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オーギュストロダン回避で「逆輸入対決」は実現せず…武豊、坂井瑠星に注目集まる凱旋門賞

坂井瑠星騎手 撮影:Ruriko.I
坂井瑠星騎手 撮影:Ruriko.I

 今週末は日本時間6日夜にフランスのパリロンシャン競馬場で凱旋門賞(G1)が行われる。国内におけるJRA・G1の開催はないが、2日にはジャパンダートクラシック(G1)もあり、競馬ファンにとって楽しみの多い1週間となった。

 今年の凱旋門賞は、日本からシンエンペラーと坂井瑠星騎手のコンビが挑戦。今回で11度目の参戦となる武豊騎手もアルリファーに騎乗を予定している。飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するホープと日本を代表するレジェンドの対決にも注目だ。

オーギュストロダン回避で「逆輸入対決」は実現せず

 その一方で、凱旋門賞に登録していたオーギュストロダンは回避を発表。陣営の話によると、どうやらジャパンC(G1、11月24日・東京)がラストランの舞台となるようだ。周知の通り、本馬はディープインパクトのラストクロップの代表馬であり、欧米のG1で6勝を挙げた世界トップクラスの1頭。回避の理由も「ディープインパクト産駒で硬い馬場の方が合っている」からというのは非常に興味深い。

 確かにスピードの出やすい堅くて軽い馬場は日本競馬の大きな特徴だ。近年のジャパンCに外国馬の参戦が減った理由のひとつともされており、欧州に遠征した日本馬が柔らかくて重いアウェーの馬場に実力を発揮できずに凡走するケースも目立つ。むしろアイルランドで生まれ、育成や調教も欧州スタイルでG1馬となったオーギュストロダンが異色の存在なのかもしれない。

 そしてこれは、日本から遠征するシンエンペラーも同様だ。フランスで生を受けた本馬は、日本の矢作芳人調教師に預けられ、『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)で有名な藤田晋オーナーの所有馬。しかも2020年の凱旋門賞を優勝したソットサスの全弟という生粋の欧州血統である。フランスのセールで落札した矢作師も当然ながら凱旋門賞を意識したはずだ。

 前哨戦となった愛チャンピオンS(G1)でも、坂井騎手が直線でスムーズさを欠く残念な結果に終わったとはいえ、初の海外遠征と欧州競馬に対応して3着。予想を上回る善戦に欧州の関係者も驚いたに違いない。日本育ちとはいえ、すんなり適応したのは、血のなせる業ともいえそうだ。

 この「逆輸入」といえる両馬の直接対決が実現しなかったことは残念だが、欧州で育ったディープインパクト産駒が硬い馬場を求めてジャパンC、日本で育った凱旋門賞馬の全弟が重い馬場を求めて欧州に遠征するというだけでも、なんとなくニヤニヤしてしまう日本のファンもいるのではないか。

 もしオーギュストロダンが日本、シンエンペラーが欧州で走っていたなら、どのような成績を残していたのかは気になるものの、いずれも勝ち負けを期待される馬として大舞台でその姿を見られるのは喜ばしいことである。

 ただ、凱旋門賞でやっぱり期待したくなるのは武豊騎手。凱旋門賞制覇が夢と公言するレジェンドがいたからこそ、このレースが “日本競馬のラスボス”的な扱いをされるようになったといっても過言ではない。坂井騎手とシンエンペラーの応援をしつつも、武豊騎手の悲願成就を見たいファンも少なくないはず。

 ちなみに海外ブックメーカー『ウィリアムヒル』の設定したオッズによると、2日現在で上位人気馬のオッズは以下の通り。

ルックドゥヴェガ 5.5倍
ソジー 5.5倍
シンエンペラー 6.5倍
ロスアンゼルス 6.5倍
デリウス 11.0倍
アルリファー 11.0倍

 人気ではG1未勝利のシンエンペラーが上回っているが、アルリファーはすでにG1を2勝。エクリプスS(G1)で4.5キロ軽い56.5キロのシティオブトロイに対し、61キロで1馬身差の接戦を演じ、前走のベルリン大賞(G1)を5馬身差の大楽勝だった。例年以上に混戦模様の今年なら勝算は十分にありそうだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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