「憧れの騎手は武豊」若手有望株が崖っぷち!? 横山典弘にも噛みついた男が低迷…「失うものがない」一大決心
毎年デビューする若手騎手たち。わずか数年でリーディング上位に顔を覗かせる有望株もいれば、チャンスに恵まれないまま、伸び悩むケースも珍しくはない。
彼らの明暗を大きく分かつのは、所属厩舎やエージェントによるバックアップの大きさだ。今を時めく横山武史、岩田望来、団野大成ら実力派の若手騎手にしても、境遇に恵まれなければ、G1や重賞勝ちを手にする機会はなかったかもしれない。
勿論、限られたチャンスをしっかりモノにするだけの実力があっての結果とはいえ、優勝劣敗が必然的に発生するのが勝負の世界。今は順調だったとしても、慢心や油断が原因で表舞台から姿を消した騎手もいた。有力馬の陣営から騎乗依頼をもらってこそ、輝けるのが騎手という職業。関係者の心証を損なえば、自ずと活躍の場を失っていく。
今年でデビュー4年目を迎えた秋山稔樹騎手もまた、岐路に立っている一人である。憧れの騎手として武豊の名前を挙げたかつてのホープも最近はすっかり影が薄れてしまった。
「憧れの騎手は武豊」若手有望株が崖っぷち!?
同騎手はルーキーイヤーに17勝を挙げ、顕著な成績を残した関東の新人騎手に贈られる民放競馬記者クラブ賞を受賞した若手の有望株で、2年目には42勝を挙げる活躍。このまま波に乗って上位に食い込むかと思われたが、3年目は20勝と前年から半減した。
今年に至っては6月下旬を迎えるタイミングながら、まだ2勝と明らかに苦しんでいる状況だ。同じ美浦所属の後輩騎手に勝ち数で後れを取っている現状は、本人も納得していないだろう。
だが、ここまで伸び悩む原因は、どうやら秋山稔騎手自身のスタイルも少なからず関係しているようだ。
「積極的なポジション取りに定評のある騎手ですが、場合によってはそれがトラブルに繋がったケースも何度かあったみたいです。
チャンスのある馬で好位につける競馬は、勝ち負けを期待される“主役の馬”に騎乗することの多いトップジョッキーなら必須ですが、彼の場合は足りない“脇役の馬”に騎乗することが殆ど。同じように強気な競馬をすれば、本人は良かれと思っていても、結果的には俗に言う『競馬を壊す』ことにもなりかねません。
そういった場合、大抵は先輩騎手が注意して後輩が謝って次から気をつけるというのが若手騎手の通過儀礼のようなものですが、秋山稔騎手はレース中において先輩も後輩も気にしないタイプ。デビュー年には注意してきた横山典弘騎手に対し『僕は勝つために乗っているんです。何も悪い事はしていません!』と噛みついたこともありました。検量室に響き渡るやり取りで、周りが凍りつくほどの“伝説”になったくらいです」(競馬記者)
『競馬を壊す』といえば、先週末のマーメイドS(G3)は、一部のジョッキーの判断でレースの結果が大きく左右された一戦だった。
ハナを主張した今村聖奈騎手のハギノメーテルに対し、一歩も引かなかった藤岡康太騎手のシャーレイポピー、松若風馬騎手のヒヅルジョウが執拗に競りかけた結果、前半1000m通過が57秒3と超が付くハイペースを演出した。
結果は、絵に描いたように3頭揃って後ろからワンツースリーとなったが、巻き込まれた他のジョッキーからすれば、たまったものではなかったはずだ。レース後には、共倒れした3人に苦言を呈する関係者もいた。
「秋山稔騎手は先述の横山典騎手の他にも、複数の騎手と衝突を繰り返していました。そして、これは関係者からの騎乗依頼減少にも繋がったようです。
まだ実績のない若手だけに、騎乗馬の中には足りない馬も多数います。そうなると当然ながら依頼する陣営の中には、勝ち負けよりもレースを教える事や賞金の出る入着圏内を狙っているケース、つまりは一か八かのような騎乗よりも、ロスの少ない競馬であわよくば掲示板に載って欲しいという想いのある陣営もいるということです。
勿論、レースに出走する以上は、勝利を目指すのが大前提。秋山稔騎手の主張が決して間違っているというわけではありませんが、“事情”をくみ取れないジョッキーは陣営にとっても使い辛いということなのでしょう」(同)
強気な競馬は失敗すればタイムオーバーなどの出走制限を受けたり、馬の精神面や肉体に大きなダメージを残す可能性も高くなるリスクも伴うため、一部の関係者の間では「そういったことを嫌がる陣営から距離を置かれた」結果、現在の成績低迷に陥ったのではないかとも噂された。
聞くところによると、自身の活躍に合わせて家族総出で美浦トレセンのある茨城県に引っ越したほど。「自分が家族を養わなければいけない」という想いが空回りしてしまったという見方もできる。
ただ、秋山稔騎手としても6月からは、栗東に滞在して人脈を広げているように、今年待望の2勝目を挙げたテーオーレガシーは関西の宮徹厩舎の所属馬だ。これまで6戦に他の騎手が騎乗して勝てなかった馬を初騎乗ながら3馬身差で楽勝させたあたり、やはり乗れる若手であることは確かなようだ。
崖っぷちから復調するために最優先となる課題は、やはり馬質の向上だろうか。今年の成績はJRAで172鞍に騎乗して2勝と冴えないが、そのうち141鞍が10番人気以下の超人気薄というもの。
割合にして「約82%」も占めているのだから、なかなか勝てないのも分かる話だ。
秋山稔騎手自身も今年はエージェントを変更したり、今回の栗東滞在など再浮上を目指すべく試行錯誤を繰り返している。記者の話によると、夏の小倉まで栗東で腰を据えるらしい。こちらについても『UMATOKU』の報じた記事内で、「年明けから考えていて、関係者と話をして決めました。失うものがないので、挑戦したいと思いました」と強い決意を語った。
勝ち気な性格は、保守的な雰囲気の漂う美浦よりも、関西人の多い栗東の方が馴染む可能性もある。最近だと、関東から関西に基盤を移して成績を伸ばした西塚洸二騎手の前例もある。腕は確かなだけに、何とか関係者からの信頼を勝ち取って再浮上に繋げて欲しい。
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