JRA「重賞30連敗」C.ルメールに5大クラシック8枠完全制覇の呪い…桜花賞馬スターズオンアース騎乗でチャンス到来も泣きっ面にハチ
22日に東京競馬場では牝馬クラシック第2戦・オークスが行われる。3歳牝馬の頂点を決める戦いとあって注目度も段違いに高いレースだが、戦前に最も注目を集めたのは桜花賞(G1)を制したスターズオンアースを巡る乗り替わりだろう。
スターズオンアースは桜花賞では川田将雅騎手が騎乗し、テン乗りとは思えない見事な騎乗で勝利を掴んだ。当然オークスでもコンビ継続と誰もが思っていたが、川田騎手は忘れな草賞(L)を制したアートハウスを選択。
桜花賞馬を”乗り捨て”する形となった川田騎手の選択は大きな話題となり、憶測を呼んだ。共同会見では記者からの質問の最後に抱負を問われた際に、川田騎手が自ら切り出す形で乗り代わりの理由が説明されている。
異例ともいえる乗り替わりは、かつて自らが主戦を務めながら、あと一歩でG1勝利へ導けなかったパールコードの仔であるアートハウスを「代わりにG1馬にしてあげたい」という思いを優先しての決断だった模様。川田騎手の熱い思いが伝わる美談であるが、スターズオンアースの陣営は複雑な心境であっただろう。
そこで白羽の矢が立ち、スターズオンアースに騎乗することになったのがC.ルメール騎手だ。
ルメール騎手は2017年から5年連続でリーディングを獲得している言わずと知れたトップジョッキーであるが、今年の牝馬クラシック戦線ではお手馬に恵まれず、桜花賞では12番人気のフォラブリューテに騎乗していた。幸運にも手が空いていたルメール騎手を確保できたことで、陣営も安堵したに違いない。
一方のルメール騎手にとっても、スターズオンアースの騎乗は大きなチャンスである。現在ルメール騎手は「JRA重賞30連敗」の大不振に陥っている。そこに突如として訪れた桜花賞馬の騎乗機会、これをきっかけに連敗脱出を図りたいはずだ。
しかし木曜日に発表された枠順を見て、ルメール騎手は苦い顔をしたに違いない。スターズオンアースは大外8枠18番に入ってしまったのである。
ルメール騎手は5大クラシックすべてで「8枠」
東京2400mは内枠が有利なコース形態であり、過去10年のオークスで8枠に入った馬は(0-1-2-27)と散々な結果となっている。更に大外18番に入った馬に限るとその成績は(0-0-0-10)と全滅。不振脱出の期待がかかるチャンスの中で、まさかの「死枠」を引いてしまったルメール騎手。この事態は、まさに泣きっ面に蜂であろう。
加えて、ルメール騎手の昨年の日本ダービー(G1)以降のクラシックでの枠順をみると、衝撃の事実が浮かび上がる。以下に各レースの枠番と騎乗馬を列挙する。
2021年 日本ダービー 8枠16番 サトノレイナス
菊花賞 8枠18番 オーソクレース
2022年 桜花賞 8枠17番 フォラブリューテ
皐月賞 8枠18番 イクイノックス
オークス 8枠18番 スターズオンアース
このように、実はルメール騎手は昨年の日本ダービー以降1年間にわたり、クラシックでは8枠に入る憂き目にあっている。
19年にグランアレグリアで桜花賞を、サートゥルナーリアで皐月賞を制して以降、クラシックの勝利から遠ざかっているルメール騎手。20年のクラシックは牡牝の無敗3冠馬に独占された分、久しぶりのクラシック制覇を狙いたい所であったはず。だがこうも続けて外枠に入ってしまっては、まさに泣きっ面に”8”という具合である。
オークスでは試練の大外枠に入ってしまったルメール騎手とスターズオンアース。はたして「死枠」の不利を撥ね退けて勝利を掴むことはできるだろうか。
また、ルメール騎手は来週の日本ダービーで騎乗予定のイクイノックスを高く評価しており、皐月賞の後には「ダービーはビッグチャンス」とコメントを残している。当然だが日本ダービーは特別なレースであり、ルメール騎手にとっても絶対に負けられない1戦である。来週の大一番こそは勝利に繋がる好枠を引き当て、”8”から逃れられるのかにも合わせて注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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