
【凱旋門賞(G1)展望】主役は「5戦5勝」エースインパクト!スルーセブンシーズはコンビ「3戦3勝」C.ルメールと参戦

今年こそ日本競馬の悲願達成なるか――。
10月1日、フランスのパリロンシャン競馬場では、第102回凱旋門賞(G1)が行われる。
昨年は過去最多4頭の日本馬が世界最高峰の一戦にチャレンジしたが、揃って二桁着順に惨敗。今年は一転してスルーセブンシーズただ1頭の参戦となった。
まずはスルーセブンシーズに立ちはだかる外国馬の有力どころから紹介していこう。
現地の主要ブックメーカーが軒並み1番人気に支持しているのは、地元フランスのエースインパクト(牡3歳、仏・JC.ルジェ厩舎)だ。
今年1月のデビュー戦から無傷の5連勝中で、2走前の仏ダービー(G1)を3馬身半差で快勝。さらに約2か月ぶりの実戦となったギヨームドルナノ賞(G2)では、単勝1.4倍の断然人気に応えた。
その前走は道中後方2番手からの競馬。直線で余力十分に抜け出すと、最後は2着馬に3/4馬身差をつけて連勝を伸ばした。いまだ底を見せていない魅力はあるものの、これまで走った距離は1900~2100m。初の2400mにどう対応するのか、5戦という浅いキャリアとともに懸念材料は決して少なくないが、あっさり突き抜ける力は持っている。
そんなエースインパクトに対し、フクム(牡6歳、英・O.バローズ厩舎)は17戦という豊富なキャリアが魅力。通算成績も「11-1-2-3」で、勝率は65%に上る。
3歳夏に重賞初勝利を飾ると、5歳春までに5つの重賞タイトルを積み上げた。G1初制覇を飾ったのは5歳夏のコロネーションC。パイルドライヴァーに4馬身1/4の差をつける圧勝で評価を大きく上げた。
その後は約1年の休養を挟み、今年5月のG3戦で復帰。初戦を見事な勝利で飾ると、続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)では、難敵ウエストオーバーをデッドヒートの末、アタマ差で下した。
3歳馬エースインパクトの勢いを止めるなら、出走予定馬で1位のレーティング128を誇るこの馬だろう。
北海道・新冠のパカパカファームで生産されたコンティニュアス(牡3歳、愛・A.オブライエン厩舎)は、追加登録料を払って参戦を予定している。
昨年8月のデビューから7戦すべてでR.ムーア騎手が手綱を取っているコンティニュアス。2歳時に2連勝したが、約8か月の休み明けで迎えた今年5月のG2戦で初黒星を喫した。
続く仏ダービーは11頭立ての8着。さらにキングエドワード7世S(G2)で2着に敗れ、丸1年勝利から遠ざかることになった。
久々の美酒を味わったのは2走前。セントレジャーS(G1)の前哨戦、グレートヴォルティジュールS(G2)を快勝すると、英三冠最終戦で1番人気アレストに2馬身3/4の差をつけて初のG1タイトルを獲得した。
2910mの前走から中1週とタフな臨戦過程となるが、名門厩舎が送り込むハーツクライ産駒にファンの期待は大きい。
ここまで名前を挙げた3頭は勝って不思議のない実力の持ち主だが、実はパリロンシャン競馬場はいずれも未経験。例年に比べると突出した存在がいないのも事実だ。

そこで浮上するのは、日本馬として単独で参戦するスルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)である。
3歳時にはオークス(G1)と秋華賞(G1)に出走したものの、9着と11着に敗戦。その後は3勝クラスを走っていた。ようやくオープン入りを果たしたのは今年の1月。初富士S(3勝クラス)を快勝すると、続く中山牝馬S(G3)で軽ハンデを味方に勝利し、重賞ウイナーの仲間入りを果たした。
スルーセブンシーズが成長の跡を見せたのは続く宝塚記念(G1)。10番人気という低評価だったが、道中最後方から直線で鋭く末脚を伸ばして2着に食い込んでみせた。
勝ったイクイノックスとはタイム差なし(クビ差)の接戦。仮にイクイノックスが凱旋門賞に出走していれば、1番人気でもおかしくなかったはずだ。世界ナンバーワンホースに迫った実力は侮れない。
それでも近年の日本馬に比べると実績的に見劣ることは否めない。大舞台への挑戦を後押ししたのはその血統背景があるからだろう。
父ドリームジャーニーの全弟は、日本馬として凱旋門賞制覇に最も近づいたオルフェーヴル。その父ステイゴールドの直仔ナカヤマフェスタも2010年の凱旋門賞で2着に好走している。
ステイゴールド系の比較的小ぶりな馬は欧州特有の重い馬場をこなしており、前走時が446kgのスルーセブンシーズにも同様の期待が懸かる。
現地のブックメーカーの評価は8番人気前後と決して高くないが、世界をあっと驚かせることができるか。鞍上を務めるのはコンビ通算3戦3勝と好相性のC.ルメール騎手だ。
この他には、今年4月にデビューし、5戦3勝のフィードザフレーム(牡3歳、仏・P.バリー厩舎)、3月のドバイシーマC(G1)でイクイノックスの2着に入ったウエストオーバー(牡4歳、英・R.ベケット厩舎)、昨年ジャパンC(G1)に参戦し(15着)、その後は4戦3勝、2着1回の好成績を残しているシムカミル(牡4歳、仏・S.ワッテル厩舎)なども虎視眈々と上位を狙う。
無敗のエースインパクトが連勝を伸ばして頂点に立つのか、それともフクムがベテランの意地を見せるのか。日本生産馬のコンティニュアスと日本調教馬スルーセブンシーズは上位に加われるのか。注目の凱旋門賞は、日本時間10月1日、23時5分に発走を予定している。
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