武豊をデビュー2年目に上回った実力派が「106連敗」の大スランプ…「単勝164.3倍」大波乱を起こした相棒と掴みたい復調のきっかけ
かつてのホープが不調にあえいでいる。
2010年に競馬学校第26期生として、栗東・本田優厩舎からデビューした川須栄彦騎手。翌年は年間91勝を挙げ、小倉ターフ賞を受賞。キャリア2年目にして、関西リーディングで武豊騎手を上回る4位に入った実力の持ち主である。
デビュー3年目にエーシンジーラインで重賞初制覇。5月のヴィクトリアマイルでG1初騎乗を成し遂げており、この年は重賞3勝を挙げる活躍を見せたことから、これから間違いなくリーディング常連騎手の1人になると思われた。
しかし、その後は思うように勝ち鞍を伸ばせず、2015年からは8年連続で年間30勝以下の成績。昨年に至ってはキャリア初の一桁となる、年間9勝に終わってしまった。キャリアハイを記録したデビュー2年目の、実に10分の1以下という数字だ。
「106連敗」の大スランプ…
そして今年は、ここまでわずか3勝。3月25日にタガノシャーンスで挙げた勝利を最後に、約5ヶ月間も白星から遠ざかっている。19日の土曜競馬でも全4鞍で敗れており、連敗記録はここにきて「106」にまで伸びてしまうなど、とにかく大スランプに陥っている状況である。
「近年の川須騎手といえば、シャマルとのコンビで交流重賞3勝を挙げるなど活躍を見せていたのですが、昨年のチャンピオンズC(G1)を前に降板。デビューから12戦連続で同馬の手綱を取り続けており、これといったミスをしたわけでもなかったと思うのですが、残念な乗り替わりとなってしまいました。
なお偶然だとは思いますが、この降板の時期を境にして川須騎手は勝ち星のペースが一気に減少しています」(競馬誌ライター)
そんな不調が続いている川須騎手だが、20日の北九州記念(G3)にはお手馬ボンボヤージ(牝6歳、栗東・梅田智之厩舎)とのコンビで臨む。
昨年の同レースでは16番人気の超人気薄だったものの、見事に大金星。最内1番枠からのスタートを最大限に活かすと、巧みにインコースを回って抜け出す会心の騎乗で単勝164.3倍の大波乱を演出した。
川須騎手にとっても重賞制覇はレッドアリオンの2015年関屋記念(G3)以来、7年ぶりのことだった。同騎手は福岡出身でもあるだけに、勝利インタビューで「ここ(福岡)で久々に重賞を勝てて嬉しく思います」と答えるなど、喜びひとしおだったのは当然だろう。
その後、ボンボヤージは勝ち星がなくやや精彩を欠いているものの、小倉・芝1200mは3勝を挙げるなど得意としている舞台である。今年も1枠を引き当てただけに、何とか昨年の再現を期待したいところだ。
「全兄のファンタジストも小倉2歳S(G3)を制しているなど、この一族にとって小倉・芝1200mはとても相性が良いんですよね。ボンボヤージは帰厩してから順調に乗り込まれているようで、管理する梅田調教師も『あとはこの馬を知り尽くしてくれている川須にバトンを渡すだけ』(東京スポーツ)と話すなど、今年もどことなく一発のムードが漂っています」(同)
実は川須騎手は昨年の北九州記念の前も、65連敗を喫していた。丸3ヶ月も勝ち星がないという厳しい状況の中で大仕事をやってくれただけに、今年も相棒と好戦して復調のきっかけを掴んでほしいところだ。
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