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【大阪杯(G1)】武豊「それが大きかったですね、僕の中では」JRA・G1通算80勝のレジェンドが喜びを爆発させた理由

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【大阪杯(G1)】武豊「それが大きかったですね、僕の中では」JRA・G1通算80勝のレジェンドが喜びを爆発させた理由の画像1
撮影:Ruriko.I

 2日、阪神競馬場で開催された中距離王決定戦・大阪杯(G1)は、2番人気のジャックドール(牡5歳、栗東・藤岡健一厩舎)が勝利。キャリア14戦すべて2000mというスペシャリストが、同じく2番人気に推された昨年5着の借りを返した。

「ホントに嬉しいです!」

 これがJRAのG1通算80勝目となったレジェンド武豊騎手にとっても、まさに会心のレースだった。昨年に続く16頭のフルゲートになった芝2000mの一戦。大事なスタートを決めたジャックドールと武豊騎手は「スタートが決まれば第1プランとして逃げの手を打ちたいと思っていた」との言葉通り、迷わずハナを奪いに行った。

 外からノースザワールドが鈴を付けに行ったことで決して楽な展開にはならなかったが、ペースよりもジャックドールの気持ちを重視したレース運び。1000m通過が58.9秒と締まったペースになったが、武豊騎手にとっては「今日の馬場状態なら59秒くらいで(前半の)1000mを入りたいなと思っていた」と理想通りの展開。1000mのハロン棒を通過した際も「だいたい、それ(59秒)前後かな」と精密な体内時計も完璧に機能していた。

 最後は1番人気のスターズオンアースの猛追を受けたが、ハナ差でしのぎ切ってのゴール。ジャックドールの奮闘はもちろんだが、武豊騎手らしい測り切ったような逃げ切りだった。

「どんな騎手でも思い描いた通りのレースをすることは本当に難しいと言いますが、それをG1でやってしまうのが武豊騎手。着差(ハナ差)が着差だけに、どこか少しでも計算が狂っていれば勝ったのはスターズオンアースだったかもしれません。元JRA騎手の安藤勝己さんも『ジワっとペースを握って人馬でレースをコントロールした』『これぞユタカちゃんの逃げやった』(Twitter)と絶賛されていましたね」(競馬記者)

 また、この日の勝利騎手インタビューで印象的だったのは、武豊騎手が何度も「本当に嬉しい」と感情を隠さなかったことだ。

 先述した通り、武豊騎手にとって今回の大阪杯がJRAのG1通算80勝目。無論、前人未到の大記録であり、デビューからここまでありとあらゆる大レースを勝ちまくってきた存在だ。G1制覇は昨年の日本ダービー(G1)以来となるが、ここまで喜ぶのは別の理由があったようだ。

JRA・G1通算80勝のレジェンドが喜びを爆発させた理由

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武豊騎手 撮影:Ruriko.I

「勝利騎手インタビューでも話していましたが、やはりジャックドールの関係者の期待に応えられたことが、武豊騎手にとっても大きかったのでしょう。

昨年12月の香港C(G1)でジャックドール陣営から騎乗依頼があったのですが、その際はハナに立つ本来の形に持ち込めないまま惨敗。結果を残すことができなかったことで『もう乗れないのかな』と覚悟していたそうです。そんな中での継続依頼だったので、武豊騎手にとっても期するものがあったのだと思います」(別の記者)

 昨年11月、香港Cを約1か月後に控えた中で、ジャックドールの騎乗依頼が武豊騎手に舞い込んだ。その際、最初に思ったことが「サイレンススズカに初めて乗せてもらったのが香港だったこと」(公式HPより)だったという。

 サイレンススズカといえば、その香港(香港国際C・G2)こそ5着に敗れたが、そこから怒涛の6連勝。特に宝塚記念(G1)を勝って春のグランプリホースとして迎えた毎日王冠(G2)では、後の歴史的名馬エルコンドルパサーとグラスワンダーを子ども扱いし、当時の現役最強を強く印象付けている。

 しかし、キャリアの絶頂期で迎えた次走の天皇賞・秋(G1)で、まさかの競走中止。左前脚の手根骨粉砕骨折を発症し、そのまま予後不良と診断されて安楽死の処置がとられた。武豊騎手はその時、人生で初めて泥酔するまで酒を飲んだという。

 後に「沈黙の日曜日」と言われるこの日は、今でも多くの競馬ファンの胸に残っているはずだ。

 あれから約25年後、ジャックドールもサイレンススズカと同じように香港で敗れたが、続く大阪杯でもコンビを結成することになった。これには武豊騎手も公式HPで「香港カップで期待に応えることができなかったのに、引き続いての騎乗依頼に感謝です」と思いを綴っている。

「それが大きかったですね、僕の中では」
「なんとか結果を出さなきゃいけないという気持ちが強かった」

 だからこそ、武豊騎手は「ホントのホントに今日は嬉しいです」と珍しく喜びを爆発させたのだろう。80ものJRA・G1を制した名手にとっても、この1勝は特別なものになったのかもしれない。

GJ 編集部

GJ 編集部

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