【日本ダービー(G1)予想】スキルヴィングとタスティエーラを切り! 武豊ファントムシーフら皐月賞組から「穴馬」をピックアップ
今回は3歳馬の頂点に立つ1頭を決める「競馬の祭典」日本ダービー(G1)を予想していく。
先週の振り返り。平安S(G3)だが、距離が短いと見て切ったグロリアムンディが1番人気に応えて勝利。◎ヴァンヤールが3着、△ハギノアレグリアスが2着で気がつけば人気通りに1~3着が決まった格好。久しぶりにこれほど平穏な決着のレースを見た気がする。多少なりとも穴を狙っていたら、これでは手も足も出ない。
そして、オークス(G1)は昨年の失敗を省みず「2冠は厳しい」としたものの、フタを開けてみればリバティアイランドの6馬身差圧勝。2着も6枠はないと信じて切ったハーパー、3着は今年も二ケタ人気馬が来たものの、▲エミューではなく2つ隣のドゥーラ。ちなみに着差6馬身は、12年のジェンティルドンナの5馬身を超えるものだった。
予想に戻ろう。
まずはいつものように過去10年、馬券に絡んだ30頭の前走データを見ていくことにする。
皐月賞 22頭
京都新聞杯、青葉賞 各3頭
毎日杯、プリンシパルS(OP) 各1頭
となっている。何はともあれ前走皐月賞組が圧倒的に多い。二ケタ着順からの巻き返し例はないが、掲示板を外していた馬の巻き返しは少なからずある。京都新聞杯組は過去10年では2着以内、青葉賞組は1頭例外がいるがやはり2着以内と考えるべき。その他は勝っていることが条件となっている。
続いて人気順の成績を見ていこう。
1番人気 3-2-2-3
2番人気 1-3-1-5
3番人気 3-3-1-3
4~6番人気 2-2-0-26
7~9番人気 0-0-3-27
10番人気以下 1-0-3-84
となっている。2番人気の数字が心許ないが近5年では3頭来ている。一方、1番人気と3番人気は数字の上でアテにできそうだが、近5年ではどちらも2頭しか来ておらず、1番人気の1頭はコントレイルである。18年を境に傾向がガラッと変わってしまったようで、1番人気はわずか1勝(上記のコントレイル)、3番人気も1勝(昨年のドウデュース)で、7番人気以下が5頭、うち10番人気以下が3頭とイメージより荒れている。特に19年のロジャーバローズのように12番人気がまんまと勝ちをさらったケースもあるので注意が必要だろう。
これを踏まえて「◎」は14番ファントムシーフとする。
前走は皐月賞(G1)。スタートからポジションを下げて中団後ろからの競馬に。重馬場ながら速めのペースで流れ、4コーナー10番手から直線へ。外から伸びてきたが道悪で切れ味を発揮できずの3着に終わった。
デビュー前から素質馬として評価を受けていた馬。実際、新馬、オープンと連勝している。2歳の大一番ホープフルS(G1)では出遅れた上に前残り展開で実力を発揮できなかったが、それでも4着と健闘。3歳初戦の共同通信杯(G3)を順当に勝って臨んだのが皐月賞という流れだ。
皐月賞ではレース後に向正面で落鉄していたことがわかっており、道悪の中、“裸足”でもここまでのパフォーマンスを見せたのは実力の成せる技だろう。陣営も東京替わりは歓迎とし、折り合いにも問題はないので距離も大丈夫としてかなり期待をしている様子。
2年前のシャフリヤールが払拭したにもかかわらず、相変わらず乗り替わりはダービーに不利という話が蔓延しているが、その点よりはレジェンド・武豊騎手に乗り替わったことが大きいはず。昨年のダービージョッキーでもあり、ダービー最多勝を誇る名手が乗るのであれば好材料しかなかろう。加えて7枠は昨年のドウデュースも勝ったゲンのいい枠。もろもろ込みで敢えて本命として指名したい。
「○」は穴馬1番ベラジオオペラを挙げる。
こちらも前走は皐月賞。2走前に重馬場のスプリングS(G2)を無敗で勝っていたこともあり人気していたが、2~3番手を進む積極策を採った結果、直線で余力をなくして10着に大敗している。
皐月賞の大敗で大きく人気を落としそうだが、新馬から3連勝で重賞を勝った力は侮りがたい。陣営もハイペースに巻き込まれた前走は度外視と強調。レース後に短期放牧を挟んだようで、リフレッシュして戻ってきたとのことだ。
陣営も距離は「やってみないとわからない」としており、確かに父ロードカナロアは自身がそうであったように短距離に強い。だが、9冠牝馬アーモンドアイや有馬記念(G1)2着があるサートゥルナーリアのように距離をこなしてしまう産駒がいるのも事実。この馬はデビューから1800m戦を3戦してきており、マイル寄りの距離適性ではないと見ている。
◎ファントムシーフの項でも触れて、先週のオークスでもこれで痛い目に遭っているのだが、引いた1枠1番は過去10年のダービーでは2勝2着2回3着1回と好相性。一昨年のエフフォーリアもこの枠を引いて2着に入っているなど、傾向は生きていると見ている。そういった部分も込みで対抗としてみたい。
「▲」も穴馬になるが17番ドゥラエレーデを推す。
前走はUAEダービー(G2)。逃げたデルマソトガケを前に見る2番手を追走。道中、ポジションはまったく変わらず、直線でデルマソトガケに離されたが、3番手にも差をつける2着となった。
異色のローテーションを踏んで参戦してきた。芝の新馬戦と未勝利戦を勝ち上がれなかったものの、ダート替わりで勝ち上がり、続く東京スポーツ杯2歳S(G2)で4着。二ケタ人気と超人気薄のホープフルSを勝利した。前走は未勝利戦以来のダート戻りだったが、ダートにも適性があることを示している。
2歳戦とはいえG1を勝っており、芝の適性もあるのは当然。2歳王者はドルチェモアに譲ったが、そのドルチェモアは3歳になってまったくいいところがなく、むしろこちらの方が順調といってもいいだろう。
人気薄でホープフルSを勝ったことが今もフロック視されている可能性や、前走が海外であり、さらにダート戦ということで人気を落としているのだろうが、実力は並みではない。陣営からは「前進気勢の強い馬で、切れる脚がないので前で競馬することになるだろう」ということで「外枠からどう捌いて前に出るか」という不安交じりのコメントが出ている。
確かに前目で競馬する馬にとって、外枠は不利である。そこは当日どう捌けるかの一言に尽きるが、逆に言うと前にさえ出られれば、自分のペースで競馬して残る可能性があるということ。実際、近5年では逃げ馬や2番手の馬が前で残って馬券圏内に入ったケースが3回ある。これを考えるとUAEダービーのようなレース運びをするなら、勝ちまではないにせよ、残る可能性は十分考えられる。
スタートの時点でどうなるかが勝負になるだろうが、上手く捌いて前に出られることを大前提として印を打っておきたい。
「△」は人気の軸、5番ソールオリエンスと穴馬6番ショウナンバシット、18番サトノグランツの3頭とする。
ソールオリエンスは前走の皐月賞を勝利して3連勝。無敗のまま2冠目に挑戦となる。皐月賞では後方からの追い込みで勝利したが、前目から押し切る自在性もあり、今時点では死角らしい死角がない。あっさり無敗2冠も考えられる。
一部メディアでは3枠5番は「3冠馬の枠」などと報じられているが、過去10年に絞るとコントレイルがこの枠で無敗2冠を奪取しているものの、3枠自体は同じ年の3着ヴェルトライゼンデが来ただけで、残る9年ではまったく実績のない枠である。
先週のオークスでは「6枠が死枠」としてハーパーを切ったら2着に入った、ということがあるので、強くは推さないが枠の有利不利はやはり厳然としてあるため、その分だけ割り引いて押さえまで。
ショウナンバシットも皐月賞では後方からの競馬を選択し、4コーナーで4番手まで押し上げた結果、掲示板を確保。ここまで重賞勝ちがないこともあって高くは評価されていないようだが、重馬場だったとはいえG1で5着はなかなかのもの。
シルバーステート産駒はあまり長距離のイメージがないが、意外に長距離で実績を残している。血統面でも特に問題はなさそうで、究極の切れ味勝負になった場合にどう出るかという懸念はあるが、上がり33秒台の脚もあり、皐月賞5着がさほど評価されないなら敢えて押さえる手もある。
サトノグランツはいわゆる別路線組で、前走京都新聞杯(G2)を勝利して臨戦。京都新聞杯組は青葉賞組より好成績を残しているだけに、大外枠とは言え押さえる価値はあろう。
陣営からは「本当に良くなるのは秋」として「現時点での完成度の差がある」とさほど期待をかけていないニュアンスのコメントが出ている。だが、中団より前目につけて、上がり33.3秒で前残りしていた馬を差し切るのは並みの馬ではなかろう。同じ位置取りだったマイネルラウレアが上がり33.2秒で5着に敗れていることを考えると、完成度で見劣るからといって敵わないとは限らない。
そこそこ人気しそうだが、川田将雅騎手が騎乗するだけに押さえないわけにはいかないだろう。
人気どころでは2番スキルヴィングと12番タスティエーラを切り。
スキルヴィングの前走、青葉賞(G2)は実力通りの勝ち方をしたと感じている。勝ちタイムにしても、コントレイルがダービーを勝ったタイムよりも速い。究極の上がり勝負になっても33秒台の脚を使える強みもあるにはある。
だが、超個人的な感想で申し訳ないのだが、世に言われるほど強いと思えないのが正直なところ。○ベラジオオペラの項で触れたが、1枠はダービーと好相性の枠。ただし、2番は1番と違って14年にワンアンドオンリーが勝っているだけで1番に比べると断然見劣る。
加えて決して有利とは言えない青葉賞組ということで、今回は皐月賞出走組の方が有力に見えた結果、黙って切りという結論に達した。
タスティエーラも皐月賞2着は評価されてしかるべきで、近年はダービーと相性のいい弥生賞ディープインパクト記念(G2)を勝っているというローテーションの強みもあるが、父サトノクラウンが、まだ2世代しかいないという事情はあるにせよ、2200m以上で産駒の勝ち星ゼロという点も引っかかる。やればこなす可能性もあるが、こちらも黙って切りとしたい。
ということで、今回は1番、5番、6番、14番、17番、18番の6頭で3連複BOX20点勝負とする。人気馬を押さえているので、順当に決まるとトリガミの可能性すらあるが、ここは1頭でも穴馬が食い込んでくることに期待したい。
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