JRA宝塚記念(G1)昨年ジャパンC「4着馬」がまさかの除外危機…主な勝ち鞍“3勝クラス”が優先されるファン投票選出の歪み
長く続いた春のG1戦線もいよいよ最終章、26日にはグランプリ・宝塚記念(G1)が行われる。それに先立って12日、宝塚記念の登録馬がJRAから発表された。
今年は例年以上に豪華メンバーが揃い踏み。ファン投票1位となったタイトルホルダー、前走大敗からの復活を期すエフフォーリア、一昨年の無敗3冠牝馬デアリングタクトなど、計20頭がエントリーを行っている。
しかし20頭の登録に対して宝塚記念のフルゲートは18頭。特に回避馬が出ない限り、現状では登録馬中2頭が除外対象となる見込みだ。実はこの除外対象の中には、好走が期待されていた実力馬も含まれてしまっている。
その馬こそがサンレイポケット(牡7歳、栗東・高橋義忠厩舎)である。
天皇賞・秋、ジャパンCで4着した実力馬が…
サンレイポケットは昨夏の新潟大賞典(G3)で重賞初制覇、その後は並み居る強豪が集った天皇賞・秋(G1)、ジャパンC(G1)でそれぞれ10番人気ながら4着に激走。6歳にして充実期を迎え、中距離路線のトップホースとも遜色ないパフォーマンスを見せていた。
今春はサウジアラビア・ドバイへの遠征も視野に入れていたが、年明け早々に国内のレースに専念することを決定。その際の「上半期は宝塚記念を目標にしたい」という陣営の発言からも、早くから春のグランプリに照準を定めて調整を重ねてきたことが伺える。
前走の鳴尾記念(G3)では約3か月の休養明けながら3着に好走し、一叩きして宝塚記念へ体制万全と思われていた。しかし一転して、宝塚記念は賞金不足でまさかの除外対象に。「大目標」であったはずのグランプリだが、出走は叶わない見通しとなってしまった。
宝塚記念は有馬記念(G1)と並ぶグランプリレースではあるが、6月下旬という開催時期や梅雨時の馬場の悪化が懸念され、近年では有力馬の回避が目立っている。直近10年でフルゲートとなったのは20年のみ、この年もちょうど18頭の登録で除外馬は発生しなかった。
今年のように20頭もの登録馬が集まることは異例であり、除外対象となることはサンレイポケット陣営にとっては想定外であっただろう。
一方で主な勝ち鞍は「古都S(3勝クラス)」であり、OPでの実績はほとんど無いメロディーレーンは、ファン投票17位となり優先出走権を獲得。その小柄さ故の愛らしさから大きな人気と話題性をもつ本馬がファン投票で獲得した票の多くは、競走能力に関係しない部分での人気が大きな要因となっているはずだ。
おそらく仮に2頭が宝塚記念に出走していれば、メロディーレーンよりもサンレイポケットの方が人気になっていた可能性が高い。無論、メロディーレーンの出走権は正当なものではあるが、除外の憂き目にあった陣営や期待をしていたファンにしてみれば、サンレイポケットよりも獲得賞金の低い「アイドルホース」が選出されたファン投票のシステムに恨み節も言いたくなるだろう。
サンレイポケットは各種メディアやSNSでも度々「穴馬候補」として名前が挙がっており、穴党のファンから期待を集めていた1頭。来週までに回避馬が出るなどで、枠が2つ空けば宝塚記念への出走が可能となるが……。
果たしてグランプリへの奇跡の出走は叶うのか、叶わなかった場合の次走はどうなるのか、その動向を注視したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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