サイレンススズカをはじめとして記憶に残るレースの多い金鯱賞にまつわる「珍記録」2つ

12日、中京競馬場では大阪杯(G1)に向けて重要なステップレースとなる金鯱賞(G2)が開催される。G1タイトルを虎視眈々と狙うプログノーシスのような上がり馬から昨年の大阪杯を制したポタジェも出走予定。登録は13頭と少ないが、見応えあるレースが期待できそうだ。
今年で59回目を迎えるこの金鯱賞だが、1984年のグレード制導入時にはG3格付けだったため、勝ち馬として並ぶ名前も一流馬にはちょっと届かないような馬ばかりだった。
だが、96年にG2に格上げされ、それまであった高松宮杯がG1へ昇格して条件変更。これを引き継ぐ格好で芝2000mに距離延長されたあたりから一流馬の名前も見え始める。
17年には大阪杯のG1格上げに伴って、現在のように金鯱賞はトライアルとして勝ち馬に優先出走権が付与されるようになり、出走馬の質が目に見えて変わってきている。
金鯱賞にまつわる「珍記録」2つ
そんな金鯱賞であるが、このレースには2つの珍しい記録が残っている。
ひとつは同一重賞3連覇で、2003年から2005年にかけてタップダンスシチーが達成している。他にもマツリダゴッホのオールカマー(G2)3連覇やゴールドシップの阪神大賞典(G2)3連覇のようなケースもあるが、長い中央競馬の歴史の中でこれを成し遂げたのは7頭(アラブ重賞のケースも含め)しかいないので、おいそれとできる芸当でないのは確かだ。
タップダンスシチーの場合、03年の初勝利のときはシンボリクリスエスという絶対的強者がいる状況。前年に朝日チャレンジC(現チャレンジC・G3)で重賞初制覇を飾ったのち、同年の有馬記念(G1)でそのシンボリクリスエスを抑えてまさかの逃げ切り、と思わせる2着に入ってからのもの。
04年の2勝目のときは、03年のジャパンC(G1)で9馬身差をつける圧勝を飾ったあとのレース。菊花賞馬ザッツザプレンティやシンボリクリスエス、二冠馬ネオユニヴァースを完封した衝撃のレースを経たこともあり、前年の有馬記念で8着に大敗していながらも、ザッツザプレンティやエリザベス女王杯馬アドマイヤグルーヴ、三冠牝馬スティルインラブらを相手に1番人気で勝利を飾った。
05年の3勝目では自身がG1・2勝馬という強者の立場に立っていたが、シンボリクリスエスが引退したあとに立ちはだかったのがゼンノロブロイ。前年の有馬記念では秋の古馬王道G1全勝をかけたゼンノロブロイの前に2着に敗れ、05年の始動戦に選んだのが3度目の挑戦となった金鯱賞だった。このときもアドマイヤグルーヴやスティルインラブといったG1馬に加えて、04年の春のG1で好走、有馬記念でも3着に入ったシルクフェイマスといった実力馬が揃ったが、単勝1.4倍で難なく逃げ切って見事3連覇を果たした。
タップダンスシチーは逃げの印象が強いが、金鯱賞に関しては逃げ切りで勝ったのは3勝目だけで、1勝目、2勝目は道中で先頭が入れ替わる中で抜け出している。3戦ともG1馬が参戦していながらの勝利ということで、タップダンスシチーの強さが確かだったからこそ達成できた3連覇と言える。
もうひとつの記録は珍記録と呼べるもので、3カ月の間に同一重賞連覇が成されている。
これを成し遂げたのはヤマカツエース。引退までG1には手が届かなかったが、それでも16年の有馬記念ではサトノダイヤモンドの4着に入り、G1昇格後初の17年大阪杯ではキタサンブラックの3着に入った実力馬である。
この馬は16年秋に天皇賞・秋(G1)でしんがり負けを喫し、その巻き返しを図るべく出走したのが「12月に開催していた」金鯱賞。このときは14年の菊花賞馬トーホウジャッカルがいる程度で施行時期もあってか強いメンバーが揃わず、4番人気に推されて辛勝だったが巻き返しに成功した。
金鯱賞に勝ったヤマカツエースはG1馬6頭が揃った上述の有馬記念に出走して、4着に食い込む大健闘を見せる。そして迎えた17年シーズンだったが、大阪杯がG1に昇格することで番組の施行時期などに変更が加えられ、前年まで年末に開催されていた金鯱賞が3月に移動。そしてヤマカツエースは3カ月前に勝った金鯱賞に再び出走することになる。
この時はオークス馬ヌーヴォレコルトが出走していたほか、天皇賞・秋や香港C(G1)で3着していたステファノスが人気を集めたが、ヤマカツエースは1番人気に推され、3カ月前の金鯱賞と同じように前に残る馬をゴール前捉えて3カ月という短いスパンで連覇を成し遂げた。
金鯱賞の歴史の中で2勝以上しているのは上述した2頭のみだが、この2頭がそれぞれ珍しい形で連覇、3連覇を成し遂げているのは他のレースでは見られない、このレースならではの記録かもしれない。
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