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M.デムーロ「それで終わりでした」スタート直後に終戦した5年前の秋…悲劇の再現を克服した「息子」がダービー路線に急浮上!

M.デムーロ「それで終わりでした」スタート直後に終戦した5年前の秋…悲劇の再現を克服した「息子」がダービー路線に急浮上!の画像1
M.デムーロ騎手 撮影:Ruriko.I

「スタートでぶつかって、それで終わりでした」

 今から5年前の2018年に行われた天皇賞・秋(G1)。前年のダービー馬レイデオロやマカヒキなど並み居る強豪を抑えて、1番人気の評価を受けたのがスワーヴリチャードだ。

 惜しくもクラシックのタイトルに手が届かなかった同馬だが、4歳になると大阪杯で待望のG1初制覇。初のマイル戦だった安田記念(G1)でも僅差の3着に好走した。秋の天皇賞では現役最強クラスの走りで、2つ目のG1タイトル奪取が大いに期待されていた。

 しかしスタート直後、隣の武豊騎手とマカヒキに馬体が接触するまさかの不利……。1番人気の出遅れにスタンドからも悲鳴のようなものが上がるとともに、スワーヴリチャードは最後方からのレースを余儀なくされてしまう。

 後ろから2番手で最後の直線を迎えると、同馬は鞍上のM.デムーロ騎手のステッキにまったくといっていいほど反応することなく10着。冒頭のデムーロ騎手のコメントは、このレースのすべてが集約されていると言っても過言ではなかった。

 ただ、天皇賞・秋ではキャリア初となる二桁着順に沈んだスワーヴリチャードだが、翌年はジャパンC(G1)を優勝。2つのG1タイトルを引っ提げてスタッド入りを果たした。現在は新種牡馬として2歳戦で大旋風を巻き起こしていることは周知の通りだ。

 あの天皇賞・秋から5年。同じ東京・芝2000mを舞台に争われた5日の百日草特別(1勝クラス)に、当時の父と同じ4枠の青い帽子で出走したのが、スワーヴリチャード産駒のアーバンシック(牡2歳、美浦・武井亮厩舎)である。

 初戦と同じく横山武史騎手を背に出走したアーバンシックは、スタートしてすぐ隣の馬に寄られる不利。まさに父の天皇賞・秋を再現するようなスタートとなり、レースでもシンガリ追走を余儀なくされることになる。

 ハナを奪ったマーゴットソラーレは、1000m通過60秒8というマイペースの逃げを展開。アーバンシックは最後の直線を向いたところで、後ろから2番手の位置。これも父の天皇賞・秋と同じだ。先頭とはかなりの差が開いていただけに、この時点では万事休すのようにも思われた。

 だが、アーバンシックがスワーヴリチャードと違ったのはここからだ。

 大外に持ち出されたアーバンシックは、大きなストライドで一完歩ごとに前との差を詰めていく。残り200mを切ってからも、1頭だけ次元が違うような伸び脚。ゴール前では逃げ切り濃厚かと思われたマーゴットソラーレを、クビ差で捕らえ切ってみせたのである。

「スタートではまさに5年前のスワーヴリチャードを再現するかのような不利を受け、直線を向いたところでも厳しい位置取りだっただけに、これは父と同じ悲劇が繰り返されたかと思いましたが、直線に入ってからの伸び脚は凄まじいものがありましたね。

マーゴットソラーレに騎乗していた田辺裕信騎手もレース後、『セーフティリードだと思ったのですが……』と、勝ち馬の末脚にまさに脱帽といったコメントを残していましたよ」(競馬誌ライター)

 致命的ともいえそうな不利を跳ね返し、これで2戦2勝としたアーバンシック。レース後の横山武騎手は「走りますけど、まだまだ粗削りな馬です」と、課題を挙げつつも能力を評価。管理する武井師は「賞金を加算できたのは大きい。ダービー向きだと思うので、そこに向かえれば」と早くも来春の大舞台を見据えた。

 5年前に父が苦杯をなめたコースで、同じような不利を受けながらも克服して勝ち切った息子アーバンシック。スワーヴリチャードが果たせなかったクラシック勝利を含め、これからの活躍に期待したい。

GJ 編集部

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