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【徹底考察】日本ダービー(G1) サトノダイヤモンド「皐月賞で振り払われた『幻想』。カリスマ性を失ったダイヤモンドは輝きを取り戻せるか」

satonodaiyamondo0322xs.jpgサトノダイヤモンド(JBISサーチ公式サイトより)

『考察』

 皐月賞(G1)では1番人気を背負いながら、3着に敗れたサトノダイヤモンド。調整過程の関係や不利があったとはいえ、生涯初の敗北を喫してしまったことは事実であり「底知れぬイメージ」があったこの馬のカリスマ性は、大きく失われた。

 あの不利がなければ、陣営が日本ダービー(G1)ではなく皐月賞に照準を絞っていれば……サトノダイヤモンドは人気に応えてクラシック一冠を達成していたのだろうか。敗北を喫した、皐月賞を振り返りながら考察したい。

 皐月賞におけるサトノダイヤモンドの競馬は、完璧に近いものだった。

 まずまずのスタートを切って、いつも通り無理せず中団から。道中はいつでも外に出せるポジションをキープしながらも、きっちり前に馬を置いて向こう正面の向かい風を凌いでいる。

 ペースが上がった3、4コーナーでもしっかりと対応し、最後の直線の入り口では先頭集団を射程圏に収め、まさに勝ちに行った競馬。この辺りのエスコートのスムーズさは、さすが今最も乗れているC.ルメール騎手といったところだろう。

 だが、結果は3着。それも単に生涯初の敗北を喫しただけでなく、勝ったディーマジェスティから2馬身以上、0.4秒差も付けられた「完敗」だった。

 その上でサトノダイヤモンドには、今はっきりしているだけで「3つ」の敗因が存在している。

 1つは事前の共同会見の席で陣営が話していた通り、この馬の目標はあくまで日本ダービーであり、皐月賞は100%のデキには仕上げていなかったということ。実際の馬体重も「+6kg」だった。

 ただ、実際に皐月賞の調整過程や最終追い切りを確認した限り、サトノダイヤモンドに特に緩いと思える点はなかった。少なくとも90%以上は仕上がっているのではないかという印象を受けたし、だからこそマスコミ各社も本命を打ち、この馬が1番人気に推されたのだと推測できる。

 無論、これはあくまで”外野”の意見であり、サトノダイヤモンドのコンディションを把握している池江泰寿調教師を始めとした陣営にとっては「まだまだこんなものではない」という目論見があるのだろう。実際に日本ダービーに向けた調整の内容は、皐月賞前と比較して明らかにハードになっているだけに、まだもう一段階状態が上げられるのかもしれない。

 2つ目は、最後の勝負所でリオンディーズから不利を受けたことだ。

 もっとも不利自体は、直接被害を受けたエアスピネルの方が大きかったように映る。だが、以前にも述べた通り、サトノダイヤモンドは「排気量の大きな車」のようなタイプの馬。MAXスピードは速いが、そこに至るまでが遅い。つまり一瞬のキレで勝負するのではなく、じわじわと加速し続けるタイプだ。

 そんな馬が、例えちょっとした不利でも一度スピードを緩めてしまえば、立て直すのに余計に時間が掛かる。それが皐月賞で本来の伸びを欠いた大きな原因だといえるのだ。

 ただし、サトノダイヤモンドの不利は決して大きなものではなかった。従って例え不利がなかったとしても、2着だったマカヒキの追撃は凌げても、勝ったディーマジェスティとの着差まで埋めることは、おそらくできなかっただろうというのが見解だ。

 そして、最後の3つ目は第3コーナーから第4コーナーに掛けて、外からナムラシングンに被せられたことだ。

 各馬が加速し始め、レースのペースが上がった第3コーナーから第4コーナー。小回りで直線の短い中山なので、後方にいたディーマジェスティやマカヒキらはここで動き出さなければ、いくらハイペースとはいえ前に届かない。

 しかし、それらよりやや前の中団で競馬をしていたサトノダイヤモンドには、ほんの数秒ながら、まだ猶予があった。あれだけのハイペースの中、早めに動くことはデメリットでしかない。クレバーなルメール騎手なら、最も有利な動き出すタイミングは当然頭にあったはずだ。

 だがその時、わずかに後ろから先にスパートしてきたナムラシングンに外から被せられ、いつでも外に出せる位置をキープしていたサトノダイヤモンドは、初めて行き場を失い掛けている。

 ここでナムラシングンを先に行かせてやり過ごす選択肢もあったかもしれない。だが、ルメール騎手はそれでは間に合わないと判断したのだろう。ナムラシングンが外から並びかけるのに呼応するように、サトノダイヤモンドはスパートを開始。勝負所での進路を確保すると、直線の入り口では早くも先頭に並び掛けていた。

 しかし、このスパートのタイミングは決してベストではなかった。これだけのハイペースであれば、いくらリオンディーズやエアスピネルであったとしても、最後の最後に失速するのは免れない。従って「真なる敵」は、後方でハイペースの恩恵を受けたマカヒキらとなる。

 このことは、弥生賞までマカヒキに騎乗していたルメール騎手が、最も理解していたところだろう。

 だからこそ、わずかでスパートを遅らせたかったのだが、先述したようにナムラシングンをやり過ごしている猶予はなかった。実際に新馬戦以降、差す競馬を徹底してきたサトノダイヤモンドだが、早めスパートから直線入り口で先頭集団に並びかけたことは一度もない。

 そして、明らかなハイペースとなった皐月賞で、それを試みるメリットはどこにもないということである。

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