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武豊×インゼル「大将格」と国枝栄厩舎の「ジレンマ」

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武豊騎手

 17日の函館記念(G3)は白毛馬のハヤヤッコが優勝。芝・ダートで重賞制覇を達成するとともに函館競馬もフィナーレを迎え、今週末からは札幌開催がスタートする。

 24日の札幌5Rには芝1800mの2歳新馬戦に、今年の日本ダービー(G1)をドウデュースで制した武豊騎手とのコンビでデビューを予定しているのが、シュバルツガイスト(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

 同馬を所有するのはインゼルレーシング。先述したドウデュースのオーナー・キーファーズの松島正昭氏が設立し、長女の悠衣氏が代表を務めている新規の一口馬主クラブである。

 シュバルツガイストは本クラブにおいて一口250万円の総額1億2500万円で募集されており、これは約20頭いるラインナップのなかでトップの価格である。そのため、本馬がインゼル2歳世代の大将格であると考えても差し支えはないだろう。

 母のフリーティングスピリットはジュライC(英G1)など芝1200m以下の重賞を4勝した生粋のスプリンターだが、父は3200mの天皇賞・春(G1)を連覇しているキタサンブラックだ。

 陣営も「バランスが取れていて性格もいい」と話していることから、距離は2400mくらいまでなら十分に持つのではないだろうか。

 1週前追い切りでは、後に函館記念を勝つことになる先述のハヤヤッコと併せ馬を消化。互角以上の動きを見せたことで、跨ったレジェンドも「いい動きで走りそうな馬ですよ」と好ジャッジを下している。

 デビュー戦に1800mを選んだのは当然、来春の日本ダービーも見据えてのことだろう。武豊騎手×松島氏のコンビは連覇もかかっているだけに、その走りに注目が集まるのは間違いなさそうだ。

 また、管理する国枝調教師も本馬にかける期待が大きいものであることは想像に難くない。

 これまで国内外でG1・22勝を挙げ、今月2日にはJRA通算1000勝も達成した名伯楽は、なぜか牡馬クラシックに縁がないことでも知られている。2026年2月に定年を迎えることから、日本ダービーに挑戦できるチャンスもあと3回しかない。

 先月には厩舎のもう1頭の大物候補ダノンザタイガーが、本馬に先がけてデビュー。単勝1.4倍の圧倒的支持を受けたものの、スタートで出遅れるなど随所に幼いところを見せて2着に敗れている。

 ただ、国枝厩舎はアーモンドアイやアパパネなど後に大成功を収めた馬でも初戦に黒星を喫しているため、この躓きはファンの間でもそれほど悲観はないようだ。

 実際に国枝師も『netkeiba.com』のインタビューにおいて、「新馬戦は競走馬としてのキャリアのスタートであって、その馬のゴールではないという考え。そういう意味では少し甘いところがあるのかもしれない」と答えている。

 だが、これは悲願のダービー制覇を目指す上では、決して明るい哲学であるとはいえそうにない。なぜなら近年の東京優駿は、新馬戦で白星を挙げた馬が7連覇しているからだ。

 厩舎的にはデビュー戦で敗れたとしても出世は期待できるのかもしれない。しかしそれは同時にダービートレーナーという栄誉が遠のくことも示唆している。

「国枝厩舎の考えと現代における日本ダービーの優勝条件には、やや相反するものがありそうですね。これに関しては国枝師もあるいはジレンマを感じているかもしれません」(競馬誌ライター)

 名門に残された時間はあと3年と少ししかない。シュバルツガイストがこの板挟みも似た状況を突破する解のような存在になれるかどうかにも注目してみたい。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
 キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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