
夏の上がり馬「大苦戦」で菊花賞(G1)へ暗雲? 神戸新聞杯(G2)1番人気メリオーレムは5着

22日、中京競馬場で行われた菊花賞トライアル・神戸新聞杯(G2、芝2200m)は、2番人気のメイショウタバル(牡3歳、栗東・石橋守厩舎)が勝利。世代屈指の逃げ馬が毎日杯(G3)に続く重賞2勝目を手にした。
この馬らしい外連味のない逃げっぷりだった。サブマリーナが取消となって14頭立てで行われたレースは、大外枠からのスタートしたメイショウタバルが敢然とハナへ。後続を引き離す一人旅で自分の形に持ち込むと、最後まで粘り切って見せた。
「この馬らしいレースができましたね。春の皐月賞(G1)でも4番人気に支持されていた通り、元々能力は世代屈指の存在。ただ、その皐月賞では1000m通過が57.5秒とやや暴走気味になってしまい17着に大敗しています。
浜中俊騎手も当然、その辺りは把握しており『無理に手綱を押していかず、馬の気分に任せて1コーナーを迎えたいと思っていた』と序盤の組み立てに細心の注意を払ったことが、今回の大きな勝因の1つだと思います。最後の粘りもさすがでしたし、折り合い面で春からの成長を示せた点は今後にとっても大きいと思います」(競馬記者)
また、2着には京都新聞杯(G2)の勝ち馬ジューンテイク、3着にも青葉賞(G2)の2着馬ショウナンラプンタが入線し、2→3→4番人気で決着。春の実績馬がしっかりと力を示した格好だ。
その一方で、1番人気に支持されたメリオーレム(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)にとってはホロ苦いレースになったしまった。
春にプリンシパルS(L)で2着するなど高い素質を見せていたメリオーレムだが、強豪を押し退けて1番人気に支持されたのは、やはり前走の西部スポニチ賞(2勝クラス)の4馬身圧勝が評価されてのことだろう。
そういった意味ではメリオーレムも夏の上がり馬の1頭として勢力図の書き換えを期待される存在だったが、レースでは中団から足を伸ばしたものの5着まで。キャリア初の馬券圏外に終わってしまった。
だが、春の実績馬の壁に跳ね返されたのはメリオーレムだけではない。何故なら、この神戸新聞杯の前週に行われたもう1つの菊花賞トライアル・セントライト記念(G2)も同じような結果に終わったからだ。
2→1→3番人気と神戸新聞杯と同じく非常に堅い決着で終わった今年のセントライト記念。それだけでなく、勝ったのは京成杯(G3)2着馬で皐月賞でも4着に善戦したアーバンシック、2着も弥生賞ディープインパクト記念(G2)の勝ち馬で皐月賞でも2着だったコスモキュランダ、3着も朝日杯フューチュリティS(G1)2着馬のエコロヴァルツと、いずれも実績馬が夏の上がり馬の挑戦を跳ね返している。
「例えば昨年のセントライト記念でレーベンスティールが皐月賞馬のソールオリエンスを破って重賞初制覇を飾ったり、一昨年の神戸新聞杯の3着馬ボルドグフーシュが菊花賞でも2着に好走したりと、毎年この時期は夏の上がり馬の台頭に注目が集まりますが、今年はやや大人しい結果になってしまいました。
もっと言えば、神戸新聞杯とセントライト記念で優先出走権を手に入れた6頭は春の実績馬というだけでなく、レース前から賞金的に菊花賞出走がほぼ安泰だったグループ。当然、本番に向けて大なり小なりの“お釣り”を残しているはずです。昨年は夏の上がり馬ドゥレッツァが一気に世代の頂点まで駆け上がった菊花賞ですが、今年は春の実績馬が順当に上位を占めることになるのかもしれませんね」(同)
無論、菊花賞で上位人気が予想されるヘデントールや、信夫山特別(2勝クラス)を5馬身差で圧勝プレリュードシチー、柴田善臣騎手とのコンビが注目のピースワンデュックなど、期待の夏の上がり馬はまだ残っている。
また、この神戸新聞杯で1番人気だったメリオーレムも川田将雅騎手が「馬場の得意、不得意が大きく出た」と馬場に敗因を求めており、距離が延びる本番に出走できれば逆転の目はあるはずだ。
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