【小倉2歳S(G3)展望】今村聖奈「大ブレイクの舞台」で重賞2勝目チャンス! スプリント界の将来担うスピードスターが集結!
9月3日、夏の小倉開催のフィナーレを飾るのは小倉2歳S(G3)だ。かつては早熟馬による短距離戦というイメージが強かったが、ここ数年はメイケイエールやナムラクレアなど成長力も兼ね備えたスピード馬も輩出している。
今年もスプリント界の将来を担うような大物候補は誕生するか。早速展望していこう。
初戦は7月の福島・芝1200mで単勝1.4倍の圧倒的人気に応えたビッグドリーム(牡2歳、栗東・西園正都厩舎)。50%を超える支持率を得た理由は、同じビッグアーサーを父に持つ全兄ビッグシーザーの存在もあったからだろう。
兄は3戦目の未勝利戦で勝ち上がると、続く福島2歳S(OP)、中京2歳S(OP)、マーガレットS(L)とスプリント戦で怒涛の4連勝を飾った。重賞初挑戦の葵S(G3)は1番人気に推されたものの、惜しくも3着に敗れたが、次走はセントウルS(G2)で古馬相手に力試しの一戦を迎える。
そんな兄よりも先にデビュー2連勝での重賞勝利を狙うビッグドリーム。兄を上回る500kg超の雄大な馬体からは、スピードだけでなくパワーも備えている印象だ。
もう一つ、ビッグドリームが初戦で高く支持された理由が、調教での秀逸な動きだ。デビュー戦の最終追い切りでは、栗東CWで6ハロン76秒台という2歳馬としては異例の時計をマークし、関係者をざわつかせた。
今回も同コースの1週前追い切りで77秒1をマークしており、2か月ぶりの実戦でもそのスピードを如何なく発揮してくれるはずだ。
ビッグドリームと双璧を成すとみられるのは、ロードカナロア産駒のアスクワンタイム(牡2歳、栗東・梅田智之厩舎)だ。
7月の中京・芝1200mでデビューした初戦は2着に敗れたが、中1週で臨んだ2戦目で5馬身差の圧勝。騎乗した岩田望来騎手が「まだフラフラするところもありましたが、しっかり勝ち切ってくれました。5馬身差ありますが、まだ余裕がありました」とコメントしたように、まだまだ成長の余地を残している。
本馬の血統も大きな魅力だ。5歳上の全兄ファンタジストは5年前の当レースを制覇。続く京王杯2歳S(G2)も勝ち、無傷の3連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)に出走した快速馬だった。また4歳上の全姉ボンボヤージも小倉コースで3勝を挙げるコース巧者で、そのうちの1勝は16番人気で制した昨年の北九州記念(G3)である。
また、アスクワンタイムも調教で非凡なスピードを見せており、24日には栗東坂路で追い切られ、この日に追い切った2歳馬では3番目に速い52秒5をマーク。馬名の通り、“もう一度”オーナーに笑顔を届けることができるか。
小倉に初参戦となるビッグドリームとアスクワンタイムに対し、ヴィクトワールピサ産駒のセイウンデセオ(牝2歳、栗東・吉村圭司厩舎)は、同コースを経験している強みがある。
デビューは今月中旬の小倉開幕週。敢然と逃げの手を打ち、前残りの馬場と3kgの減量特典を生かして白星発進を決めた。
勝因の一つは、鞍上を務めた今村聖奈騎手の馬場読みだった。「馬場を歩いたら、去年のような前残りの馬場と感じました」という読みが見事に的中。最後まで後続に並ばせず、まんまと逃げ切った。
今回は他馬と同じ斤量を背負い、開催4週目となる馬場もカギとなるだろう。今村騎手は「テンからダッシュがつくような馬ではありません」とも話していて、決して行き脚がいいわけではない。馬場次第では前走から一転、控える競馬を試みる可能性もあるだろう。
舞台となる小倉・芝1200mといえば、昨年のCBC賞(G3)で重賞初騎乗初制覇を飾った思い出の舞台。この勝利をきっかけに大ブレイクした今村騎手の手綱さばきにも注目だ。
モーリス産駒のミルテンベルク(牡2歳、栗東・武英智厩舎)は、6月の阪神・芝1200mでデビュー。2番手から早めに抜け出して2着馬に3馬身の差、3着馬にはさらに7馬身の差をつけて初陣を飾った。
血統的に、将来はマイル前後での活躍が見込まれる。ただし、初戦で見せたスピードと、素早く2番手につけたセンスを再び発揮できれば、ここでも上位争いは必至だ。
そのミルテンベルクに初戦で敗れたドナヴィーナス(牝2歳、栗東・庄野靖志厩舎)は、2歳戦で猛威を振るう新種牡馬スワーヴリチャードの初年度産駒。2戦目で小倉・芝1200mを勝ち上がったが、勝ちタイムの1分8秒3は昨年の小倉2歳Sの勝ち馬ロンドンプランがマークした1分8秒1と0秒2遅いだけだった。
初戦から手綱を取る川島信二騎手は、22年2月京都牝馬S(G3)以来、実に1年半ぶりの重賞騎乗。久々の大舞台で爪痕を残したいところだろう。
この他には、デビュー戦で完成度の高い走りを見せ、2着に2馬身半差をつけたキャンシーエンゼル(牝2歳、栗東・鈴木孝志厩舎)、近親にサクソンウォリアーがいるゴドルフィン期待の外国産馬パッシングシャワー(牡2歳、栗東・安田翔伍厩舎)も侮れない。
今年の小倉2歳Sは、生粋のスプリント血統で期待が高いビッグドリームとアスクワンタイムの一騎打ちとなるのか、今村騎手とセイウンデセオが間隙を突くのか。発走は9月3日、15時35分を予定している。
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