【徹底考察】天皇賞・春(G1) フェイムゲーム「舞台は最高。だが、昨年の2着馬に意外な『弱点』が……」
2014年 天皇賞・春(G1)
全体の上がり3ハロン「34.8」秒
本馬の上がり3ハロン「34.3」秒
その差「-0.5」秒
4コーナー通過順位12番手→6着
2015年 天皇賞・春(G1)
全体の上がり3ハロン「35.3」秒
本馬の上がり3ハロン「34.5」秒
その差「-0.8」秒
4コーナー通過順位10番手→2着
無論、メンバーも、通ったコースも、微妙な馬場コンディションも異なるのだから、上記はあくまで机上の空論に過ぎない。
ただ、少なくともコンスタントな反面、末脚にある程度の限界のあるフェイムゲームにとって……もっと言えば「上位進出のためには、前に止まってもらう必要がある」本馬にとって、スローペースからの瞬発力勝負だけは絶対に避けたいということは理解できるはずだ。
従って、今年の天皇賞・春も良馬場であれば、フェイムゲームは昨年同様の「34.5」秒程度の末脚を繰り出すことだろう。しかし、それで上位に進出できるか否かは”流れ次第”という他力本願な馬であることは、頭に入れておくべきである。
【血統診断】
数あるサンデーサイレンス系の中でも、フェイムゲームの父ハーツクライは、その母父にあたるトニービンの特色を色濃く継いだ種牡馬だ。かつて東京競馬場を大得意としたトニービン産駒だが、直仔以外には凱旋門賞馬らしい豊富なスタミナを伝えている。例えば本馬の兄バランスオブゲーム(父フサイチコンコルド)はマイルから2500mまで幅広く活躍したが、その父がハーツクライに替わった本馬は中距離から3400mが守備範囲と、全体的に距離適性が伸びていることがわかる。母父のアレミロードは日本で大きな成功を収めることができなかったが、本馬の場合は母系が非常に優秀。3代母ダイナサッシュからは名ステイヤーを次々と輩出したサッカーボーイが名を連ね、一族にはステイゴールドもいる日本を代表する牝系の一つだ。
従って、今の競馬界には珍しいコテコテのステイヤー配合の本馬にとって、この京都3200mは「G1を獲るならここしかない」と述べても過言ではない絶好の舞台だ。
≪結論≫
昨年2着の戦績が示す通り、舞台設定に文句はない。単純な「適性」という側面だけなら、出走メンバーの中でも指折りの存在だろう。はっきり言って、距離は長ければ長いほど良い。
【血統診断】にて「G1を獲るならここしかない絶好の舞台」と述べたが、それでもさらに距離が長い3400のダイヤモンドS(G3)や、3600mのステイヤーズS(G2)の方が望ましいことは確か。近年の天皇賞は昔に比べてスタミナ色が少なくなっている傾向にあるが、僅かでも豊富なスタミナを活かせるような展開に持ち込みたい。いや、もっと正確に述べれば末脚に懸ける馬だけに、スタミナを活かせるような展開を「祈りたい」ところだ。
ただし、それはあくまでこの馬が例年通りの競馬に徹すればという「仮定」があってこそ。逆に言えば、思わぬ積極策からの粘り込みなどを試みれば、思わぬ一面を見ることができるかもしれない。鞍上の手腕次第だ。ちなみに、過去にこの天皇賞・春を制したことがある外国人騎手は、2010年のC・ウィリアムズしかいない。しかし、彼は本馬の鞍上となるH・ボウマン騎手と同じ3200mのメルボルンCを頂点とするオーストラリアの騎手である。
本馬にとっては、昨年の大きな借りを返す時がやってきた。もう、あの「白いやつ」はいないのだから。
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