最終戦も不戦敗…「不完全燃焼」続くM.デムーロは試練の2023年。天皇賞・秋のスターズオンアースなどG1で3度も出走取消、勝ち星も大幅ダウン
不完全燃焼の1年に終わったM.デムーロ騎手
28日に行われた今年最後のJRA・G1ホープフルSは、C.ルメール騎手の紅一点レガレイラが勝利して幕を閉じた。
イクイノックスの主戦として知られる同騎手だが、今年のJRA・G1はイクイノックスとの3勝に加えて、ジャスティンパレスの天皇賞・春、ドゥレッツァの菊花賞、ブレイディヴェーグのエリザベス女王杯、そしてこのホープフルSと年間7勝の充実ぶり。ルメール騎手にとって日本に移籍した2015年から9シーズン目となったが、今や名実ともにNo.1ジョッキーの座に君臨している。
その一方で、同じくJRA所属9シーズン目を送ったM.デムーロ騎手は、サンライズアースに騎乗予定だったもののレース前日に出走取消……。何かと不完全燃焼な形で2023年のJRA・G1を締め括ることになってしまった。
デムーロ騎手は今春のNHKマイル(G1)でも騎乗馬のクルゼイロドスルが出走取消になり、秋にも天皇賞・秋(G1)でスターズオンアースが回避。ジョッキーに落ち度はまったくないものの、1年で3度もG1の大舞台で出走取消となるのは珍しいケースだ。
デムーロ騎手は、2021年の阪神ジュベナイルF(G1)以来、G1タイトルとは縁がない。その阪神JFを制したサークルオブライフは、3歳時に発症した屈腱炎が癒えず、今年10月に現役を引退。『日刊スポーツ』で連載している自身のコラムでは「また彼女と一緒にG1を勝ちたかった」と、全8戦でコンビを組んだ愛馬との別れを惜しんでいる様子だった。
さらに今年最後の騎乗となったファイナルS(3勝クラス)では、1番人気のクルゼイロドスルに騎乗するも、最後に交わされてクビ差の2着。NHKマイルCの出走取消以来のコンビ結成となったが、この1年を象徴するような惜しい競馬だった。
「あと一歩の競馬でしたね。本人もレース後に『もう少しハナに立つまでが楽ならよかったんだけど……』と序盤の主導権争いによるロスを悔やんでいる様子でした。ただ、このレースに限らず、今年はデムーロ騎手にとって何かと嚙み合わない1年だったように思います。
今年を象徴しているのが、JRA移籍後ではキャリアワーストに終わった勝ち星。昨年の72勝から44勝と大きく落ち込みました。馬質低下の影響もあると思いますが、それ以上に不調を感じたのは(1着から順に)【44-51-58-58】という成績。JRA通算で【1275-1008-876-696】と抜群の勝負強さを誇ってきたデムーロ騎手らしくない結果だけに少し心配ですね」(競馬記者)
来年の巻き返しへ「パートナー候補」は?
ただ、記者曰く来年はデムーロ騎手にとって「巻き返しのシーズンになるかもしれない」とのこと。反撃の狼煙となりそうなのが、ダート界の若き新星セラフィックコール(牡3歳、栗東・寺島良厩舎)の存在だ。
同馬はデビューから破竹の5連勝で11月のみやこS(G3)を制覇。すべて上がり最速を記録する楽勝だったこともあって、今月のチャンピオンズC(G1)でも2番人気に推された。
結果はキャリアの浅さを露呈するような10着に終わったが、初めて一線級に揉まれた経験は来年に生きるはず。2024年最初のJRA・G1フェブラリーSや、サウジC(G1)など大きな夢を描ける期待馬だ。
また、来年3月の高松宮記念(G1)がラストランになるディヴィーナ(牝5歳、栗東・友道康夫厩舎)も楽しみな存在だ。同馬にとって初の1200m戦だが、舞台の中京では7戦4勝、中京記念(G3)を含む2着2回と好成績。得意なコースで有終の美を飾れるか。
他にも17日の朝日杯フューチュリティS(G1)で騎乗したジューンテイク(牡2歳、栗東・武英智厩舎)は人気薄ながら4着と好走。20日の兵庫ゴールドトロフィー(G3)を制したサンライズホーク(セ4歳、栗東・牧浦充徳厩舎)もいる。
今年は残念な結果に終わったデムーロ騎手だが、最近はスターズオンアースに騎乗予定だったことも含めて、有力なパートナーが集まりつつある。2024年は巻き返しのシーズンとなるか、ぜひG1を勝利して喜びの声を聞かせてほしい。
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