JRAドウデュースが挑むダービー馬の鬼門、京都記念(G2)の負けパターンに共通点あり…武豊が残した「不穏な言葉」に悪夢再び?
12日に阪神競馬場で開催される古馬の中距離重賞・京都記念(G2)は、第1回の開催が1942年という伝統のあるレースだ。一昔前はビワハヤヒデにテイエムオペラオーやナリタトップロード、比較的近年にもアドマイヤムーンやブエナビスタをはじめ、クロノジェネシスやラヴズオンリーユーなどの名馬が勝ち馬に名を連ねている。
これら以外にも多数の実力馬が勝利してきた京都記念だが、その長い歴史を遡ってみても、やはりダービー馬には鬼門となっているようである。先述した馬やそれ以外にも、実はダービーを優勝している馬がいないのだ。
幾度かの変遷を経て1994年から現在の芝2200mの距離で定着している京都記念だが、昨年マカヒキが11着に敗れ、2年前もワグネリアンが5着と敗戦。2010年代でもレイデオロ、ワンアンドオンリーにキズナら多数のダービー馬が苦杯をなめてきた。
これといった明確な理由も見当たらないのだが、距離が3000m時代の1948年春(83年まで春秋の年2回開催)にマツミドリが最古の勝利。実に75年もの間、延べ13頭も未勝利なのだから、ダービー馬にとって悪夢にも思えるこの事実は、もはや競馬界の七不思議ともいえる。
ちなみに今年の京都記念に出走を予定しているダービー馬は、武豊騎手とのコンビを予定しているドウデュース(牡4、栗東・友道康夫厩舎)ただ1頭。武豊騎手については、2006年シックスセンス、07年アドマイヤムーン、12年トレイルブレイザー、13年トーセンラーで優勝とむしろ得意にしているレースだが、「ダービー馬が勝てない」負のジンクスを名手がどうやって乗り越えるかにも注目である。
京都記念(G2)の負けパターンに共通点あり…
その一方で、これまで敗れてきたダービー馬の敗戦を振り返ってみると、ある共通点が見つかったことも付記しておく。気になったのは、その多くが逃げ先行馬を捕らえ切れずに敗れていたことだ。ダービー馬には、直線の長い東京の芝2400mで末脚を武器に優勝した馬が多いこともあってか差し馬が多数。京都記念においても比較的後ろのポジションにつけて、差し切れないケースが目立った。
そこで懸念せざるを得ないのがドウデュースの脚質だ。
スローペースで流れた昨年の皐月賞(G1)で脚を余すような格好で3着に敗れた際、武豊騎手から「ポジションが結果的に後ろだったかもしれません。今日は大事に行きました」というコメントも出た。次走の日本ダービー(G1)でも4コーナーを18頭中14番手の後方待機策を採ったが、このときはペースが流れてくれたことで展開も向いた。
並の騎手なら同じ過ちを繰り返さないよう、少し前につけてもおかしくないケースにもかかわらず、敗れた皐月賞と似たポジションで騎乗した武豊騎手の度胸は素晴らしいながら、レース後のコメントで「スタートはそれほど速い馬ではない」と振り返っていたことも、追い込みを選択した背景にあるのかもしれない。
実際、武豊騎手のポジション取りに大きな変化は見られず、フランスに遠征したニエル賞(仏G2)、凱旋門賞(仏G1)でも、どちらかといえば後ろから回ってきただけのように見える敗戦でもあった。おそらく今回も後方待機策で臨む可能性が高いのではないか。
武豊騎手が残した「不穏な言葉」に悪夢再びの予感
当初予定していた昨年11月のジャパンC(G1)を回避し、十分な休養期間を取れたドウデュース。中間の動きや最終追い切りでも軽快なフットワークを見せたものの、やはりと思わせられたのは、『スポーツ報知』が報じた武豊騎手による陣営へのリクエスト内容だ。
記事によると、友道調教師は「先週乗った(武)豊ジョッキーから『しまいだけ追っておいて』と言われたんです」という不穏な言葉が見つかった。この情報のみで判断することはできないものの、次走に3月25日のドバイターフ(G1)を見据えている前哨戦でもある。
勿論、勝つことが最高の結果であることに違いはないが、鞍上の思惑が後方から感触を掴むことが目的となるようなら、これまでのダービー馬の前例に漏れず、脚を余して敗れるシーンの再現があっても驚けないだろう。
幸い昨年逃げ切りVを決めたアフリカンゴールドやユニコーンライオン、キングオブドラゴンなどの積極策を採ると見られる快速馬たちも出走を予定しているため、ダービのようにペースが流れるようなら歓迎だ。はたしてドウデュースは75年続く負のジンクスを克服できるだろうか。
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