33秒0)
アルテミスS(G3・芝1600m) サークルオブライフ、1分34秒0(33秒5)
サウジアラビアRC(G3・芝1600m) コマンドライン、1分36秒4(33秒5)
東京スポーツ杯2歳S(G2・芝1800m) イクイノックス、1分46秒2(32秒9)
アイビーS(L・芝1800m) ドウデュース、1分49秒3(34秒0)
※レース(クラス・条件) 勝ち馬、走破時計(上がり3ハロン)、すべて良馬場。
昨年のホープフルS(G1)で1番人気に支持されたコマンドラインについても危惧していたことなのだが、勝ち時計と上がり3ハロンの差が、そのまま後の活躍に比例しているような結果となっている。
レース展開や相手関係もあるとはいえ、好時計と速い上がりで勝利していたナミュールとサークルオブライフがその後も結果を残したのに対し、超スローの前残りに終わったサウジアラビアRCの1着コマンドラインと2着ステルナティーアは伸び悩んでいる。
また、これ以外にもクラシックの大物候補といわれるダノンベルーガやドゥラドーレスの勝ち時計もそれほど速くはないという話もありそうだが、これらは超スローを前残りした訳ではなく、後方から凄まじい切れ味を繰り出しての快勝。むしろ逆境を跳ね返したことを評価すべきだろう。
勿論、マイル戦の阪神JF(G1)の勝ち時計1分33秒8に対し、朝日杯FSを1分33秒5で勝ったドウデュースを同列に扱うにはまだ早い。
だが、額面上の数字のみで判断した場合、東京スポーツ杯2歳Sの勝ち時計と上がり3Fの数字がアイビーSを凌駕しているように、少なくとも中距離戦で同馬のパフォーマンスが見劣りしたことは確か。対イクイノックスの勝算は想像以上に低いのかもしれないが、この不吉な予兆を覆してくれることに期待したい。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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