日本ダービー「平成ベスト5」発表! 武豊の「伝説」を抑えて1位を獲得したのは、やはりあの「快挙」
平成ダービー第3位 キズナ、武豊の復活と「絆」の物語
キズナ(JBISサーチ公式サイトより)武豊騎手にも停滞していた時期があった。2010年の毎日杯。で、ザタイキに騎乗した武騎手が4コーナーで馬が故障を発生して落馬。骨折して長期入院することになった。武騎手が数カ月のうちに復帰してくるが、完全に癒えてないため、うまく馬をコントロールできずに精彩を欠く。
「当然、取りこぼしが多くなっていきましたね。追えないのが痛々しくて。まだ完治してなかったのかもしれません」(現場記者)
結果が出なければ、当然馬は集まってこない。いつしか大手クラブ馬から騎乗依頼が来なくなり、騎乗数が激変していく。そんな武騎手を松本好雄オーナーとともに支えたのがノースヒルズであった。
2012年、低迷している武騎手は一頭の馬と巡り会う。これまでの産駒の中で「一番ディープインパクトに似ている」と武騎手が語ったキズナである。
「この馬の名前の由来がじつに印象深い。東日本大震災が起こった中を、ドバイのレースにトランセンドを出すために、現地で日本のスタッフたちがオーナーの馬の面倒を見ていたんです。本当は日本に帰りたかったはずですよ。でも、その甲斐があってトランセンドは見事2着に。これに感銘を受けた前田オーナーは、いつか一番良い馬にキズナ(絆)と付けることを決めたんだそうです」(競馬ライター)
その名が付けられたキズナは、2012年、デビュー2連勝後のラジオNIKKEI杯に出走することに。それまで主戦だった佐藤哲三騎手がケガで出られなくなると、武騎手に騎乗依頼が舞い込む。結果3着で、つぎの弥生賞は不利もあり5着。小回りが合わない皐月賞を諦めて、日本ダービーに向かうことを決めて、毎日杯を使う。この時から最後方に近いところで待機し、直線勝負に賭けるレースに切り替える。その武騎手の追い込みに脚質を変えた作戦は成功し、最速上がりで1着に。続く京都新聞杯も最速上がりで1着となる。
「限られた時間の中で、馬にレースを教える武騎手も凄いですが、それに応えるキズナも本当に賢い馬ですよ。前田オーナーが、一番良い馬にその名を付けようとした相馬眼は、大変素晴らしいですよね」(同ライター)
そして日本ダービー当日を迎えた。単勝1番人気。この日を迎えるにあたり佐々木調教師は驚くことを口にしていた。
「使うごとに筋肉がやわらかくなっている」
年明け4戦目のダービーは、1戦多いような気がしたが、これを打ち消す発言。これまで能力を持て余し気味だったキズナが、全身を使ったストライドで直線一気に追い込む戦法に変えてから、身体がスムーズに動くようになり、筋肉が柔らかくなっているというのだから、恐れ入る。
結局、日本ダービーは後方から追走し、直線で外から一気に追い込んできたキズナが差し切った。
この一戦を機に武騎手のところに騎乗依頼のオファーが多く届くようになる。
「武騎手の絶頂期にはディープインパクトがいて日本ダービーを獲り、彼があがいていた時期には、ディープインパクトの仔であるキズナがいて日本ダービーを獲る。武騎手って、やっぱり持ってますよね」(同ライター)
競馬とは、なんとも不思議な”ブラッドスポーツ”である。
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