
イクイノックス、コントレイルも制した登竜門…元クラシック候補の意外な選択肢
19日、東京競馬場では東京スポーツ杯2歳S(G2)が開催される。過去26回開催されているこのレース、クラシックへの登竜門としても知られているほか、歴代の勝ち馬にはG1ホースがずらりと並ぶ出世レースでもある。
直近の勝ち馬では、2011年ディープブリランテ、2017年ワグネリアンが、翌年の日本ダービー(G1)を制しているほか、2013年の勝ち馬イスラボニータは皐月賞(G1)を勝ち、2019年は無敗の三冠馬コントレイルがこのレースを制している。また、クラシック制覇はならなかったが、先日の天皇賞・秋(G1)を制したイクイノックスも昨年の優勝馬だ。
また、勝ち馬だけではなく2着馬も出世していることも大きな特徴である。一昨年の2着タイトルホルダーはご存じの通り、G1を3勝した現役最強を謳われる1頭。また、2016年の2着馬スワーヴリチャードは、古馬となって大阪杯(G1)とジャパンC(G1)を制している。
このレースは、暮れの2歳王者決定戦のひとつであるホープフルS(G1)のステップレースとして指定されているが、ホープフルS以上に翌春のクラシックへ直結しており、そういう意味では、出走馬にとっても落とせないレースといえる。
そんな出世レースではあるが、このレースで勝った馬、連対した馬がすべて出世するのかといわれれば、そんなことはない。それは読者諸兄も言わずもがなのことであろう。
元クラシック候補の意外な選択肢
今週末19日の東京8Rには障害のオープン特別、秋陽ジャンプSが組まれているが、このレースには4年前の東京スポーツ杯2歳Sを制したニシノデイジー(牡6、美浦・高木登厩舎)が登録されていた。
本馬は、2走前から障害に転向しており、転向初戦は3着、6月の2戦目では早くも勝利していたようにジャンパーとしての資質も見せた。今回は障害3戦目なのだが、『netkeiba.com』の想定オッズでは2倍台前半の1番人気に推されているほどだ。
もちろん、ニシノデイジーも2歳当時は立派なクラシック候補生だった。新馬戦こそ2着に敗れているが、2戦目の未勝利で勝ち上がり、続く札幌2歳S(G3)も6番人気ながら強い勝ち方をした。
迎えた4戦目が東京スポーツ杯2歳Sだったわけだが、この時は重賞を勝っているにもかかわらず、さらに人気を落として8番人気での出走。当時人気していたのは、後にクラシック三冠ですべて馬券圏内に好走したヴェロックスや、先日の福島記念(G3)にも出走していたカテドラル、新馬戦で強い勝ち方をしていたルヴォルグなどがいた。
ペースは緩かったが中団に控えたニシノデイジーは直線勝負に懸け、馬群の中から内を突いて上がり、後ろから来た馬と叩き合いになったが、ハナだけ競り勝った。
しかし、次走のホープフルSを3着に敗れてからは低迷。その後も勝利の女神から見放されたまま、気が付けば平地のレースで約3年に渡る16連敗を喫していた。ダートに転戦を試みたものの、結果が出なかったこともあってか、陣営が最終的に選択したのが障害への転向だった様子。平地最後の勝利が18年の東京スポーツ杯2歳Sとなり、4年後のそのレースの開催日に障害オープンに出走するのも、不思議な巡り合わせだろう。
これだけ不振が続けば、引退して乗馬となっていてもおかしくないとはいえ、そこはオーナーである西山茂行氏の想い入れの強さもあるのか、第2の活路を見いだし、結果を出し始めているのは、喜ばしい限りである。
今年の東京スポーツ杯2歳Sの登録馬は素質馬も多く、この中から来春のクラシックを賑わせる馬もいるかもしれない。
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