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【インターナショナルS(G1)】C.ルメールの「日本流」に期待! 「日本で騎乗して…」O.ペリエが欧州を驚かせた凱旋門賞圧勝劇から28年

ドゥレッツァ
ドゥレッツァ 撮影:Ruriko.I

欧州を驚かせたペリエ騎手の日本仕込みの神騎乗

 今年4月、日本の競馬ファンにも馴染み深いフランス人ジョッキー・O.ペリエ騎手が現役引退を発表した。

 武豊騎手と親交が深いことで有名で、武豊騎手が欧州に遠征する際、そしてペリエ騎手が短期免許などで来日した際にはお互いにサポートし合う間柄だったという。日本の競馬ファンの記憶に残っているのは、シンボリクリスエスによる有馬記念(G1)連覇や、ゼンノロブロイとの秋古馬三冠ではないだろうか。

 筆者が個人的に印象に乗っているのは、1996年の凱旋門賞(G1)だ。

 この年のフランスダービー(G1)で5着に敗れてからサンクルー大賞(G1)、ニエル賞(G2)を連勝していたエリシオだったが、この欧州最高峰の舞台にはキングジョージ6世&QES(G1)の覇者ペンタイア、2着馬のクラシッククリシェ、英ダービー馬のシャーミット、愛ダービー馬のザグレブ、前年の凱旋門賞3着馬スウェインなど、錚々たるメンバーが集結。ハイレベルな混戦模様を呈していた。

 しかし、エリシオはこのレースを5馬身差で勝利している。

 この歴史的な圧勝劇の要因はエリシオの図抜けた能力の高さも然ることながら、ペリエ騎手の「戦法」によるところが大きい。なんと、序盤からハナに立つ競馬を試みたのだ。

 古くはサイレンススズカ、最近ではパンサラッサと数多くの逃げ馬のスターを輩出している日本競馬のファンにとっては「なんだ、逃げただけか」と思われるかもしれない。だが、日本競馬にはないペースメーカーを日常的に出走させる欧州の競馬にとって逃げ馬とは、基本的に序盤から先頭に立ってレースの流れを作ることを主な役割とする「ノーチャンスの存在」として認識されていた。

 だからこそ、エリシオほどの有力馬が序盤からハナに立ってペースを作ることは、欧州競馬にとってはまさに奇襲だった。ライバルたちが「一体、どうした?」と思っている間に、あれよあれよと逃げ切ってしまったというわけだ。

 レース後、これが自身初の凱旋門賞制覇となったペリエ騎手は「日本で騎乗していなかったら、このような大胆な戦法をとることはできなかった」と凱旋門賞史に残る奇策についてコメント。「逃げ」が有効な作戦として確立されている日本競馬での経験を欧州に持ち込んだことが、大きな勝因の1つだった。

ルメール騎手も日本競馬で”異文化”を学んだ

 ペリエ騎手とエリシオによる凱旋門賞制覇から20年。『Why Japanese people!?(何故なんだ!? 日本人!)』と両手を広げるジョッキーが日本にいた。当時、一世を風靡したお笑い芸人・厚切りジェイソンならぬ、“厚切りルメール”である。

 ペリエ騎手の後輩にあたるC.ルメール騎手は当時、JRA移籍が決まったばかり。すでに実績十分だったが、日本では新人扱いとして新年会の余興を行ったというわけだ。

「突然、大外からビューン!ってまくっていってハナに立つ」

 ルメール騎手が「Why!?」と指摘したのは、後方から加速して早めに先頭に立つ「まくり戦法」である。こちらも日本では当たり前でも、欧州競馬ではなかなかお目に掛かれない作戦だったのだ。

 その後、翌年の日本ダービー(G1)をレイデオロとの奇襲で勝利するなど、このまくり戦法をしっかりと自分のものにしたルメール騎手は、21日にドゥレッツァとのコンビで英国のインターナショナルS(G1)に挑む。

 今年の英ダービー馬シティオブトロイを筆頭に、欧州を代表する強豪が揃ったインターナショナルSだが、ドゥレッツァといえば変幻自在の競馬で昨年の菊花賞(G1)を勝利したことが記憶に新しい。

 果たして、ルメール騎手は欧州の強豪を相手にどんな競馬を見せてくれるのか。日本で培った経験を発揮することができれば、番狂わせのチャンスは巡ってくるはずだ。

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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