武豊、実は崖っぷち!?「騎乗依頼に感謝です」大阪杯(G1)大量乗り替わりの悲喜こもごも
30日、今週末に行われる大阪杯(G1)の出走馬が決定した。2年連続のフルゲートになりそうな今年は「乗り替わり」が焦点の一つになりそうだ。
というのも出走16頭中10頭が前走と異なる騎手、いわゆる乗り替わりとなっているのだ。それだけでなく、残り6頭の内5頭が近3走以内の乗り替わり。長く継続騎乗が続いているのは、岩田康誠騎手とコンビを組むノースブリッジただ1頭である。
大昔とは異なり、騎手の乗り替わりが日常茶飯事になっている現代の競馬。乗り替わり自体が大きなマイナスになることはないだろうが、「誰」に乗り替わるかは重要だ。
そこで今回は出走馬の中で、特に注目したい乗り替わりを挙げてみた。大事なG1レースを任されたジョッキー心理に迫ることが、馬券のヒントになるかもしれない。
※掲載は50音順。
ヴェルトライゼンデ
D.イーガン騎手→川田将雅騎手
一時は池添謙一騎手が主戦だったものの、屈腱炎による長期離脱から復帰後は特に主戦が定まっていないヴェルトライゼンデ。今回、川田騎手に白羽の矢が立ったのは陣営のG1制覇への意気込みの表れだろう。たとえ、英国のトップジョッキーであるイーガン騎手であろうとも、充実著しい今の川田騎手ならば乗り替わりはプラスに違いない。
キラーアビリティ
B.ムルザバエフ騎手→団野大成騎手
先週の高松宮記念で自身初のG1制覇を飾った若武者に、今週もビッグチャンスが舞い込んでいる。ただ、決定の時期的に今回の抜擢は高松宮記念の好騎乗ではなく、昨年12月の中日新聞杯(G3)で見せた“一発回答”が大きい。低迷していたキラーアビリティの復活の立役者であり、今回の有力馬が巡ってきたことを鑑みても、良い流れに乗っていることは間違いないだろう。経験という点ではムルザバエフ騎手はもちろん、他のライバルジョッキーたちにも劣る立場だが、勢いに乗った時の若手は侮れない。
ジェラルディーナ
C.デムーロ騎手→岩田望来騎手
この舞台で5年目の若手がジェラルディーナに騎乗できる辺り、まさに岩田望騎手が非凡と言われる所以だろう。だが、その一方でファンの間で岩田望騎手の抜擢を素直に歓迎できない声が少なくないことも事実だ。5年目で通算337勝は、7年目で461勝を挙げている横山武史騎手と並ぶ若手No.1といっても過言ではない成績だが、後者の重賞15勝(G1・5勝)に対して重賞3勝では寂しいと言わざるを得ない。大舞台で人気馬を飛ばしてしまうケースも目立ち、ファンが不安に感じている点はそこだろう。結果で見返すには絶好の機会だ。
ジャックドール
藤岡佑介騎手→武豊騎手
6戦連続で主戦の藤岡佑騎手が手綱を取っていたジャックドールだが、前走の香港C(G1)から武豊騎手にスイッチ。G1でワンパンチ足りない騎乗が目立ったものの、札幌記念(G2)を含む6戦4勝と結果を残していただけに、武豊騎手の腕と海外経験を見込んでの乗り替わりだろう。だが、期待された香港Cは本来の逃げが打てずに7着に惨敗。今回の継続騎乗については武豊騎手も「香港カップで期待に応えることができなかったのに、引き続いての騎乗依頼に感謝です」(公式HP)と語っており、鞍上にとっては背水の陣の一鞍になる。2番人気だった昨年から人気を落とすことは濃厚で、そういった意味では買い時といえる一頭だ。
ダノンザキッド
北村友一騎手→横山和生騎手
今年13年目の横山和騎手はキャリア的には中堅だが、気持ち的には若手に違いない。横山典弘騎手の息子としてデビューしたが、周囲の期待に応えられずに低迷。芽が出てきたのは弟の横山武史騎手がデビューしてからだ。言葉は悪いが、若手No.1として出世街道をひた走る弟の勢いに便乗して出世した感は拭えものの、昨年は弟から引き継いだタイトルホルダーで結果を残し、自らの実力を示した。今年も現在(3月30日)リーディングトップ10に食い下がっており、ここで抜擢されたことも頷けるだけの結果を残している。
ノースザワールド
横山和生騎手→北村友一騎手
一方、厳しい立場に立たされているのが、ダノンザキッドの降板を告げられた北村友騎手だ。かつてクロノジェネシスとのコンビで一世を風靡したものの、2021年に落馬負傷で長期離脱。2018年に90だった勝ち星が昨年は14まで落ち込んだ。今年も年明けから怪我無く乗れているが、ここまで2勝と浮上のきっかけを掴めずにいる。非常に残念だが、今回の乗り替わりも仕方のない部分がある。ただ、入れ替わるようにノースザワールドに騎乗できたのは不幸中の幸いだろう。人気はないが、大舞台で存在感を見せつけたいところだ。
以上、6頭の乗り替わり事情に触れてみた。どのジョッキーも様々な事情を抱えており、今回が気合の入る一戦であることは間違いないだろう。果たして、この中から「勝利」という最高の結果を持ち帰るジョッキーは現れるだろうか。大阪杯だけでなく、今後の鞍上問題にも注目していきたい6頭だ。
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