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JRA横山武史「位置取りの差でした」キャロットファーム期待馬で痛恨黒星……超スローでも「動きたくても動けない」に過去のトラウマ!?

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横山武史騎手

 素質馬で勝ち負けを期待していたからこそ、若き名手の判断に誤算が生じたのかもしれない……。

 3日、函館競馬場で行われた5Rの2歳新馬は、浜中俊騎手の5番人気の伏兵シーウィザードが優勝。前評判の高かった上位人気馬たちを相手に、見事な逃げ切り勝ちを決めた。

 その一方、1番人気に支持された横山武史騎手のルクスグローリア(牡2、美浦・宮田敬介厩舎)は、直線での猛追届かず惜しくも2着。デビュー前から調教の動きも上々で、陣営としても1勝を計算できるだけの逸材だっただけに、手痛い黒星となった。

「勝った馬はスローで逃げて位置取りの差でした」

 レース後、横山武騎手がそう悔やんだ通り、勝ち馬が刻んだラップは1000m通過が1分3秒3の超スローペース。ルクスグローリアも上がり3ハロン最速となる34秒7の末脚を駆使したものの、相手にも34秒9で逃げられては並び掛けるのがやっと。ペースを考えるとのんびり構え過ぎたようにも映った敗戦に、ネット上の掲示板やSNSでは、一部ファンから「何故早く動かないのか」「大事に乗りすぎ」など、鞍上の手綱捌きに対し疑問の声もあがった。

「このままでは前残りの決着になると察したアオラキの池添謙一騎手が、向正面で早めに仕掛けていったのに対し、横山武騎手はそれに並ばれてからようやく追い出すような形でした。後ろにいた池添騎手が動いたことからも横山武騎手もペースが遅いことはおそらく気付いていたはずです。

自分から先に動いてもよかったようにも感じられる中、アオラキの追い上げに釣られてポジションを上げたのは、結果的に判断が遅かったようにも思います。ワンテンポ早めに前の馬を捕まえに行っていれば、もう少し際どかったかもしれません」(競馬誌ライター)

 ではなぜ、“位置取りの差”と認めつつも、横山武騎手が大事に乗ってしまったのか。その理由の背景には「良い馬なので逃げたくはなかった」と振り返った言葉に関係がありそうだ。

「動きたくても動けない」に過去のトラウマ!?

 思い出されるのは、ルクスグローリアと同じキャロットファームの期待馬で昨年デビューしたヴァンガーズハートの存在。昨年の年度代表馬エフフォーリアの半弟で、兄が有馬記念(G1)を制した前日にデビューしたあの馬である。

 単勝1.7倍の断然人気に推されたレースでは、道中は抑えきれないほどの手応えで最後の直線へ。あっさりと抜け出して先頭に立った際には誰もがこの馬の勝利を確信したが、ゴール手前で内からルージュエヴァイユの強襲にまさかの敗戦を喫した。

 当時、鞍上を務めた横山武騎手は「返し馬から物見をしていて、レースでも早めに抜け出したくなかったのですが、最後にフワッとしてしまったところがありました」と早めに先頭に立ったことを悔やむようにコメント。そして圧倒的人気馬での敗戦に追い打ちをかけるように、JRAから「油断騎乗」と判断され2日間の騎乗停止の制裁を受けた苦い過去がある。

 そういった過去の“トラウマ”もあってか、ルクスグローリアに対しては「早仕掛け」とならないようにギリギリまで追い出しを我慢させたものの、今度は前にいた馬を半馬身捕まえきれず「仕掛け遅れ」に繋がってしまったのかもしれない。

 さらに大きな誤算となったのは、勝ったシーウィザードもまた弱くなかったことだろう。ルクスグローリアが2着に敗れたとはいえ、3着ヴェンチュラムーンはさらに5馬身後方での入線。そう考えると位置取りだけが敗因だったのかどうかに疑問が残ることも確か。

 いずれにしろ、横山武騎手にとっては悔いが残るレースだったことは間違いないが、ルクスグローリアも早期にデビューしたばかりの2歳馬。この経験を糧に、次戦はきっちり決めてくれるはずだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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