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ジャックドール「掟破り」のマイル参戦に武豊も関係か!? 安田記念(G1)の出走と対イクイノックスへの伏線、実りの秋に準備は着々…

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ジャックドール 撮影:Ruriko.I

 2日の大阪杯(G1)で鮮やかな逃げ切り勝ちを収め、待望のG1初制覇を飾ったジャックドール(牡5、栗東・藤岡健一厩舎)だが、引き続き武豊騎手とのコンビで6月4日の安田記念(G1)に向かうことが分かった。

 かつて本馬の主戦を任されていた藤岡佑介騎手は、G1を2戦して思うような結果を残せなかったものの、昨年の香港C(G1)で初騎乗した武豊騎手は、2度目の騎乗で最高の結果を陣営にもたらした。

 藤岡佑騎手の父という立場を踏まえても、藤岡調教師にとって苦渋の決断だったことは想像に難くないものの、結果的に息子の降板が正解だったと証明されている。G1を勝利したコンビが続投するのは、至極当然の流れといえるだろう。

 とはいえ、ジャックドールの安田記念参戦に少々驚きがあったことも事実だ。何しろ同馬は、デビュー以降14戦のキャリアで芝2000mの条件でしか使われたことのなかったスペシャリストだからである。

 一般的に14戦している5歳馬なら、一度くらいは他の距離やダートを試されるケースも少なくはない。ここまで一貫して2000mに拘ってきた陣営だけに、15戦目にして初めてマイル戦に参戦することは、まさに「掟破り」の選択だったのではないか。

 ただ、藤岡調教師の説明によると「父がモーリスでマイルは合うと思っていた」「左回りも得意にしている」とのこと。歓喜の勝利に沸いた大阪杯の勝ちタイムも、良馬場で1分57秒4と速かっただけに、2ハロンの距離短縮は杞憂に終わりそうだ。

 実際、大阪杯の1600m通過タイムは1分33秒5であり、まだ追い出されていない状況でこのラップなら、マイル戦でも十分に通用するはず。父のモーリスが安田記念を制している上に、末脚の持続力を求められる東京の長い直線で、中距離を使われてきたスタミナがプラスとなる可能性は非常に高い。

 藤岡調教師が「いつかはマイルを」と触れていた一方で、このタイミングで選択したことと、鞍上の武豊騎手の存在は無関係ではないのではないか。

 そこで気になるのは、今月24日の『ジョッキー・ルーム』(ABCラジオ)に出演した武豊騎手が、ドウデュースについて「春はレースには出ず、脚をしっかり治して。となると、凱旋門賞には間に合わないので秋は国内専念。天皇賞、JC、有馬記念が目標」とコメントしていたことだ。

 同馬は現地時間3月25日にドバイのメイダン競馬場で行われたドバイターフ(G1)に出走を予定していたが、直前になって左前肢跛行が判明したため回避。復帰戦がいつになるのかと注目されていたのだが、武豊騎手のコメントを踏まえると、秋古馬三冠が候補となりそうだ。

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ドウデュース 撮影:Ruriko.I

「ジャックドール陣営の最大目標は、おそらく昨年のリベンジを目論む天皇賞・秋(G1)でしょう。ですが、武豊騎手はドウデュースを所有するキーファーズと相思相愛の仲ですから、もし2頭が同じレースに出走する場合は、ドウデュースを選択する可能性が濃厚です。

かといって安田記念でも続投を依頼したなら、藤岡調教師も大阪杯を勝った武豊騎手の手腕を高く評価していると思いますよ。近年は古馬三冠すべてに出走する馬は珍しくなりつつありますし、もしドウデュースがジャパンC(G1)と有馬記念(G1)の2戦ということになるなら、ジャックドール続投もなくはないですね。

ただ、武豊騎手はドウデュースで天皇賞・秋に意欲的でしたから、もしかしたら鞍上問題に発展するかもしれません」(競馬記者)

 そして、ジャックドールが春に安田記念を使うということは、結果次第で秋のマイルCS(G1)への参戦も視野に入るということだ。勿論、2000mに拘ってきた陣営が、どのような判断をするかにも注目したいところである。

 各馬の秋の路線はまだ先のことであり、陣営から正式な発表が出るまで分からないものの、「ロンジンワールドベストレースホースランキング」でトップとなるレーティング129を獲得し、現役最強馬となったイクイノックスにとっても、実りの秋に着々と準備を進めるレジェンドは厄介な相手となりそうだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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