8番人気と9番人気で連日の重賞V決めた安田翔伍調教師!デビュー7年目の若手トレーナーが父の忘れ物をゲット…横山典弘、和生親子とチーム一丸の快挙

5月最後の開催となった先週末。土曜京都で葵S(G3)、日曜東京は日本ダービー(G1)と目黒記念(G2)と計3つの重賞が行われた。
目立ったのは、ダービーを9番人気ダノンデサイル、葵Sを8番人気ピューロマジックで制した安田翔伍厩舎の手腕だ。どちらも下馬評こそ高くなかったものの、厩舎力の際立つ連日の重賞制覇だった。
まず土曜の葵Sだが、下馬評は桜花賞(G1)で見せ場十分の5着に好走していたエトヴプレの一強ムード。しかし、スタート一息で好位での競馬が出来なかった相手を尻目に抜群のスタートを決めたのがピューロマジック(牝3歳、栗東・安田翔伍厩舎)。前半3ハロンを33秒2の快速で飛ばし、そのままゴールまで後続を寄せ付けずに勝利した。
また、2~3着にも2番手のペアポルックス、3番手のナナオが粘り込み、終わってみれば行ったままの決着。勝ちタイムも1分7秒1と去年のモズメイメイがマークしたレコードタイの好時計では、後ろの馬に出番がなかったのも頷ける。迷わずハナを取り切った鞍上・横山和生騎手の好判断も功を奏した。
安田翔伍調教師が父の忘れ物をゲット…

日曜東京のメインレース、日本ダービーでも僚馬のダノンデサイル(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎)が無敗二冠を目論んだジャスティンミラノの野望を打ち砕いて優勝した。
大本命に推されたライバルが外枠を引いたこともあったが、上がり3ハロンのタイムで0秒4上回った上の2馬身差の完勝。内枠のダノンデサイルと逆だったとしても逆転は難しかったようにも映った。見事な騎乗でパートナーをエスコートした横山典弘騎手が最年長JRA・G1制覇の偉業を達成したのに対し、安田調教師は史上最年少でダービートレーナーに輝くWの快挙となった。
かつてトウカイテイオーとのコンビで1991年の日本ダービーを優勝した父・安田隆行元調教師は、ダービージョッキーの栄誉は手に入れたが、ダービートレーナーとなる夢は叶わなかった。父の忘れ物を息子がこの若さで手に入れ、親子でダービー制覇という感動的なシーンでもあった。
ただ、こういった勝利を自らの手腕で導いたことも素晴らしい。気性的な問題もあったため、葵Sのピューロマジックは当初、今後のことを考えて折り合い重視の競馬をするプランもあった。結果的に逃げることになったのは、安田師がゲート裏で馬の様子を確認した際に行かせた方が能力を発揮できそうと判断したからだという。
そして大きな注目を集めた日本ダービーは、皐月賞(G1)を跛行で競走除外になったダノンデサイルを立て直しての勝利。これには安田師も「皐月賞除外の後は、正直、立て直すのはしんどかったです」「メンタル面もケアしつつダービーにピークを合わせる調整をすることは困難を極めた」と振り返っていたように、心身ともに慎重を期す必要があったはずだ。
安田師が全幅の信頼を寄せる横山典騎手も「皐月賞での自分の決断が間違っていなかった」「馬に真摯に向き合ったことが結果に結びついてくれた」「馬は大事にしていれば応えてくれる」とチーム安田翔伍の一員として喜んだ。前走除外の馬が芝G1を勝利したのは前例がなかった(※1986年以降)。
このようなエピソードもそうだが、厩舎力のもたらした栄冠といえるだろう。父は短距離王国を築いたが、偉大なDNAを受け継ぐ二世調教師の可能性はいかなるものか。既に着々と将来の名伯楽候補として存在感を見せ始めた。
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