オークス圧勝リバティアイランドとダービー惜敗ソールオリエンス、二冠狙った大物候補で明暗…大本命馬2頭の何が違っていたのか
競馬の祭典・日本ダービー(G1)が終了し、5週連続で開催となった東京のG1ウィークも残すは安田記念(G1)のみ。3歳世代のクラシックは春二冠を狙ったリバティアイランドとソールオリエンスの2頭が盛り上がりに大きく貢献したが、圧勝した前者と惜敗した後者の間で明暗を分ける結果に終わった。
2020年には春二冠を達成したコントレイルとデアリングタクトの2頭が、そのまま秋に三冠も達成し、JRA史上初となる同年に牡牝で無敗の三冠馬が誕生した。無敗ではなかったにせよ、3年ぶりの快挙も視野に入っていただけに、ソールオリエンスが敗れたことは残念である。
ただ、1頭だけ格の違いを見せつけたリバティアイランドと皐月賞(G1)で負かしたタスティエーラの逆転を許したソールオリエンスの臨戦過程に決定的な違いがあったことも触れておきたい。
オークス(G1)のリバティアイランドは好位6番手から楽に抜け出し、2着ハーパーに6馬身差をつけるワンサイドゲーム。主戦を務める川田将雅騎手の寸分の隙も見せない騎乗に“落胆した”穴党も少なくなかっただろう。こちらについては日本ダービーの横山武史騎手も同様だ。好スタートから6番手につけたポジション取りは、まるでオークスの再現VTRを見ているような印象すらあった。
にもかかわらず、どちらも単勝1倍台の大本命に推されながら結果は異なった。結果的にソールオリエンスは、リバティアイランドほど抜けた存在ではなかったと言わざるを得ない。
その一方で、それぞれが勝利した前走の内容にも大きな違いがあったことも事実だ。
桜花賞(G1)は平均よりやや速めのペースながら、道中を2番手で進めたコナコーストが2着に入り、4番手のペリファーニアが3着。オークス2着のハーパーは6番手から追い上げ届かず4着に敗れていた。
このように積極的な位置取りだった馬が、上位に食い込むレース展開だったものの、リバティアイランドは最後の直線で後方2番手という絶望的な位置から大外一気を決めてしまった。インの経済コースを走るには絶好といえる2枠3番のアドバンテージを放棄するタブーを冒しての勝利だからこそ価値がある。
それでも勝てると信じた川田騎手の大胆な決断も光った上、2着馬との着差こそ3/4馬身ながら、数字以上のパフォーマンスを披露したといえる。これがオークスで6馬身差まで着差が広がった理由だろう。
これに対し、皐月賞のソールオリエンスは桜花賞のリバティアイランドを彷彿とさせる大外一気で差し切り勝ちを決めたものの、こちらは先行争いが激化した前崩れの展開だった。
前半1000mの通過が58秒5で後半は62秒1と落差は3秒6。重馬場でタフなレースとなっただけでなく、内側も荒れていたことを考えれば、1枠1番から後方まで下げて大外に回した横山武騎手の判断は功を奏したといえる。そういう意味では、この激流を直線4番手から1馬身1/4差の2着に残ったタスティエーラは強い競馬。これだけで勝負付けが済んだと決めつけてしまうには危うさもあったのではないか。
また、オークスの2分23秒1に比して2秒1も見劣った、ダービーの勝ち時計2分25秒2についても少々物足りなさを感じる。
土曜東京の葉山特別(2勝クラス)でヴィクトリアマイル(G1)の1分32秒2を上回る1分31秒6が出ていたように、降雨のなかった日曜の東京は絶好の馬場状態。当日に同じ芝2400mで行われた8R青嵐賞(2勝クラス)の2分25秒6とも0秒4しか変わらなかった。
全体的にスローに流れていたとはいえ、昨年のドウデュースがマークした2分21秒9とは、3秒3もの開きがある。タイムだけで単純な比較はできないが、過去10年で2番目に遅い決着だったことは気になる材料だ。
ソールオリエンス1強の下馬評から一転して混沌のクラシックに変わった今年の3歳牡馬。菊花賞(G1)では新たなスターが登場しているかもしれない。
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