
日本ダービー(G1)D.レーン「背信続き」の崖っぷちから失地回復!テン乗りジンクスも「正直知らなかった」…またしても2着横山武史はトラウマ再発?

69年続いたジンクスも一回り成長したこの男には通用しなかった。
28日、東京競馬場で行われた日本ダービー(G1)を制し、世代の頂点に立ったのはD.レーン騎手とタスティエーラ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)のコンビだ。
2019年の日本ダービー(G1)では、騎乗停止のC.ルメール騎手からバトンを受け取ったサートゥルナーリアに騎乗したが、出遅れも影響して4着に敗戦。このときはテン乗りのジンクスの前に屈したものの、4年越しのリベンジに成功した。本人曰く「正直知らなかった」らしいが、負の歴史に終止符が打たれた意味は大きい。
「とても特別な勝利になりました。勝ったことで素晴らしい気持ちになりましたし、いつもサポートしていただいている堀厩舎とキャロットファームにも感謝しています。嬉しいです」
会心の勝利を手にしたレーン騎手だが、レース後のコメントで触れたのは、同じ堀厩舎のサリオスで2着に敗れた2020年のダービー。3馬身差で完敗したとはいえ、相手は無敗で三冠を制したコントレイル。さすがに相手が悪かった。
ただ、堀調教師のレーン騎手に対する信頼は厚く、松山弘平騎手からスイッチしての騎乗依頼。皐月賞(G1)で2着に導いた騎手を差し置いての登板なのだから、大一番を任されるプレッシャーも大きかっただろう。
その一方、無敗の二冠が懸かった大本命馬はまだしも、ダービーを勝てないといわれる青葉賞(G2)を制したスキルヴィングが2番人気、皐月賞3着のファントムシーフが3番人気。本来なら打倒ソールオリエンスの最右翼となるはずの馬が、4番人気の評価に留まったことは少々意外だった。
理由のひとつとして挙げるとすれば、各馬の騎手に対するファンの信頼と期待が、少なからず関係していたのではないか。
短期免許を取得して4月15日から騎乗したレーン騎手だが、全体的な成績は悪くないながら、肝心なところで勝ち切れないレースも散見した。
特に不振が目立ったのは重賞レースだ。皐月賞からオークスまで5つのG1で全敗。ソダシに騎乗したヴィクトリアマイル(G1)では、発走後まもなく内側に斜行したことについて、過怠金5万円が科されただけでなく、先週のオークスでも3番人気コナコーストで見せ場も作れずに7着に敗れていたばかり。不振を目にしたファンの心理に「今のレーンは信用できない」という想いが、少なからず芽生えていたかもしれない。

これに対し、スキルヴィングのC.ルメール騎手は、文句なしのトップジョッキーであり、名手が最も得意とする東京競馬場が舞台。本番と同じ芝2400mを連勝していただけでなく、戦前に「自信がアリマス」と手応えを掴んでいた。
また、レーン騎手と同じくテン乗りとなった武豊騎手にしても、こちらは競馬ファンなら誰もが知るレジェンド。歴代最多のダービー6勝を誇るだけに、「この人ならあっさり勝ってしまうのではないか」と期待したファンも多かったはずだ。
しかし、終わってみればレーン騎手の好判断が随所に見られた。後続を離して逃げたパクスオトマニカの刻んだ1000m通過のラップは60秒4で、時計の出る現在の東京ならスローの展開。スタートして迷わず好位の4番手につけたレーン騎手の読みも冴えた。最後の直線で後ろを気にすることなく先んじて仕掛けると、上がり3ハロン33秒5の脚で押し切った。
終始6番手で競馬したソールオリエンスの横山武騎手のポジション取りも、末脚不発のリスクを考えた場合、決して間違っていなかったはずだが、後ろを気にした分だけ追い出しが後手に回ったようにも映った。快進撃の続く若手のホープにエフフォーリアで敗れた2年前のトラウマが再発しなければいいが……。
ダービーの勝利で重賞8連敗から脱出したレーン騎手だが、それだけで終わらないところが彼の恐ろしさだ。最終レースとなった目黒記念(G2)も4番人気のヒートオンビートで制し、10Rのむらさき賞(3勝クラス)から3連勝。まさに鬼神のような大活躍でダービーデーを締めくくった。
集中力が極限まで高まり、感覚が研ぎ澄まされたように感じる状態のことを「ゾーンに入る」といわれるが、失地回復に成功したレーン騎手もまた同じだった可能性がある。輝きを取り戻した名手は、セリフォスとコンビを予定している安田記念(G1)でも目が離せない存在となる。
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