JRA歴代G1最多コパノリッキーの「真実」。Dr.コパが語った武豊騎手引退式「爆弾発言」と田辺騎手「作戦会議in銀座」
――実際に、ラストシーズンだった昨年のコパノリッキーが「最も強かった」という声も大きい。
Dr.コパ:村山明とDr.コパっていうコンビは、馬に関して相性抜群なんだ。2人とも、とにかく真剣で考えに考えて、厩務員とか育成場も巻き込んで……そういう環境って、馬を強く育てるんだよね。去年のフェブラリーSは負けたんだけど、(約半年ぶりに騎乗した)武さんも馬が以前とは違ってるからびっくりしてたよ。スピードだけじゃなくて、重厚感があるなって。
――次のかしわ記念(G1)では、武豊騎手が差す競馬で勝利。
Dr.コパ:フェブラリーSの時は噛み合わなかったけど、リッキーのことをちゃんと掴んでくれたみたい。「これなら、どこから加速してもスピードに乗れる」っていうことがわかっていたから、いつもと違う(逃げではない)競馬になっても慌ててなかったね。
――その後、南部杯(G1)も好位からの競馬でG1・10勝目。続くJBCでは、3年連続出走したクラシックではなく、初めてスプリントの方に出走した。
Dr.コパ:俺の方から皆を集めて「JBCなんだけど、スプリントの方に行きたい」ってお願いしたんだ。皆、当然クラシックの方だと思っていたらしくて「えー!」って(笑)。
G1最多勝も懸かってたから「そんな弱気でいいんですか」って。やっぱり俺が(JBCクラシックから)逃げたと思ってるんだよね。それで、まずは説得ですよ。「俺は(3年連続で惨敗している)チャンピオンズC(G1)を勝ちたい。そのためにはもう一度、逃げるスピードを取り戻す必要がある。だから一度、(スタートからダッシュを強いられる)短い距離を使っておきたいんだ」って言ったんだ。
これにはヤナガワ牧場のオヤジ(梁川正克さん)からも連絡が来てね。もう種牡馬入りも決めていたし、シンジケートも組まれていたから。「やめてください。何かあったらどうするんですか」ってね。もうG1・10勝で最多記録に並んでいたし「日本一なんだから、もういいじゃないですか」ってね(笑)。
――JBCスプリントでは、船橋の森泰斗騎手を抜擢した。
Dr.コパ:本当は6月の帝王賞(G1)で乗せる予定だった。けど、リッキーが軽いケガ(右ひざの関節炎)で回避しちゃったんだよね。森泰斗の方も落馬の影響でケガをしてて……。
でも俺は一度、リッキーに森を乗せたかったんだ。彼は(所有馬の)ラブミーチャンにも一度乗ってるんだよ(習志野きらっとスプリント1着)。俺は森の事をすごく買っていて、一流馬の”背中”を教えてあげたいと思っていたんだ。
それで森に「お前、乗ってみるか?」って聞いたら「いいんですか?」って。「その代わり、たぶん(スタートから)遅れるだろうから、批判の的になるかもしれないよ。1200m走ったことないし。ただ、責任は全部俺が取るから。だから負けても『オーナーの言う通りにしました』って言えばいいよ(笑)」ってね。頑張ったんだけど、アタマ差で負けて……一度先頭に立ったし、いろいろ思うところもあって悔しかったなあ。
それで、森はわざわざ次の週に競馬場まで謝りに来てくれてね。謝んなきゃなんないのは俺の方なのに……森もそうだけど、俺は騎手と結構ざっくばらんに話すし、オーナーが責任取ればいいと思ってるから。思い切って乗ってほしいし、森が謝りに来る必要はないんだよね。
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