GJ > 競馬ニュース > 全盛期ナリタブライアンに真っ向勝負した女傑
NEW

全盛期ナリタブライアンに真っ向勝負した女傑ヒシアマゾン!2度目のエリザベス女王杯でよもやの屈辱

『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)
『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)

 1994年当時、史上最強馬とすら言われた三冠馬ナリタブライアン。牡馬クラシックの皐月賞(G1)で3馬身半、日本ダービー(G1)で5馬身、菊花賞(G1)で7馬身と2着馬を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた。単勝1.2倍の断然人気に支持された同年の有馬記念(G1)も楽勝し、本馬の全盛期といえたのではないか。

全盛期のナリタブライアンに真っ向勝負!

 だが、そんなシャドーロールの怪物相手に真っ向勝負を挑んだ女傑がいた。それが、有馬記念で3馬身差の2着に入ったヒシアマゾンだ。

 外国産馬にクラシック出走が許されなかった当時、桜花賞(G1)やオークス(G1)に出られなかった本馬は、クイーンC(G3)からエリザベス女王杯(G1)まで重賞6連勝と破竹の快進撃を続けた。

 現在のラスト一冠である秋華賞(G1)の創設は1996年であり、この年のエリザベス女王杯は、まだ3歳牝馬限定で距離も芝2400mの時代。裏街道を進んだ名牝がG1初戴冠を成し遂げたのが94年の同レースだった。

 ライバルと目されたオークス馬チョウカイキャロルでさえ、単勝1.8倍のヒシアマゾンから大きく離された7.2倍の2番人気、オグリキャップの妹で桜花賞馬のオグリローマンも武豊騎手がコンビを組んだが、近走の凡走で5番人気にとどまっていた。

 レースは最後の直線で先に抜け出したアグネスパレードにチョウカイキャロルが並び掛け、さらにその外からヒシアマゾンが迫る。ゴール前でアグネスパレードが後れを取り、そこからはチョウカイキャロルとヒシアマゾンの息詰まる叩き合い。横一線に並んだ激戦をハナ差で制したのがヒシアマゾン。小島貞博騎手と中舘英二騎手の最強牝馬の座をかけた意地と意地のぶつかり合いも見事だった。

 古馬となった翌年もオールカマー(G2)や京都大賞典(G2)を牡馬相手に制し、ジャパンC(G1)では、前走の天皇賞・秋(G1)から戦列に復帰したナリタブライアンに先着してランドの2着に健闘した。

 もちろん、95年はまだエリザベス女王杯が古馬牝馬に開放されていなかったとはいえ、日本の総大将として世界の強豪を相手にジャパンCに出走した功績は大きい。1番人気に推された次走の有馬記念で5着に敗れたものの、この年の競馬界はヒシアマゾンが引っ張ったといえる。

 しかし、有馬記念の敗戦から順調さを欠き、復帰戦となった安田記念(G1)を10着と大敗。そこから秋のエリザベス女王杯に直行したものの、新たなヒロイン候補として台頭したダンスパートナーに1番人気を奪われて5番人気に急落した。前年のジャパンCで1番人気にまで支持されたアイドルとしては、屈辱的な評価だったかもしれない。

 とはいえ、同じ牝馬にまだまだ後れを取るヒシアマゾンではない。ダンスパートナーには交わされたが、タイム差なしの2位に入線して意地を見せる。女傑の底力を目にしたファンも唸らされる善戦だっただろう。

 ところが、この話はこれで終わりではない。最後の直線を斜行してシャイニンレーサーに不利を与えたとして、まさかの2位→7位に降着。3位に入線していたフェアダンスが2着に繰り上がるよもやの結末が待っていた。

 結果的にラストランとなった96年の有馬記念では、「牝馬の河内」で有名な河内洋騎手へと乗り替わり、5番人気で臨んだが5着。一時代を築いた名牝としては少々寂しさを感じる現役時代の終盤であった。

 その一方、引退して繁殖入りした後の産駒から活躍した馬が出なかったものの、ヒシアマゾンの姉ケイティーズファーストを母に持つエフフォーリアも登場した。好きだった馬の近親が、数年後にまた見られるという1年や2年では得られない楽しみも、ブラッドスポーツと呼ばれる競馬の醍醐味だ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

全盛期ナリタブライアンに真っ向勝負した女傑ヒシアマゾン!2度目のエリザベス女王杯でよもやの屈辱のページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

23:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
  2. 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
  3. 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
  4. アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
  5. 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
  6. 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
  7. JRA伝説レコード「1:57.8」サッカーボーイの謎に迫る。1988年から「32年間」不滅、最有力は当時の函館が「洋芝ではなかった説」だが……
  8. JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
  9. 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
  10. 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!