【菊花賞(G1)展望】皐月賞馬ソールオリエンスVSダービー馬タスティエーラ! 春の2強激突は23年ぶり、クラシック最終章に豪華メンバー集結!
22日、京都競馬場では3歳牡馬クラシックの最終戦・菊花賞(G1)が芝3000mを舞台に行われる。最大の注目は、やはり23年ぶりとなった春の牡馬クラシック二冠を分け合う2頭による3度目の対決だろう。
皐月賞(G1)大外一気の豪脚を披露し、1冠目を制したのはキタサンブラックを父に持つソールオリエンス(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
デビューから3戦目での同レース制覇は2歳戦が始まった1946年以降、史上最少キャリアだった。続く日本ダービー(G1)では堂々の1番人気に支持されたが、中団前目の6番手から直線追い詰めたものの、最後はタスティエーラを捉えきれず初黒星を喫した。
その後は山元トレセンに放牧に出され、英気を養ったソールオリエンス。セントライト記念(G2)からの始動が決定し、秋初戦で一回り成長した姿を見せると思われたが、馬体重はダービーの時と全く同じ460kgだった。
本番へ向けた叩き台とはいえ、皐月賞馬としては負けが許されないレース。だが、早めに抜け出したレーベンスティールを直線で捉えられず。道中でインをうまく立ち回ったライバルに対し、ソールオリエンスは外々を回って4角では距離ロスもあった。ただ、それでも勝ち馬に1馬身3/4差をつけられたのはいただけない。
今回は全出走馬が初めてとなる未知の距離。走ってみないと分からない部分はもちろんあるが、管理する手塚師は前走後に「道中はお釣りがあったし、これで距離はかなりもつのは分かった」とコメントしており、世代限定戦ならマイナスにはならないだろう。
前走で後塵を拝したレーベンスティールも不在なら主役の座は譲れない。2戦目の京成杯(G3)から手綱を取る横山武史騎手は、後方から末脚にかけるのか、それとも積極的にポジションを取りに行くのか、その騎乗にも注目が集まる。
皐月賞でソールオリエンスに完敗を喫したものの、ダービーで巻き返しに成功し、世代の頂点に立ったタスティエーラ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)は、ぶっつけ本番で菊の舞台に登場する。
今やトライアルを使わず、外厩で仕上げてG1に出走するのが当たり前の時代。牝馬三冠最終戦の秋華賞(G1)もオークス(G1)から直行で臨む馬が結果を出している。
ただ、それでも長丁場の菊花賞は例外といえる。
1987年に皐月賞→菊花賞を連勝した二冠馬サクラスターオーはいるものの、歴史は春からの休み明けは大きなマイナス要素になると物語っている。
特にタスティエーラは、この春に共同通信杯(G3)からダービーまで使い詰めで結果を出しており、5か月ぶりの実戦でいきなり力を発揮できるかどうかがカギとなりそう。
ダービー後は北海道のノーザンファーム早来で放牧に出ていたが、先月下旬にノーザンファーム天栄を経由して美浦トレセンに帰厩。美浦南Wで行われた2週前追い切りで、6ハロン81秒6-11秒2の好時計をマークするなど、久々を感じさせない俊敏な動きを披露している。1週前追い切りでも僚馬に2馬身先着を果たしており、調整は順調そのものだ。
過去5戦で4人の騎手が騎乗していたが、今回陣営が白羽の矢を立てたのは再びテン乗りとなるJ.モレイラ騎手。マジックマンの異名を取る名手が淀の舞台に菊の大輪を咲かせることはできるか。
ソールオリエンスとタスティエーラの“2強”対決に割って入るとすれば、両者とは未対戦の上がり馬になる可能性も十分あるだろう。
これが重賞初挑戦となるドゥレッツァ(牡3歳、美浦・尾関知人厩舎)は、デビューから5戦4勝と底を見せていない。昨年9月のデビュー戦は3着に敗れたが、2戦目から目下4連勝中と勢いはメンバー屈指といえる。
近2走は夏競馬でホンコンJCT(2勝クラス)と日本海S(3勝クラス)で古馬を撃破。特に前走は前に行った2頭が2~3着に粘る前残りの展開を4角7番手から差し切ってみせた。
キャロットファーム×尾関厩舎×C.ルメール騎手の組み合わせは、先日の凱旋門賞(仏G1)で4着に健闘したスルーセブンシーズと全く同じ。フランスの地で遂げられなかったG1制覇を京都で達成できるか。
レコード決着となった神戸新聞杯(G2)からは8頭がエントリー。そのうち掲示板を確保した4頭の名前を挙げておきたい。
前哨戦をレコードで制したのは、7年前の菊花賞を制したサトノダイヤモンドを父に持つサトノグランツ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
昨年12月にデビュー3戦目で初勝利を飾ると、そこから5戦4勝。唯一、敗戦を喫したのはダービーの11着だった。春の悔しさを胸に秋の大一番で最高の結果を残せるか。
前哨戦で10番人気の低評価を覆し、2着に入ったサヴォーナ(牡3歳、栗東・中竹和也厩舎)。2走前は2勝クラスを逃げ切っていたが、前走は一転して好位3~4番手を進み、直線で内を突いてしぶとく粘り込んだ。
ゴール前でサトノグランツの末脚には屈したが、その先行力はいかにも直線平坦の京都向き。先日の京都大賞典(G2)を制するなど好調の池添謙一騎手が大仕事をやってのけるか。
皐月賞3着、ダービー8着のファントムシーフ(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)は、前走でキャリア初となる逃げの手を打ったが、3着が精いっぱい。それでも勝ち馬と0秒1差なら前哨戦としては上々の内容だったといえる。
引き続き手綱を取るのは菊花賞を通算5勝している武豊騎手。3度目のコンビで同馬の持ち味を最大限に引き出してくれるはずだ。
神戸新聞杯で1番人気を裏切り、5着に敗れたハーツコンチェルト(牡3歳、美浦・武井亮厩舎)は、イン前有利の馬場で大外枠からの発走と不利な条件も響いた。内伸び馬場の中、直線で大外を回して勝ち馬と0秒1差なら負けて強しだったといえるだろう。
この他には、前走・札幌記念(G2)で4角先頭の積極策を見せ、プログノーシスの2着に粘走したトップナイフ(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)、前走・新潟記念(G3)で古馬を蹴散らし、重賞初Vを飾ったノッキングポイント(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)、単騎逃げが濃厚のリビアングラス(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)など伏兵陣も多士済々だ。
3年ぶりの京都開催となる菊花賞はソールオリエンスとタスティエーラの2強で決まるのか、それとも競馬界の格言の一つ「2強は両雄並び立たず」となるのか。菊花賞は22日、15時40分に発走を予定している。
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