ルーラーシップに猫パンチをお見舞い!江田照男騎手とのコンビで大金星を挙げたネコパンチは、猫の棲家で個性爆発中! Vol.50
かつて観衆を沸かせた名馬の“今”を紹介!
走り終えた今も、観衆を魅了したあの日の輝きは、決して色褪せない。
全国で暮らす、名馬の個性と“今”を集める『ウチの子はあの名馬!個性にLOVE❤︎ 引退馬コレクション』をお届けします!
今回のコレクションは、2012年の日経賞(G2)などを制した、ネコパンチ!
現在は、北海道新冠町にあるノーザンレイクで暮らしているとのこと。
そのお世話をしている佐々木さんにマル秘情報をたくさん聞いちゃいました!
佐々木 祥恵さん
(ノーザンレイク 雑用係)
ウマ歴:6年
出身地:北海道旭川市
趣味:空想、妄想をすること(笑)
休日の過ごし方:ノーザンレイク開場以来、休みがないので...
ネコパンチ
ニックネーム|パンチ君
生年月日|2006年3月28日
生産者|大道牧場
馬主|桐谷茂
戦績|56戦5勝(2着3回,3着5回)
獲得賞金|1億6,444万円(中央)
主な勝鞍|2012年 日経賞(G2)
父|ニューイングランド
母|パシェンテ
母父|ダンシングブレーヴ
ここにきた日|2023年12月3日
猫の手も借りたい下積み時代
その馬名は、桐谷オーナーがテレビで見て印象に残っていた、ネコが猫パンチによってヘビを仕留めた番狂わせのシーンに由来。
「ネコパンチ」と名付けられたこの馬が、後に重賞レースの舞台で、“強烈な猫パンチ”をお見舞いすることになるのですが、そこに至るまでの条件戦は、決して楽な道ではありませんでした。
2008年7月にデビューしたネコパンチは、4戦目の2歳未勝利を勝ち上がるも、500万下(現1勝クラス)ではクラスの壁に阻まれ、なかなか次なる勝利が挙げられずに約2年が経過。
2010年8月、ようやく2勝目を挙げた同馬は、翌年2月の潮来特別(1000万下・現2勝クラス)で3勝目を挙げ、同年8月には格上挑戦となった、みなみ北海道S(OP)を勝利。
デビューから40戦を要したものの、遂にオープン入りを果たしました。
その後の秋以降はというと、長距離のG2レースに顔を出したものの、掲示板に載ることもできないまま、翌2012年2月のダイヤモンドS(G3)で15着に大敗した後、3月には日経賞(G2)に出走。
ここには、次走のクイーンエリザベスC(G1)を勝利する名種牡馬のルーラーシップや、無冠ながら大舞台で強豪たちと渡り合ってきたウインバリアシオンなどが参戦。
当のネコパンチは、これまでの成績からも妥当と言える、14頭立て12番人気、単勝オッズ167.1倍の無印評価を受けていました。そしてついに、事件は起こります…!
ルーラーシップら強豪に、強烈な猫パンチをお見舞い!
レースは、何が何でもと勢いよくハナを奪ったネコパンチが、後続をちぎって大逃げの賭けに出て、1周目ホームストレッチではスタンドも湧く展開に。
しかし、「どこかで脚が止まるだろう」というファンの思惑をよそに、4コーナー通過時点でも依然大きなリードを残し、直線に向いても逃げ足は鈍らず先頭に位置。
坂の上りで後方から懸命に追い縋ってきた本命格のルーラーシップ、ウインバリアシオンに影も踏ませず、あれよあれよと言う間に、最後は3馬身半差のリードを保って1着でゴール。
ファンも、ライバル陣営も、開いた口が塞がらない、まさに強烈な猫パンチをお見舞いして、見事な番狂わせ!12番人気1着の大金星を挙げたのでした。
第60回 日経賞(G2) 2012.3.24 中山 雲・重 芝2,500m 14頭
引退後は誘導馬、そして猫の棲家へ…
その後も中・長距離重賞に出走を続けたネコパンチですが、2桁着順が続いたことで、翌2013年11月のレースを最後に競走馬登録を抹消。
引退後は東京競馬場で乗馬となり、2023年11月まで約10年近く誘導馬を務めた同馬は、多くの後輩たちをレースコースへと送り出しました。
ちょうどネコパンチの誘導馬引退が間近に迫った頃、ノーザンレイクでは、牧場猫・メトが大きな話題を生み、ネコの牧場としてファンが増加。
名の知れた馬を迎え入れて、メト以外のグッズを作っていきたいと考えていた佐々木さんは、猫で有名になった牧場に「ネコパンチ」が来てくれたらいいなと思っていたそうで、牧場へ調査に訪れたJRA職員の方に相談したところ、トントン拍子に話が進み、なんと繋養が決定。
約2か月後の2023年12月、ネコパンチはノーザンレイクに移動し、先住の牧場猫・メトと、功労馬・ネコパンチとの「猫コンビ」がここに誕生したのでした。
アザトサ☆5は、印象的なエピソードをご覧いただくと、その頭の良さがご理解いただけます!
また、かなりの大食漢とのことで、オオグイは満点の☆5評価!
担当している佐々木さんに、ネコパンチの“印象的なエピソード”を聞いてみました!
「よく人を見ており、頭を使って、わざといたずらしていることがあります。
川越(ノーザンレイク代表)が手入れしていますが、無口をつけるときに鼻にあてる部分を噛んで掛けさせないようにするなど、放牧に行きたいはずなのに、そうやって遊んでいます。
また、アシゲチャンの無口と曳手を器用に取って、下に落としたり、自分の馬栓棒に引っ掛けたりしていました。
そういう“いたずら好き”なところが、パンチ君の可愛らしい部分ですね。
あと、ご飯を作っているのが分かったら、めちゃくちゃうるさくなります。
牧場の中ではパンチ君が一番うるさいです。」
頭の良さを活かした“いたずら”をしてくるのですね(笑)
また、大食漢ならではのエピソードとして、ご飯の時に一番うるさいとのお話もいただきました。
今まで牧場では、キリシマノホシが最もうるさかったようですが、負けず劣らずの二大巨頭として鼻を鳴らしているようです(笑)
スキスキのメイショウドトウが離れたパドックへと放牧になった際に、寂しくて鳴いていたそうです。
ネコパンチは牧場猫のメトが好きで、前を通ると首を伸ばして鼻先を出したりして、交流を図っているとのこと。
メトの方は、その時の気分で近寄ったりスルーしたりだそうです。
可愛らしい感じで画角に収まっていますね(笑)
「食欲は、ノーザンレイクで1番かも」
と、担当の佐々木さん
「横になって寝ていて、死んでるのか?と最初は焦ったが、何度かやるうちに『パンチくんだからね』、みたいになりました。」
と、担当の佐々木さん
ズッキュンポイントにもあった水を飲むときの仕草ですが、水が欲しい時にバケツに汲んで入れに行くと、桶に入れる前にそのバケツから直接飲むのだそうです。(笑)
もういらない時は、鼻でバケツを傾けて「いらない」と言うんだとか。
最近ファンになった方は知らないかもしれませんが、日経賞で大穴をあけて人気があった馬なので、ぜひ過去のレースを観ていただきたいです。
今はドトウきっかけで見に来られる方も多いですが、ハンサムでイケメン、愛嬌もあるので、ぜひ実馬を見に来ていただければと思います。
Xでもたくさん投稿しますので、そちらもぜひ見てください。
佐々木さん、ネコパンチのマル秘情報をたっぷりご提供いただき、ありがとうございました!
なお、ネコパンチが暮らすノーザンレイクさんの見学には、お電話での事前予約が必要となっております。
「競走馬のふるさと案内所」のページをよくお読みになって、記載されている手順でのご予約をお願いいたします。
https://uma-furusato.com/search_farm/105319.html
また『Loveuma.』で毎週木曜に連載中の『ノーザンレイクダイアリー』では、ネコパンチが送る日々をご覧いただけます。
是非チェックしてみてください!
https://www.loveuma.jp/contents/categories/northern-lake-diary
そして、ノーザンレイクさんのSNSからも、ネコパンチの姿をチェックできるので、ぜひフォローしてみてください♫
X(旧:Twitter)|@NLstaff
Instagram|northern_lake_2020
Facebook|ノーザンレイク(Northern Lake)
協力:ノーザンレイク
取材・文:片川 晴喜
編集・デザイン:椎葉 権成
監修:平林 健一
制作:Creem Pan
著作:Creem Pan・GJ