
【朝日杯FS(G1)展望】「不運続き」英国の名手が良血シュトラウスと新コンビ! 復帰目指す武豊は6馬身差圧勝の「新キタサンブラック」と参戦予定

17日、阪神競馬場では2歳マイル王決定戦の朝日杯フューチュリティS(G1)が行われる。
2年前は1着ドウデュース、2着セリフォス、3着ダノンスコーピオンがそろって翌年にG1ウイナーに輝いた。今年もここをステップに出世を果たす馬は現れるか。早速展望していこう。
シュトラウス(牡2歳、美浦・武井亮厩舎)は、父モーリス×母ブルーメンブラットという生粋のマイラー血統の馬だ。
6月に東京・芝1600mのデビュー戦で逃げの手に出ると、不良馬場をものともせず、9馬身差で圧勝。その後は間隔を空けて10月のサウジアラビアロイヤルC(G3)で復帰すると、ボンドガールに次ぐ2番人気に支持された。
ところがスタートで遅れて中団からの競馬になると、4角で3番手まで押し上げたが、直線で伸びを欠き、最後方から極上の切れ味を見せたゴンバデカーブースに差し切られた。最後はボンドガールとの2着争いもクビ差で後れを取り、賞金加算にも失敗してしまった。
その後は東京スポーツ杯2歳S(G2)に出走。スタートを決めると、好位3番手を追走し、最後の直線で2番手から粘り込みを図るシュバルツクーゲルを交わして先頭でゴールしている。
これまでD.レーン騎手、C.ルメール騎手、J.モレイラ騎手と、名手3人が手綱を取っていたが、今回はT.マーカンド騎手と新コンビを結成。短期免許で来日中の同騎手は、ジャパンC(G1)で騎乗予定だったヴェラアズールの鞍上をR.ムーア騎手に譲り(負傷のためH.ドイル騎手が騎乗)、阪神ジュベナイルF(G1)は騎乗予定のボンドガールが回避するなど、G1での不運が続いている。今度こそ有力馬でのG1挑戦、そして日本G1初制覇を果たしたい。
ジャンタルマンタル(牡2歳、栗東・高野友和厩舎)は、10月の京都・芝1800mでデビュー。先行馬を見ながら好位を進むと、直線早めに抜け出して2着に2馬身半差をつける快勝を収めた。
2戦目は1ハロン距離を短縮してデイリー杯2歳S(G2)へ。初戦と同じくスッと好位を確保すると、インを追走。直線で内を突いて、逃げ馬を交わすと、後続の追撃をあっさりと退けている。
デビューから2戦続けて手綱を取った鮫島克駿騎手は「さらにG1の舞台でも戦えればと思います」と話していたが、今回は川田将雅騎手と新コンビを結成。3連勝での戴冠を狙う。
その川田騎手がデビューから2戦連続で手綱を取っていたのが、ダノンマッキンリー(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
22年の1歳セレクトセールで2億4200万円(税込)の高値で落札されたモーリスの産駒で、9月の阪神・芝1400mでデビュー。2番手から抜け出して完勝すると、続く秋明菊賞(2歳1勝クラス)は、出遅れたため中団やや後方からの競馬となったが、直線で鋭い切れ味を発揮して連勝を決めた。
無傷の2連勝中とはいえ、1400mしか経験がないのは不安材料の一つ。また、前走1勝クラスからの参戦は16年にサトノアレスが勝利しているが、17年以降は「0-0-0-18」と振るわない。今回は川田騎手がジャンタルマンタルに騎乗するため、C.ルメール騎手に乗り替わる。同騎手は朝日杯FS初制覇を狙う。
展開のカギを握るのは、デビューから3戦連続で逃げているセットアップ(牡2歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)だろう。
7月函館の初戦こそレガレイラの末脚に屈したが、その後は札幌で2連勝。前走・札幌2歳S(G3)は、かなり前が残りやすい特殊な馬場だったが、後続に4馬身差をつける快勝だった。
ダノンマッキンリーとは対照的に、本馬は1800mしか経験がなく、テンの3ハロンは36~37秒台での逃げ。今回は短距離戦で先行していた馬もそろっており、簡単にハナを奪うことは難しそうなだけに対応力が求められそうだ。
エコロヴァルツ(牡2歳、栗東・牧浦充徳厩舎)は、7月の福島で新馬勝ちし、2戦目のコスモス賞(OP)を6馬身差で圧勝した逸材だ。
ブラックタイドの産駒であることに加えて、その勝ちっぷりや、破った相手が次々と出世したことで、ファンの間では「第二のキタサンブラック」と話題にもなった。また、鞍上には前走で手綱を取った武豊騎手を予定。天皇賞・秋(G1)当日のケガで戦列を離れていたが、早ければ当週から待望の復帰を果たす予定だ。颯爽とG1制覇を飾ることができるか。
この他には、未勝利戦、ベゴニア賞(2歳1勝クラス)を連勝中のオーサムストローク(牡2歳、美浦・伊藤圭三厩舎)、デイリー杯2歳Sで2着したエンヤラヴフェイス(牡2歳、栗東・森田直行厩舎)、夏の小倉2歳S(G3)でワンツーを決めたアスクワンタイム(牡2歳、栗東・梅田智之厩舎)とミルテンベルク(牡2歳、栗東・武英智厩舎)など、多士済々なメンバーがそろった。
今年の朝日杯FSは、シュトラウス、ジャンタルマンタル、ダノンマッキンリーの3強という声も聞こえてくるが、キャリアの浅い2歳馬だけに、思わぬ伏兵の台頭も十分考えられるだろう。発走は、17日の15時40分を予定している。
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