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JRA美浦で囁かれた「パワハラ疑惑」も一応ハッピーエンド? 110連敗から脱出した若手は「愛されキャラ」が最大の武器

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 先週の日曜福島の12Rを自厩舎のサノノヒーローで勝利した土田真翔騎手。既にブレイク中の今村聖奈騎手や角田大河騎手らと同期だが、これがデビュー2年目にして嬉しい初勝利だった。昨年デビューしたすべての騎手が勝利を挙げたことになる。

 この日の最終レースで9番人気ながら、単勝オッズ1.9倍の大本命をゴール寸前で捕まえた。ここまで110連敗していた中でのトンネル脱出には、本人も感慨深いものだったのではないか。

「率直に嬉しいという気持ちと、ここまで勝たせていただくためにチャンスをたくさんくださいました馬主さんや、調教師の先生を始めとする厩舎スタッフの皆様、そして応援してくださる皆様に本当に感謝しています」

 待望の初勝利をそう喜んだ土田騎手だが、ここまでの道のりが決して平坦ではなかったことも確かだ。華々しい活躍を見せる同期の裏で、デビュー早々に大きなビハインドを背負っていたのである。

 同期に出遅れた遠因になったのではないかと言われているのは、デビュー初日の3月5日に土田騎手が騎乗していた土曜中山の5Rでの出来事だ。

 このレースでコンビを組んだネネは、同騎手が所属する尾形和幸厩舎の管理馬だが、最後の直線コースで、他の馬に関係なく外側に逃避したため、本馬には平地調教再審査の処分が下されていた。

「デビューしたばかりの新人が技術的に未熟なのは当然ですが、3番人気に支持されていた上位人気馬だったことも、より印象を悪くしたでしょう。ネネという馬は、少し口向きの難しいところもありましたが、道中から全くコントロール出来ておらず、最後の直線でも外へ外へと行く始末でした。

しかもゴール後には外ラチに接触しそうになって落馬。その落ち方も悪く、自分だけでなく馬まで転倒というもの。幸い人馬共に大きな怪我はありませんでしたが、これにより周囲から『あの子は技術的に未熟だから依頼するのは様子を見た方がいいね』という空気が漂い始めました」(競馬記者)

 そういったことも相まって、騎乗馬の確保や有力馬の依頼に苦戦した土田騎手だが、レース以外でも師匠である尾形師の接し方もトレセンで問題視されていたという。

「パワハラ疑惑」も一応ハッピーエンド?

「レース後の土田騎手に対し厳しい言葉で叱責している姿に“パワハラ”を心配する関係者もいました。さすがにやりすぎではないかと感じた他の調教師が注意したこともあり、徐々に改善が見られたようです。そんな中での初勝利でしたから、師弟のお互いがホッとした初勝利だったでしょうね。これにて一応はハッピーエンドということでしょうか。

とはいえ、土田騎手の評判はそれほど悪い訳でもありません。性格も素直で穏やかですし、凄くいい子だともいわれているんです。北海道で滞在していた時には、寝坊で朝の調教に乗れなかった同期騎手の尻拭いをしたこともありました。そういった人が良過ぎるところは、ジョッキー向きの性格ではないのかもしれませんが……」(同)

 その一方で、初勝利祝いの現場にいた記者からは、土田騎手の愛され具合も印象深かったという話も聞けた。

 大本命に騎乗して土田騎手の2着に敗れて悔しいはずの丹内祐次騎手が、率先して表彰式に誘導したり、同期の佐々木大輔騎手がまるで自分の事のように喜んでいたりと、周りから親しまれて、心配されていたのがよく分かる光景。最終レースだったこともあり、より多くのジョッキーが集まって土田騎手の祝福をしていたのだから、愛されキャラが最大の武器ともいえる土田騎手の人望が伝わってくる。

 競馬に関しては、まだまだ技術的にも成長途上の土田騎手だが、初勝利を挙げたことで意識に変化も出てくるはず。皐月賞(G1)を圧勝したソールオリエンスの話題で持ちきりだった先週の日曜だったが、裏開催の福島で聞けた心温まるエピソードでもあった。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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