凱旋門賞(G1)オルフェーヴル、エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタとドウデュース、タイトルホルダーら今年の4頭を比較
今週末は日本でスプリンターズS(G1)、そしてフランスでは凱旋門賞(G1)が行われる。
今年は日本馬として史上最多の4頭が出走。武豊騎手とキーファーズ松島正昭オーナーの熱意溢れるドウデュース。国際派調教師で知られる矢作芳人調教師がC.ルメール騎手と挑むステイフーリッシュ。キズナで敗れた雪辱を狙うノースヒルズと、JRAリーディングジョッキー川田将雅騎手のディープボンド。そして横山和生騎手とともに日本最強馬の看板を背負うタイトルホルダー。逃げ、先行、差し、3歳、古馬と個性も分かれた好メンバーが、日本調教馬として初の偉業に挑戦する。
■2022年凱旋門賞に出走する日本馬
・タイトルホルダー 4歳牡馬
厩舎:栗田徹
騎手:横山和生
馬主:山田弘
生産:岡田スタッド
前走:宝塚記念(G1)1着
実績:宝塚記念、天皇賞春(G1)、菊花賞(G1)
・ドウデュース 3歳牡馬
厩舎:友道康夫
騎手:武豊
馬主:キーファーズ
生産:ノーザンファーム
前走:ニエル賞(G2)4着
実績:日本ダービー(G1)、朝日杯FS(G1)
・ステイフーリッシュ 7歳牡馬
厩舎:矢作芳人
騎手:C.ルメール
馬主:社台レースホース
生産:社台ファーム
前走:ドーヴィル大賞(G2)2着
実績:ドバイゴールドC(G2)、レッドシーターフH(G3)、京都新聞杯(G2)
・ディープボンド 5歳牡馬
厩舎:大久保龍志
騎手:川田将雅
馬主:前田晋二
生産:村田牧場
前走:宝塚記念4着
実績:阪神大賞典(G2)、2021フォワ賞(G2)
過去に凱旋門賞に挑戦した日本馬は延べ29頭。その最高着順は2着で4回。オルフェーヴルは2年連続で2着、エルコンドルパサーとナカヤマフェスタは蛯名正義騎手(現調教師)を背にあと一歩の2着。また最も期待されたディープインパクトは、3着入線も後に失格となってしまったように、日本馬にとってあと一歩で勝利を掴めていないレースだ。
■凱旋門賞で2着に好走した日本馬
2013年 オルフェーヴル
2012年 オルフェーヴル
2010年 ナカヤマフェスタ
1999年 エルコンドルパサー
凱旋門賞の好走傾向はあるだろうが、他国の馬と日本の馬を同列に扱うことは難しい。やはり過去で2着に好走した日本馬3頭と今年出走する4頭を比較することで、どの馬にチャンスがあるのかどの馬が厳しいのか見えてくるはず。
そこで過去に凱旋門賞で2着に好走した傾向をチェックしてみた。
まず前走フォワ賞で2着以内は必須。フォワ賞を使っていない馬も、フォワ賞で3着以下だった馬も凱旋門賞では勝負になっていない。つまり日本からぶっつけで挑むケースは厳しいということ。
前哨戦のフォワ賞などを使わず日本から直行で挑んだ馬は10頭いたが【0.0.0.10】、最高着順がハープスターの6着で7頭が2桁着順とまったく結果が出ていない。慣れないフランスへの遠征、風土、水、馬場などを経験しているかどうかは、サラブレッドが生き物である以上重要なのだろう。
さらに牡馬の4~5歳で、できれば4歳馬が望ましい。5歳馬で好走したのは2度目のチャレンジとなったオルフェーヴルのみ。エルコンドルパサーもナカヤマフェスタも4歳での挑戦で好走している。3歳馬や6歳以上の馬、そして今年の出走はないが牝馬で上位争いは難しい。
そして当然のことながら芝2000m以上のG1で勝利実績は必須。好走した3頭は日本ダービー、宝塚記念、ジャパンCなどの混合G1を勝利している。
※好走パターン
・4~5歳
・牡馬
・芝2000m以上の混合G1を勝利
・前走フォワ賞で2着以内
※好走できないパターン
・3歳馬
・6歳以上
・牝馬
・前走がフォワ賞以外
・芝2000m以上の混合G1未勝利
・前走3着以下
以上を踏まえてみると、3歳馬でニエル賞4着のドウデュースは厳しい。3歳で挑戦した日本ダービー馬はキズナとマカヒキの2頭がいたが、2頭とも前哨戦のニエル賞を勝利しても4着と14着だった。その比較からドウデュースがここで好走するのは難しそうだ。
タイトルホルダーは宝塚記念の勝利で期待が高まるが、フォワ賞を使わずぶっつけ本番はマイナス。前述の通りこのパターンは【0.0.0.10】なので、展開云々以前に経験のない馬場が合わないことで、レースに参加できないことも考えられる。
7歳馬でG1勝利のないステイフーリッシュも難しい。矢作調教師がどんな秘策をもって挑むか興味深いが、以前から「凱旋門賞で勝つには逃げるしかない」と語っていたこともあるので、恐らく逃げる展開になりそう。海外のラビット(逃げ馬)がどんな乗り方をするか読みにくいが、展開に恵まれても押し切るまではどうか。
そして同様にG1未勝利で、ぶっつけ本番で挑むディープボンドも当然厳しい。昨年はフォワ賞を勝利して挑みながら14着。良馬場のフォワ賞を勝利したものの、重馬場の凱旋門賞に対応できなかった。今年はフォワ賞を使わない選択で挑むが、データ的にはかえってマイナスとなってしまった。
以上、今年凱旋門賞に挑戦する日本馬4頭と、過去に凱旋門賞で2着に好走した3頭の戦歴などを比較したが、どの馬も好走するための条件を満たすことができなかった。個人的には国内最強馬タイトルホルダーに期待したいところだが、残念ながらデータ的には今年の凱旋門賞も日本馬にはチャンス無しといえるかもしれない。
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