武豊「これが本来のドウデュース」最強ライバル凌いだ32秒5!ディープインパクト、イクイノックスも未踏の快挙に挑戦権ゲット
27日、東京競馬場で行われた天皇賞・秋(G1)。G1馬6頭が一堂に会した一戦を制したのは武豊騎手とドウデュースのコンビだ。前走の宝塚記念(G1)は1番人気で6着に敗れたが、このときとは別馬のような走りで4つ目のG1タイトルを手に入れた。勝ちタイムは1分57秒3。
7万人の観衆が押し寄せた府中の芝2000mでベストパフォーマンスを披露した。ハナを切ったホウオウビスケッツが刻んだ1000m59秒9のラップをスタートから後方2番手を進んだドウデュース。これは同舞台で行われた前日の1勝クラスの59秒8より遅く、現役トップクラスの強豪が集まるG1なら実質超スローペースといえるものだろう。そんな前残りを避けられない流れを追走する姿に不安を覚えたファンは少なくなかったはずだ。
武豊「これが本来のドウデュース」最強ライバル凌いだ32秒5
しかし、この日の武豊騎手はレース後のコメントで振り返ったように「中途半端なレースはしたくない」「最後の末脚にかけた」「これでダメなら仕方ない」と、パートナーの力を全面的に信頼していた。
元JRA騎手の安藤勝己氏、田原成貴氏もさすがと感心したレジェンドの折り合い、それに応えたドウデュースの瞬発力も桁違い。まるで他馬が止まっているかのように映った切れ味は、衝撃の上がり3ハロン32秒5。これは2年前にイクイノックスがマークした勝ち馬の最速上がり32秒7すら凌いだ。最強ライバルは一足早くターフを去ったが、「今年の天皇賞で両者の激突が実現していたら」と思わずにいられない。
スローペースを味方につけたホウオウビスケッツが3着に粘り込み、3番手の好位から抜け出したタスティエーラが2着に入った。ドウデュースと同じく後方から脚を伸ばしたジャスティンパレスが4着に追い上げたとはいえ、こちらの上がりは33秒0。とても届かないような位置から、ただ1頭32秒台の鬼脚を使ったドウデュースが規格外だったというしかない。
数多くの名馬に跨った武豊騎手ですら「本当に嬉しかった」「ありがとう」「これが本来のドウデュースの強さ」という言葉が出たのも当然か。ゴール入線後に発した「やっと走らせられたわ」には「今まで僕も上手くエスコートできないレースもありました」と認めていたこともあったはずだ。
天皇賞・秋、ジャパンC(G1)、そして有馬記念(G1)の3戦で引退し、種牡馬入りすることが決まった今年の秋。最初の関門を突破したことにより、テイエムオペラ―(2000年)、ゼンノロブロイ(2004年)に続く秋古馬三冠も視野に入る。ディープインパクトやイクイノックスも未踏の快挙を達成し、感動のラストランでフィナーレを飾ることができるだろうか。
非常に残念なのは、このまま年内で引退すると来年はレースで走る姿を見られなくなることだ。期待の大きな馬だからこそ、フランスやドバイに遠征した。だが、その後の国内復帰戦で実力を発揮し切れなかった理由のひとつとして、リズムを狂わせたことも無関係ではなかったかもしれない。
父ハーツクライがこの世を去り、後継種牡馬として大きな注目を集めていることは間違いないのだが、5歳秋でまだまだ進化を見せたドウデュースの成長力は確か。年間を通して国内で走る姿を見たいのも本音である。なんとかもう1年引退を先延ばしにしてもらえないものだろうか。
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