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「やることなすこと裏目」から大逆転…安田記念12年ぶり制覇でV字回復! 元リーディングジョッキーたちが存在感を発揮

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ソングライン 撮影:Ruriko.I

 春の東京競馬場を舞台にNHKマイルCからスタートした5週連続G1開催。その掉尾を飾った安田記念(G1)を制したのは、ソングライン(牝5、美浦・林徹厩舎)と戸崎圭太騎手のコンビだった。

 昨年の優勝馬ながら8枠18番の大外が嫌われたのか、ファンの評価は意外なことに4番人気。G1馬10頭が一堂に会した超ハイレベルの一戦だったとはいえ、“舐めてもらっては困る”と言わんばかりの圧勝劇を演じた。過去、同年にヴィクトリアマイルと安田記念を連勝した馬はウオッカのみ。あのアーモンドアイやグランアレグリアですら成し得なかった偉業だけに価値は高い。

「このように素晴らしい馬に巡り会えて、G1・2連勝ということで、とても嬉しいです」

 レースを振り返った戸崎騎手もストレートに喜びを爆発させた。ソダシを破って優勝したヴィクトリアマイルから中2週と間隔は詰まったが、自身が跨った中間の追い切りで状態のよさも把握。自信を持って大一番に臨んでいたという。

 ソングラインを管理する林徹調教師は、「祈るような気持ちでレースを観ていた」と神頼みに近い心境だったようだが、終わってみれば2着のセリフォスに1馬身1/4差の完勝。「今日は戸崎騎手が120%の騎乗をしてくれました」と好騎乗に賛辞を惜しまなかった。左回りでG1・3勝目を挙げた典型的なサウスポーだけに、秋は左回りが主流の米国遠征を視野に入れて調整される見込みだ。

 初めてコンビを組んで快勝したヴィクトリアマイルに続くG1で2戦2勝を決めた戸崎騎手だが、今年はここまで不運と屈辱に塗れ続けていたことも事実だ。

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戸崎圭太騎手 撮影:Ruriko.I

 年始の中山金杯(G3)をラーグルフで制して好発進を決めたかと思いきや、フェブラリーS(G1)では自身が降板したレモンポップに勝たれ、皐月賞(G1)でクラシック一冠を獲得したソールオリエンスも、戸崎騎手が騎乗してデビュー勝ちを飾っていた馬。オークス(G1)を15番人気で3着に激走したドゥーラもまた、チューリップ賞(G2)と桜花賞(G1)で戸崎騎手が騎乗したものの二桁着順の惨敗を繰り返した結果、斎藤新騎手に戻って復調した。

 その他にも戸崎騎手の手から離れた馬の好走が目立ったため、ネットの掲示板やSNSなどでは、一部のファンから「ツキがないのは騎手よりも馬」「戸崎から乗り替わった馬が狙い目」「戸崎の呪い」といった容赦ない罵声も飛んでいた。このような声が直接耳に入ったかどうかは分からないとはいえ、やることなすことが裏目に出ていた状況については、本人も思うところがあったに違いない。

 また、今回11つ目のJRA・G1タイトルを手にした戸崎騎手は、JRAで初めてG1勝利を掴んだのも12年前の安田記念である。

 当時はまだ移籍前で大井競馬の所属だったが、9番人気のリアルインパクトで殊勲の勝利。中央のファンに「大井に戸崎圭太あり」を印象付けただけでなく、中央に移籍してからは、3年連続リーディング(2014年~16年)を獲得した。一時は調子を落としていたが、昨年はリーディング2位ながらMVJに表彰されるなど、王座奪回に向けて復調を見せていた。

 そして、大井出身のJRAジョッキーといえば、戸崎騎手の先輩である内田博幸騎手も先日のNHKマイルCを9番人気シャンパンカラーで制したばかり。2013年のリーディングジョッキーが弟分の戸崎騎手と同じく存在感を発揮している。

 近年は名実ともに日本のナンバーワンジョッキーに上り詰めた川田将雅騎手、C.ルメール騎手が二強を形成し、横山武史騎手や坂井瑠星騎手ら若手の台頭も顕著な競馬界。だが、かつてリーディングを経験した腕利きたちが健在ぶりを証明したことは頼もしい限り。

 レジェンドといわれる武豊騎手をはじめ、横山典弘騎手、柴田善臣騎手ら大ベテランもまだまだ元気。3週後に開催されるグランプリ・宝塚記念(G1)や秋競馬でも我々ファンを楽しませてくれそうだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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