JRAフィリーズレビュー(G2)池添謙一「これだから競馬は面白い」自身の騎乗停止「被害者」からの意外な指名に昨日の敵は今日の友!?
「騎乗停止になりました…被害を受けた馬の関係者に申し訳ないです」
先月6日、自身の公式Twitterを通じて謝罪したのは、池添謙一騎手だ。
前日5日、中京競馬場で行われた5Rの3歳未勝利で2番人気のハギノモーリスに騎乗した同騎手は、最後の直線で大きく斜行し、外側にいた2頭と玉突き事故のような形で接触。ハギノモーリスは1位入線したものの、最終的に他馬を妨害したとして3着に降着となり、同騎手には開催4日間の騎乗停止処分が下った。
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この降着劇に対し続けて「新馬戦でステッキに敏感で怪しい動きをしていたので気をつけてはいたんですけど、防げなかったです」とパートナーの癖をあらかじめ把握しつつも制御出来なかったことを説明し、「先頭でしたし、勝ち負けだったので追ってましたし、鞭もあそこでは使ってしまいました」と当時の状況を振り返った。
無論、故意ではないにしろ、プロとして処分 を受けるのが競馬の世界だ。結果的に被害を受けた2頭は着順こそ繰り上がったものの、一歩間違えれば大事故に繋がりかねない内容だっただけに、何とも歯切れの悪い結末となった。
このレースで1着に繰り上がりという形で勝利を手にしたサブライムアンセム(牝3、栗東・藤原英昭厩舎)だが、13日に阪神競馬場で行われる桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(G2)に出走を予定している。
そして驚くべきことに、同馬を所有するサンデーレーシングが新たに鞍上に抜擢したのは、意外にも池添騎手だった。
■サブライムアンセムとは
これについて今月の8日、池添騎手は再び自身のTwitterで「サブライムアンセム騎乗予定」と報告すると、前走で被害を受けたサンデーレーシングからまさかの騎乗依頼を受けたことに「これだから競馬は面白い。感謝」とツイートした。
「これには本人も少し驚いたのではないでしょうか。前走でサブライムアンセムに騎乗した岩田望来騎手が中京の金鯱賞(G2)に出走予定のソフトフルートに騎乗するため、阪神で空いていた池添騎手に白羽の矢が立ったのかもしれません。
サンデーレーシングと池添騎手のコンビといえば、ドリームジャーニーやオルフェーヴルなどの名馬でも知られているが、近年でも2020年の高松宮記念(G1)や安田記念(G1)のグランアレグリアや、21年のNHKマイルC(G1)でのソングラインなど実力馬での起用が目立ち、もはや準主戦ともいえる存在です。
前走で一悶着あったにもかかわらず、鞍上に指名するという事は、よっぽど信頼関係が成り立っている証でしょう」(競馬誌ライター)
サブライムアンセムは、父ロードカナロアと母パストフォリアの間に生まれた牝馬で、叔父に12年の朝日杯FS(G1)で2着のコディーノ、叔母に16年のオークス(G1)で2着のチェッキーノがいる良血だ。前走の初勝利まで実にデビューから6戦を要したが、能力は非凡なものがあり、ようやく素質が開花してきた印象だ。
今回は前走の1600mからの距離短縮となるが、1400mという距離は未勝利戦ながら過去に3戦して3連対しており、むしろ好都合といっていい。近走は鋭い末脚を安定して使っているだけに、いきなりの重賞挑戦でも面白い存在だ。
同馬を管理する藤原調教師も『スポーツニッポン』の取材に「能力はあるが乗り難しいところがあるからな。あとはドライバー次第。池添次第やな」と回答しており、じゃじゃ馬の乗りこなしに定評がある池添騎手に期待を寄せている。9日の最終追いでは、池添騎手を背に栗東ウッドで4ハロン54秒7-11秒4をマークし、単走で鋭い伸びを見せたように態勢は整った。
サンデーレーシングからの予想外の指名により、サブライムアンセムと初コンビを組むことになった池添騎手。よもやのチャンスを活かして桜花賞への出走権をとり、本番へ繋げられるか。注目したい一戦だ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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