【北九州記念】調教助手が「ダービートレーナー」に追い切り指示!? 「戦闘モード回避」で厩舎の努力は実を結ぶか
元JRA騎手の安藤勝己氏も高評価のピューロマジック
「スタート抜群に速くて、あの枠からフロックじゃできない逃げ切り」
先月25日、日本ダービー(G1)の前日に行われた葵S(G3)を制したピューロマジック(牝3歳、栗東・安田翔伍厩舎)の走りをそう評価したのは、元JRA騎手の安藤勝己氏だ。
自身のXで安藤氏が指摘したように、ピューロマジックは17番枠からロケットスタートを決めると、ハナを切って後続に影も踏ませぬ逃げ切りV。2着のペアポルックスに1馬身1/4差をつける完勝だった。
葵Sで重賞初勝利を挙げたピューロマジックは今回、古馬との初対戦を迎えるが、デビューから順風満帆だったわけではない。昨年6月の新馬戦(東京ダート1400m)では、2番人気に推されたものの、砂をかぶって全くレースにならず。勝ったアマンテビアンコから5秒8差のシンガリに敗れていた。
その後は芝で変わり身を見せると、3戦目から前走まで6戦連続ハナを切って成績も安定。逃げて唯一連対を外したのが1400mのファンタジーS(G3)8着で、あとは1200mで5戦5連対と底を見せていない。
ただ、陣営が常々口にしているように、ピューロマジックはとにかく頑固で、気難しさのある馬。なかなか素直に言うことを聞いてくれないところがあったが、調教では徐々に“行儀良く”なってきているという。
それを自ら跨って体感したのが管理する安田調教師だ。
安田師といえば、1か月前に41歳の若さでダービートレーナーになったばかり。3月に父・安田隆行厩舎から転厩してきたピューロマジックに「(北九州記念の)1週前の追い切りで、初めて乗りました」という。
「馬の後ろで上手に折り合いもついて、合図を出してからもムキになりすぎず、上手に加速できていました」と順調に追い切りを消化できた様子。
「いい調教ができたつもりでいます。あとは、行儀良くゲートインを迎えてくれることを願っています」というコメントからも、発走までに気難しい面が出なければ、いい勝負ができそうな雰囲気が漂っている。
調教助手が「ダービートレーナー」に追い切り指示!?
実は、1週前に安田師自らが追い切りに跨ったが、それを指示したのが師の兄でもある安田景一朗調教助手だったようだ。
「自分が調教に乗った理由は兄に言われたからです」と苦笑いを浮かべた安田師は「負荷をかけつつ、より馬にレースだと気づかせないような調教をしたいということで、自分が乗ることになりました」とその意図を明かしている。
「お兄さんの景一朗調教助手に言われたからというのは、いかにも安田師らしいコメントですね(笑)。本当のところは、兄弟間で綿密にコミュニケーションを取りながらの調整だったことがうかがえます。
今回は初の古馬相手、しかもテイエムスパーダやジャスパークローネなど同型馬もそろっており、簡単には自分の競馬をさせてもらえないでしょう。ただ行き切ることができれば、53kgの斤量も生かせるはず。あとは落ち着いた状態でゲートに入ってくれるかどうかでしょう」(競馬記者)
まさかのシンガリ負けから始まったピューロマジックのキャリア。あれから1年がたち、重賞2連勝を狙えるところまで成長した。“短距離王国”を築いた父から受け継いだ快速馬が秋のスプリントG1へ名乗りを上げられるか。北九州記念での走りに要注目だ。
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