JRA横山典弘「再登板」もファンの胸中は複雑!?ソダシでも主戦騎手が降板の過去…「騎乗批判疑惑」で物議醸したコンビが復活
競馬界のレジェンド武豊騎手に並ぶ天才と呼ばれることもある横山典弘騎手。あるときはライバルを翻弄する大逃げ、そしてまたあるときは1頭ポツンと馬群の後方から進める破天荒な騎乗を披露することもある。
我々凡人には理解できないかもしれないが、馬と会話ができるとさえ噂される現役屈指の名手は、誰よりも馬の気分と状態が最優先。常識破りに映る騎乗でも関東の大ベテランは、競馬に対して実直だ。
レース後のコメントを出さないことも珍しくないため、ときに一部のファンから誤解されることもあるが、レースに横山典騎手が騎乗するだけで何かをやってくれそうな期待感はある。
破天荒なレジェンドが得意舞台でG1獲りに挑む
かつて本人も「自分の騎乗を見てくれている人たちは、俺の良さも悪さも分かっている。それで納得する人もいれば納得しない人もいるだろう」と述べたように、ブレない姿勢もまた魅力。それこそ昔から横山典弘という騎手を見てきたファンにとっては、何をいまさらといった感じだろう。
そんな武豊と双璧をなすレジェンドが、次走に安田記念(G1)の出走を予定しているステラヴェローチェに騎乗すると報じられたのだから、横山典ファンがざわついたのも無理はない。
また、ステラヴェローチェ(牡6、栗東・須貝尚介厩舎)といえば、デビュー2戦目に横山典騎手とコンビを結成し、サウジアラビアロイヤルC(G3)を優勝。2番人気に支持された3戦目の朝日杯フューチュリティS(G1)で2着に敗れ、4戦目の共同通信杯(G3)を1番人気で5着に敗れた元パートナーである。
この敗戦をきっかけに吉田隼人騎手へ乗り替わり、3歳時のクラシックでも皐月賞(G1)3着、日本ダービー(G1)3着、菊花賞(G1)4着と皆勤。世代トップクラスの実力馬として名を馳せた。
ただ、菊花賞後に今度は吉田隼騎手からM.デムーロ騎手へと乗り替わり、2022年のドバイシーマクラシック(G1)9着を最後に長期休養に入った。英気を養っている間にこれといった情報が表に出なかったこともあり、一時は行方不明とさえ言われたものの、昨年10月の富士S(G2)で戦列に復帰。3月の大阪城S(L)で約2年半ぶりとなる勝利の美酒に酔った。
レース前の追い切りで抜群の動きを披露した前走の大阪杯(G1)でも伏兵の1頭として注目を集めたが7番人気で4着ともう一歩。レース展開を考えれば、乗り方次第で戴冠のチャンスもあったように映った。
近2走は酒井学騎手が手綱を任されていたが、実績で上回る横山典騎手への乗り替わりは、おそらく“鞍上強化”の意味合いも含まれているかもしれない。
調教師の心替わりは気になるも期待は大きい
ただひとつ気になることがあるとしたら、ステラヴェローチェを管理する須貝調教師の心変わりだ。
「サウジアラビアRCのときに『ジョッキーがうまく乗ってくれた』と称賛した須貝師でしたが朝日杯FS、共同通信杯の敗戦には思うところがあったようです。レース後に『いろいろな要素があったと思う。馬の状態は良かったが……』という意味深なコメントを残していました。
その後、皐月賞に吉田隼騎手で挑むと発表があり、ネットの掲示板やSNSなどで前走のコメントは横山典騎手の騎乗に納得がいかなかったからではないかという疑惑の声も出ました。こちらについては吉田隼騎手が菊花賞後に乗り替わったことや、ソダシの降板も含めて受け入れたくなかったファン心理もあったのでしょう」(競馬記者)
そして今回は降板が告げられた酒井騎手に替わって依頼した相手が、過去に降ろされた経緯のある横山典騎手。両者の過去を知るファンとしては胸中複雑といったところか。
とはいえ、こうしてG1の舞台で勝ち負けが期待される有力馬の鞍上に横山典騎手が決まったことは何よりの朗報であることも確か。これまでG1・7勝を挙げている東京のマイル戦だけに、最も頼りになる騎手が戻ってきたのは心強い。
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