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【徹底考察】ヴィクトリアマイル(G1) ミッキークイーン&スマートレイアー「上位人気確実の2頭が抱える『意外』な不安点」

sumatoreia.jpgスマートレイアー(競馬つらつらより)

『考察』

 前走の阪神牝馬S(G2)で初めて顔を合わせたミッキークイーンとスマートレイアー。人気こそ前者に譲ったが、レースを勝利したのは後者だった。

 ゲートは、内からダンツキャンサーが抜群のスタートを決めたが、外からスマートレイアーが押してハナを奪っている。

 ちなみに追い込みから逃げという極端な変身を遂げたスマートレイアーだが、いきなりスタートが上手くなったわけではない。逆に述べると追い込みだった以前にしても、スタートで変に出遅れたりしていたのではなく、単に無理をしなかっただけ。言い換えると「意図的に後方から競馬していた」という言い方もできる。

 前半の3ハロンが「35.2秒」、1000mの通過が「58.9秒」。11秒台のラップが続くよどみのない流れだが、この時の阪神は時計が出やすい馬場だったので、特別に速いというわけではない。同日、同距離の3歳500万下でさえ1000mの通過が「59.1秒」で、逃げた馬が4着に粘っている。

 4コーナーを回る頃にはスマートレイアーが完全に先頭に出ていた一方で、ミッキークイーンは阪神外回りコースということもあって、じっくりと後方9番手。

 最後の直線に入り、スマートレイアーが早々と後続に2馬身のリードを付けた一方で、ミッキークイーンは外に出さず、中で馬群を割ろうとしていた。しかし、これがミッキークイーンにとって致命的な不利となる。前がなかなか開かず、進路を確保した時にはラスト200mを切っていた。

 最後の末脚は女王としてさすがの貫録を見せたミッキークイーンだったが、スムーズな競馬をしたスマートレイアーには一歩及ばず。スマートレイアーはこれで東京新聞杯(G3)に続く、逃げての重賞連勝となった。

【血統診断】

・ミッキークイーン
 母ミュージカルウェイはフランスで重賞を3勝し、香港カップでも3着した実力馬。母父となるゴールドアウェイは日本で馴染みのない種牡馬だが、ディープインパクト×ヌレイエフの血を持つ牝馬となれば、成功例は多数いる。中でも特筆したいのが、このヴィクトリマイルを連覇したヴィルシーナだ。同じディープインパクト産駒で母方にヌレイエフ、ミスプロ、ブラッシンググルームが入っている点はミッキークイーンと同じで、血統構成ではよく似ている。
そのヴィルシーナもヴィクトリマイル連覇だけでなくオークス2着、宝塚記念3着と幅広い距離適性を誇っていた。すでに前走である程度のマイル適性を示したミッキークイーンだが、高速馬場への対応を含め、ここでも血統的には舞台設定の心配は皆無だ。

・スマートレイアー
 昨年のエリザベス女王杯で上がり3ハロン最速を記録するなど、かつてはキレキレの追い込み馬だったが、今年になって逃げ馬として重賞連勝。このような華麗なる変身を遂げられたのも、母父ホワイトマズルの血の影響が大きいように感じる。

ホワイトマズル産駒は、天皇賞・春を大逃げで制したイングランディーレや、快速馬のシルポートがいるように「気分よく走った」際は、普段を大きく上回るポテンシャルを発揮する大駆けの血統。スワンSを勝ったビハインドザマスクなども、ハマった際の末脚はまさにG1級だった。本馬とよく似た例は、2002年のオークスを15番手から豪快に差し切ったスマイルトゥモローか。この馬もまた、晩年は逃げ馬として活躍した。
従って、ホワイトマズルの血の影響が大きいように感じる本馬も「逃げるなら逃げる、追い込むなら追い込む」と戦法をはっきり決めた方が好結果につながる可能性が高い。下手に出たなりで中途半端な競馬を試みると、思わぬ大敗があるかもしれない。

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