
【安田記念(G1)展望】G1・7勝ロマンチックウォリアー「来日」で異例の盛り上がり!? もう1頭の「刺客」も魅力十分、G1馬4頭含む日本馬と激突

今年の安田記念(G1)は香港馬2頭が参戦予定
激闘のダービーが終わり、来週末には早くも来年のダービーに向けて2歳戦が始まる。そんな競馬界の“新年度”最初に行われるG1が春のマイル王を決める安田記念(G1)だ。
フルゲートと同じ18頭が登録した今年は、香港から2頭の参戦もあって近年稀に見る盛り上がりを見せている。
今年の安田記念で堂々の主役を張るのは、香港馬2頭のうちの1頭、ロマンチックウォリアー(セ6歳、香港・C.シャム厩舎)だ。
通算19戦14勝2着3回の好成績を誇るロマンチックウォリアーがこれまで獲得したG1タイトルは計7つ。香港最強馬の異名で呼ばれることもあるが、7勝中6勝を2000mで挙げている中距離馬でもある。
マイル経験は2回しかなく、1勝2着1回。ただデビュー当初は1200~1600mのレースで5連勝したように軽快なスピードも持ち合わせている。
前走のクイーンエリザベス2世C(G1)はプログノーシスら3頭の日本馬を一蹴。中団追走から勝負所で置かれそうになる場面もあったが、直線を向いてから持ち前の勝負根性を発揮し、ゴール前で粘るプログノーシスを競り落とした。
2ハロン短くなる距離への対応に加え、左回りに替わる点も不安材料として挙げられる。ただ、左回りは昨年10月のコックスプレート(G1)で経験し、すでに克服済み。ハナ差の勝利だったが、コーナリングも難なくこなしていた。
あっさりと戴冠を遂げる実力の持ち主なのは間違いないが、日本の高速馬場に全く対応できないという可能性も少なからずある。いずれにしてもその走りに世界から注目が集まりそうだ。
この距離ならもう1頭の香港馬ヴォイッジバブル(セ6歳、香港・P.イウ厩舎)にも勝機が生まれる。
重賞勝利は今年1月の香港スチュワーズC(G1)のみと、実績的には劣るが、昨秋の香港マイル(G1)でゴールデンシックスティの2着に好走。同レースで、ソウルラッシュやナミュールに先着していた事実は見逃せない。
1600mの持ち時計もロマンチックウォリアーを上回っており、高速馬場に適応できれば上位進出があってもおかしくはない。

対する日本馬は4頭のG1馬が出走を予定しているが、G1未勝利のソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)の充実度が光る。
これまでマイル重賞を3勝している実力馬のソウルラッシュ。ただ、これまで挑戦した5回のG1レースでは、ことごとく他馬の後塵を拝してきた。
昨秋のマイルCS(G1)で惜しい2着に入るなど、G1級の力を秘めているのは間違いないが、過去2回の安田記念は13着、9着と大敗している点はやや気掛かり。それでも2年前の富士S(G2)で2着しているように東京競馬場が全くダメというわけではない。
今年は前哨戦のマイラーズC(G2)で急きょ手綱を取った団野大成騎手に導かれ、G1馬セリフォスを圧倒。今回は過去2回コンビを組んでいるJ.モレイラ騎手に乗り替わって確勝を期す。

マイラーズCでソウルラッシュに完敗を喫したセリフォス(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)は、叩き2戦目で巻き返しを期す。
3歳時にマイルCSを完勝し、国内のマイル界をけん引することが期待されたセリフォス。しかし、古馬になって以降はまさかの未勝利である。昨年は初戦のドバイターフ(G1)で5着に敗れると、安田記念こそ2着に好走したが、マイルCSで8着、香港マイルでも7着と消化不良の戦いが続いた。
今年は始動戦のマイラーズCでソウルラッシュに1馬身3/4差をつけられたが、鞍上の川田将雅騎手が「今のこの具合で、よくここまで走れた」と話したように、体調もいまひとつだったようだ。
また前走はソウルラッシュより斤量が1kg重く、同斤量になる今回は逆転も視野に入ってくるだろう。引き続き川田騎手を背に2つ目のG1タイトル獲得を狙う。

昨年のマイルCS覇者ナミュール(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)も汚名返上を期す1頭。
武豊騎手との初コンビで2番人気に推された前走ヴィクトリアマイル(G1)は、出遅れた上に直線でも末脚が不発。人気を大きく下回る8着に敗れた。
ただ嵌った時に見せる鋭い切れ味は誰もが知るところ。コンビ継続が決まった武騎手もリベンジに燃えないはずがない。
そのヴィクトリアマイルを制したテンハッピーローズは不在だが、同レース2着だったフィアスプライド(牝6歳、美浦・国枝栄厩舎)は中2週で出走を予定している。
前走は道中3番手の好位から運んだが、自在性を持ち合わせており、後方からの競馬も可能。どんなペースになっても対応してくるだろう。今回はC.ルメール騎手から坂井瑠星騎手に乗り替わってG1初制覇を目指す。
そのルメール騎手が手綱を取るのは、同じ国枝厩舎のパラレルヴィジョン(牡5歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。
2年前の神戸新聞杯(G2)ではキャリア2戦2勝で臨み1番人気に推された逸材でもある。同レースで7着に敗れると、その後も準オープンで勝ち切れずにいたが、昨秋に初ダートの3勝クラスを勝利。すると、霜月S(OP)12着を挟み、芝に戻ったニューイヤーS(L)とダービー卿チャレンジT(G3)を連勝中と勢いはある。
充実一途の今なら、名手ルメール騎手が持ち味の先行力を生かして粘り込むシーンがあるかもしれない。
この他には、昨年の4着馬で前走フェブラリーS(G1)で2着に好走したガイアフォース(牡5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)、22年の皐月賞馬ジオグリフ(牡5歳、美浦・木村哲也厩舎)、前走の京王杯スプリングC(G2)で復調の兆しを見せた22年のNHKマイルC(G1)覇者ダノンスコーピオン(牡5歳、栗東・福永祐一厩舎)など、伏兵陣も大駆けの魅力を十分に秘めている。
香港馬2頭の参戦で注目度が高まっている今年の安田記念。発走は6月2日、15時40分を予定している。
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