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2017.06.21 05:30
武豊復活の裏側に19年前の運命の「出会い」キズナにキタサンブラック……キャリア最大の逆境に2つの「幸福」を届けた偉大な胡蝶蘭
文=浅井宗次郎
それから14年後の2012年。武豊はかつて経験したことのない不振のど真ん中にいた。
2010年の3月に大きな落馬事故を起こして以来、ケガが完治せず、思うような騎乗ができない。これまで培ってきた自身の感覚と肉体のパフォーマンスが合致せず、勝ち星は伸び悩み、この年は年間56勝とキャリア最悪の結果となった。
だが、そんな中で運命的な出会いを果たしたのがファレノプシスの弟キズナだった。当初、キズナの鞍上にはお手馬の育成に定評のあり、調教師の佐々木晶三から絶大な信頼を得ている佐藤哲三がいた。
しかし、武豊とキズナ、両者の運命が大きく近づいたのは、キズナがデビューから2連勝を飾り「クラシック候補」といわれるようになって間もなくだった。キズナの主戦だった佐藤が落馬事故によって重傷を負い、キズナの鞍上が空白となったのだ。
ファレノプシスとキズナのオーナーである前田は迷わず武豊の名を挙げた。前田には「日本競馬の発展は日本のホースマンの成長と活躍があってこそ」という強い信念があり「競馬といえば武豊」と、これまでも低迷していた武豊を支え続けていたのだ。当然ながら、姉のファレノプシスの主戦を務めていたことも大きな後押しとなった。
逆にもし武豊がファレノプシスに騎乗していなければ、この出会いはなかっただろう。キズナは翌年の日本ダービーを制覇。勝利騎手インタビューの壇上で武豊が「僕は帰ってきました!」と思いの丈を語ったように、この勝利が「武豊復活」に向けての大きな狼煙となったのは間違いない。
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