【中山大障害(G1)展望】オジュウチョウサン「7秒5差」大敗から有終の美へ!
有馬記念前日の24日、中山競馬場では暮れの名物、中山大障害(G1)が行われる。今年は11頭とやや寂しい頭数となったが、4歳から11歳の8世代もの馬が集結した。
1番人気に支持されるのはもちろん最年長のオジュウチョウサン(牡11歳、美浦・和田正一郎厩舎)だろう。
長年にわたりハードル界の絶対王者に君臨してきたオジュウチョウサンが、ついに引退レースを迎える。
4年前には有馬記念(G1)で善戦するなど多くのファンを虜にしてきた。これまでに獲得した障害G1のタイトルは何と9つにも上る。特に強いのが春のハードル王を決める中山GJ(G1)で、2016年から7年連続で参戦し、21年を除き6勝を挙げている。一方で、年末の中山大障害も4戦3勝と上々の成績。初挑戦の15年は6着に敗れたものの、その後は16年、17年、そして21年に優勝を飾っている。
11歳となった今年は始動戦の阪神スプリングJ(G2)で3着に敗れたものの、中山GJで人気に応えて勝利。秋は東京ハイジャンプ(G2)で始動したが、見せ場なく勝馬から7秒5差の9着という大敗を喫してしまった。
果たしてオジュウチョウサンは得意とする中山の長丁場で有終の美を飾れるのか。それとも新たな障害界のスターに引導を渡すことになるのか。スターホースの最後の5分弱の走りに注目が集まる。
オジュウチョウサンを破って新王者に輝くとすれば、ゼノヴァース(牡5歳、栗東・小林真也厩舎)がその筆頭候補といえるだろう。
まだ5歳と若いが、障害に転向してちょうど1年が経ち、すでに8戦を消化。安定した飛越で、落馬は一度もなく、全て掲示板を確保する堅実さが自慢だ。
今年2月に転向3戦目で勝ち上がると、5月にはオープン特別を6馬身差で圧勝。さらに東京ジャンプS(G3)4着、新潟ジャンプS(G3)2着と着実に階段を駆け上がっていった。
そして迎えた東京ハイジャンプSでは、逃げた1番人気のホッコーメヴィウスを2番手で大名マーク。最後の直線では2頭のマッチレースになると、ゴール直前に力強く伸びて2馬身差で勝利を飾った。
今回は初G1、そして一気に延びる4100mの距離を克服できるかどうか。前走に続き絶対王者を完膚なきまで叩きのめして、世代交代を果たしたい。
ニシノデイジー(牡6歳、美浦・高木登厩舎)は、2歳時に札幌2歳S(G3)と東京スポーツ杯2歳S(G3=当時)を勝利。ホープフルS(G1)でも3着に食い込むなど平地でも一線級相手に活躍した実力馬だ。
3歳時には牡馬クラシック三冠を皆勤し、日本ダービー(G1)で5着に入ったが、古馬になってから凡走が続き、今春に障害に転向。2戦目で勝ち上がると、前走の秋陽ジャンプS(OP)で2着と着実にステップアップしている。
障害転向4戦目が重賞初挑戦、しかもG1の大舞台となるが、過去3戦でいずれも先行できている点は強みとなりそう。前走から約1000mも長い自己最長距離でそのスタミナを存分に発揮することはできるか。
ブラゾンダムール(牡7歳、栗東・松永幹夫厩舎)は、昨年の当レースで単勝オッズ116.6倍の伏兵だったが、オジュウチョウサンの2着に入り、高配当を演出した。
その後もペガサスジャンプS(OP)、中山GJでも2着と安定した走りを披露。8か月ぶりの実戦で惜敗続きにピリオドを打ちたいところだ。
ケンホファヴァルト(牡9歳、栗東・森秀行厩舎)は、2年前の当レースを9番人気で2着に激走。その後も中山GJで2着、京都ジャンプS(G3)で1着、今年の中山GJで4着と好走を続けている。
この秋初戦は、2年7か月ぶりに平地競走を使われ、魚沼S(3勝クラス)で10着に敗れたが、これがいい刺激となるか。鞍上は異色の障害専門ルーキーながらすでに9勝を挙げている小牧加矢太騎手が務める。
アサクサゲンキ(セ7歳、栗東・音無秀孝厩舎)は障害5勝のうち4勝を小倉で挙げているように小倉専用機と見られがちだが、中山でもイルミネーションJS(OP)で2年連続2着しており、中山コースもこなせなくはないはず。昨年は早々と手応えをなくし、8着に敗れたが、2度目の挑戦で上位を狙う。
この他には、2走前の中山GJでオジュウチョウサンから0秒3差の3着に健闘したマイネルレオーネ(牡10歳、栗東・清水久詞厩舎)、障害に転向後、一戦ごとに力をつけているテイエムタツマキ(牡4歳、栗東・武英智厩舎)などが出走予定となっている。
とにかく全馬が無事に走り切ることがファンの共通の願いだろう。レース後にはオジュウチョウサンの引退式が開催される今年の中山大障害は、24日の14時45分に発走を迎える。
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